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「天才」「全部もってかれた」3種類の"涙"を演じ分け!松村北斗の演技力に絶賛の声『西園寺さんは家事をしない』

  • 2024.9.3

“偽家族”に西園寺さん(松本若菜)の“仮彼氏”として横井(津田健次郎)が参戦し、ますます一言では説明できない関係が広がった『西園寺さんは家事をしない』。8話では、西園寺さんと楠見(松村北斗)、それぞれに心の動きがあった。

西園寺さんと楠見、それぞれのモヤモヤは……?

“仮彼氏”だった横井に「“本彼氏”になってくれませんか?」と申し出てOKをもらい、一歩前に進んだかに思えた西園寺さん。しかし、楠見の亡くなった妻・瑠衣(松井愛莉)の親友だったエリサ(太田莉菜)が自分たちの会社に協力することになり、楠見にアメリカでの転職を勧めたり、2人きりで会おうとしているのを知りモヤモヤしてしまう。

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火曜ドラマ『西園寺さんは家事をしない』第8話より (C)TBS

一方楠見は「本当は少し好きだったよ」と言われてから西園寺さんを意識してしまい、横井とのお付き合いが順調そうな様子を見てひとり複雑な気持ちになっていた。2人とも人のことは気遣えるのに、自分の気持ちに気づくスピードだけはとことんゆっくりだ。それが2人の愛おしいところでもあるのだが、見ているこちらは少しもどかしい。

瑠衣が”あるもの”に託した想いとは……?

エリサが楠見に「2人で話したいことがある」と誘ったのは、病床の瑠衣に託された“あるもの”を渡すためだった。それは、紙に書かれた数式。楠見と瑠衣は、数式について熱く語って盛り上がるほど大の数学好きだった。瑠衣が亡くなってからは数式を解く暇もなかった楠見だったが、彼女から受け取った数式を、時間をかけて解く。

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火曜ドラマ『西園寺さんは家事をしない』第8話より (C)TBS

エリサに数式を託した際の、瑠衣の想いが切ない。「私が死んだ1年後に渡して」「1年くらいは自分のことを想い続けてくれないと、化けて出ちゃいそう」と伝えた瑠衣にエリサが「ならこんなもの渡さなきゃいいじゃん」と言うと、「私、好きだから……楠見くんの(大好きな数学に夢中になってる)背中」と答えた。数式にも嫉妬していたというくらい楠見のことが大好きだった瑠衣。自分がもうすぐ死ぬとわかり、想い続けてほしいと思いながらも、それ以上に楠見の幸せを願う彼女の愛の深さを感じた。

楠見の涙に涙腺崩壊。彼が向かった先は……?

解き終わり、エリサの話を聞いた楠見は、ひとすじの涙を流す。2人で数式について「数式を解いても、『ここは通過点です。先に進みなさい』と言ってる」と話して盛り上がったのを思い出し、前に進んでほしいという瑠衣からのメッセージに気づいたのだ。静かで美しい涙だった。

そして、帰宅後楠見は西園寺さんの部屋に訪れる。数式に託された瑠衣の気持ち、「悲しくて、嬉しくて……」しどろもどろになりながら西園寺さんに聞いてほしい気持ちが溢れ、西園寺さんも「いいの。そのまま話して」と言って、彼を抱きしめ背中を叩く。

こんなふうに相手の迷惑を考えずに自分の気持ちをぶつけるなんて、今までの楠見にはなかったことだ。本人も思っていた以上に、西園寺さんが楠見にとって大きな存在だったということではないだろうか。西園寺さんもまた、心が動いていた様子。恋愛なのか友情なのか家族愛なのかわからないけれど、そんな細かい説明などどうでもよくなるような、2人の唯一無二の関係を感じたシーンだ。

松村北斗の“涙”の演技に心を動かされた回だった。数式を解き終わったあとエリサの部屋で流したひとすじの涙と、西園寺さんの部屋で感情のままに流した、しゃくりあげるような涙。さらに、第1回での限界まで張り詰めたところで西園寺さんとのやりとりで流した涙。どれも違う泣き方で、なおかつ感情が伝わってきて、彼の演技の幅を感じた。

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火曜ドラマ『西園寺さんは家事をしない』第8話より (C)TBS

8話に心を動かされた視聴者は多かったようで、SNSでは「もらい泣きした」「楠見くんの涙、瑠衣さんの想い、西園寺さんの優しさ……全部よかった」「あの涙を表現できる松村北斗、天才」「全部もってかれた」など、絶賛する声が多かった。

全員を応援したくなる、この作品の魅力

西園寺さんと楠見のハグの後で、次回の展開と横井がどうなるのか気に掛かる。8話で横井は、勇気を出して西園寺さんを花火が見える自宅へ誘ったが、楠見の娘・ルカ(倉田瑛茉)も一緒に来ることになった。自宅を夏祭り仕様に飾り付け、チョコバナナ・ヨーヨー・わたあめ・かき氷などを用意。さらには楠見のために花火の動画を撮りお土産も渡すという、どこまでも優しい男だった。

恋愛の構図でいえば、楠見と横井、西園寺さんと瑠衣はある意味対立する。ほかの作品ではどちらかに肩入れすることが多いのだが、この作品はどちらにも共感でき、幸せになってほしい(ほしかった)という気持ちになる。登場人物の魅力がこの作品の大きなひとつだし、それぞれの魅力が詰まった回だった。そんな魅力的な彼らの行く末を、これからも見守りたい。


TBS系 『西園寺さんは家事をしない』 毎週火曜よる10時

ライター:ぐみ
熱量高めなエンタメライター・編集者。
ドラマ・映画・アイドル・アニメなどのコラムやレビュー・インタビューや書籍の執筆・編集も手がける。
コンテンツ編集(人気少女漫画や芸能人の公式コンテンツ制作のほか、広告制作、メディアの編集・立ち上げなど)を経て現在フリー。
音楽とアイドルと物語とかき氷が好き。X(旧Twitter):@gumililium