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ピラティスの「無料体験」で『22,000円』請求される!? 詐欺にあたるかどうか、弁護士に聞いてみた

  • 2024.6.24
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出典元:PIXTA(※画像はイメージです)

ジムや習い事などを始める前に、どんなことをしているのか、どんな雰囲気なのかを知るために、まず体験レッスンに行ってみた、という方も多いでしょう。

「無料体験レッスン実施中」と書かれていると、ちょっと様子をのぞいてみようかな、と訪れるハードルは下がりますよね。ですが中には、無料と謳っているにもかかわらず、別途料金を請求されたという経験のある人もいるようです。

「無料体験」での金銭トラブルについて、弁護士さんに詳しくお伺いしました。

無料だって書いてあったから行ったのに

ピラティススタジオで体験レッスンを受けた際のことです。
体験レッスンを受ける際に、受付でスタッフさんから「体験レッスンは料金が無料である」ということを告げられていました。
しかしレッスン後に、受付でスタッフさんから「体験レッスンは無料ですが、施設利用料や消耗品は別途かかります」と言われ、2万2千円請求されたのです。
レッスンを受ける前にはそんな説明なかったのに。

スタジオの料金体系が不透明であったため、信頼性に欠けると感じました。
結局、請求された分は支払うことにしましたが、そのスタジオに通うことはありませんでした。今でも納得いきません。
(30代女性・会社員)

こちらのケースについて、一歩法律事務所の南陽輔弁護士にお話をお伺いしました。

---こういった場合、別途施設利用料や消耗品の代金が2万2千円発生するということを受付時に口頭で説明し、体験者の了承を得る必要はないのでしょうか?

体験者の了承を得る必要があると考えます。体験レッスンを受けることは法律上は一つの契約が成立していると捉えることができます。契約内容については、双方の合意が必要であり、合意がない内容については基本的には契約内容に含まれず、応じる必要はないといえます」

---体験の前に知らせ、お互いに合意する必要があるのですね。

「スタジオと体験者の間で体験レッスン料金が無料であることを確認していますが、別途の施設利用料等がかかることはスタジオ側から説明がなく、体験者は了承していないといえます。施設利用料などの支払については契約内容に含まれず、体験者は支払う義務はないものと考えられます」

---このスタジオの対応は、どんな罪になる可能性があるのでしょうか?

「事前の説明がなく、支払う必要はないと認識していたのに支払わされたということは、契約の一般法理でいえば、民法上の錯誤(民法95条)、詐欺(民法96条)に該当して取り消しうるもの、もしくは公序良俗に反するものとして無効(民法90条)となることが考えられます。

また、一般的には体験者は個人消費者で、スタジオ側は事業者と考えられますので、スタジオ側が事前の説明・告知なく金員の支払いを求めることは消費者契約法に抵触する可能性もあります

さらに、支払う必要がないものを必要があるかのように装って支払わせた点について悪質なものと判断されれば、刑法上の詐欺罪(刑法246条)に該当する可能性もあります」

---有料部分は内緒にしておいて騙し取ってやろうというような悪質な場合は詐欺罪にもなる可能性があるのですね。

事前に説明のない料金を求められたらどうしたらいい…?

---こういった場面に遭遇した場合、受付ではどのような主張をしたら良いでしょうか?

「受付では、事前の説明をもとに無料と認識していた、事前に費用の説明がされておらず契約上支払い義務がないなどのことを述べて、支払いを拒否するのが良いと考えます」

---支払ったあとでも返金される可能性はありますか?

「支払ったあとでも、上記の通りに契約の錯誤・詐欺による取消、無効を主張して支払った費用の返還を求めることが可能です」

---こういった場合、どのようなところに相談したら良いでしょうか?

「悪質な場合には刑法上の詐欺罪に該当しえますので、警察に相談するのも一つの方法です。ただ、警察では民事の問題として動いてくれない場合もあります。また、警察は刑事事件の捜査を行うだけで、お金を取り戻したりしてくれるわけではありません。法律の専門家である弁護士にご相談いただくのが良いと考えます」

---具体的な対処法も教えてくださり、ありがとうございました!

事前の通達がない場合は支払いに応じなくてもいい

まず提供する側と受ける側で、どういったことをして、いくらかかるのかということを事前に確認する必要があります。投稿者さんのように、事前の通達がなかった場合は、支払いに応じる必要はないとのこと。

また、わざと有料であることを隠し、すべて無料だと誤認させた場合は詐欺にあたる可能性もあります。

提供する側の仕事をしている方も、わざとではなくても、システムとして説明が不足していないか、今一度確認してみてはいかがでしょうか。



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※本記事は媒体独自に募集したアンケートを元に構成しています
・募集方法:インターネットサービスによる任意回答(記述式)
・募集対象:全国の18歳以上
・募集期間:2024/4/22〜5/6