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スーパーの店員「割引シール、客に貼り替えられた…」バレたら捕まるのか、弁護士に聞いてみた

  • 2024.6.21
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

老若男女、さまざまな人が訪れるスーパー。いつでも新鮮な食材を手に入れることができて便利ですが、店員さんは困ったお客さんに手を焼くことも多いようです。

スーパーでよく起こるトラブルについて、弁護士さんに詳しくお伺いしました。

スーパーの割引シールを貼り替える客を発見して…

私がパートをしているスーパーでは、賞味期限が迫っている商品には割引をします。
そのため、商品に割引シールを貼るのですが、
割引シールが貼ってある商品からシールを剥がし、自分が買うものに貼り替える人がいます。
口頭注意だけでなく、警察を呼んで良いものでしょうか?
(40代女性・アルバイト勤務)

こちらのケースについて、一歩法律事務所の南陽輔弁護士にお話をお伺いしました。

---こういった場合、警察を呼ぶと該当客はどうなるのでしょうか?

「警察としては、お店側と該当客の双方から事情を聴いて、犯罪性があるかどうかを判断します。犯罪性があると判断し、かつ、お店側が被害届を出すということであれば、その場で該当客を現行犯逮捕することも考えられます」

---店員の「目視」だけで証拠になるのでしょうか? それとも、防犯カメラに映っていること等が必須でしょうか?

「防犯カメラに映っていることが必須というわけではありません。目視した店員の証言も、重要な証拠となります。店員の証言の内容が具体的で信用できるものであれば、その証言を証拠として有罪となることも考えられます」

---目撃した内容が具体的で整合性があれば証拠になり得るのですね。

「もちろん防犯カメラの映像も重要な証拠です。店員の証言と映像の双方があれば、より有力な証拠となります

---該当客はどのような罪に問われ、もし裁判をした場合、どうなるのでしょうか?

「犯罪という点では、まずシールを貼り替えてレジを通して商品を購入することは、詐欺罪(刑法246条)、電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)に該当するものと考えられます。法定刑は、いずれも10年以下の拘禁刑です。

割引シールを貼り替えるということは、貼り替えられた商品については本来の価格よりも低い価格で購入できるということになります。例えば、価格1,000円の商品に2割引のシールを貼ってレジを通せば800円で購入できることになり、差額200円を支払わずに済んだということになります。これは店側から見れば、200円の損害を被ったとういうことになります。

購入する際に店員が決済した場合にはその店員を騙して200円の支払を不当に免れたということになるので詐欺罪に当たりますし、セルフレジで店員を介さなかった場合には店の機械(電子計算機)に虚偽の情報を与えて不当な利益を得たことになるので、電子計算機使用詐欺罪に該当します」

---こちらのシール貼り替え客が常習犯だった場合も教えてください。

「刑事裁判では、被害金額の大きさ反省の態度被害弁償がされているか常習性があるかなどのさまざまな要素を考慮して判決が出されます。

初犯の人であれば1年前後の拘禁刑で執行猶予付きの判決となるケースが多いでしょう。常習性があり、過去に同種前科がある人の場合には実刑判決が下され、刑務所に服役する可能性が高くなります」

---店頭で店員に注意されて揉めるというケースも多いようですが、こちらについてはいかがでしょうか?

「まだ購入していない段階で、店員に注意された場合においては、状況によって詐欺未遂罪等が成立する可能性があり、さらに店員と口論になるなどして店の業務を妨害した場合には偽計業務妨害罪(刑法233条)や威力業務妨害罪(刑法234条)が成立する可能性もあります。

加えて、店としては、シール貼り替えによる被った損害や店員が、余計な業務対応を強いられたことに対する損害などを民事裁判で損害賠償請求することも可能です」

貼り替え行為は犯罪!

スーパーで割引シールを貼り替えたり、勝手に置いてあるシールを該当ではない商品に貼り付ける行為は、れっきとした犯罪。

今回の投稿者さんのように、はっきりと目視して確認できている場合、警察を呼んで被害届を出すか、口頭注意で済ませるかなど、店側で検討するのが良いでしょう。

店頭で注意を受けた際、店員さんに暴言を吐くなどの行為があった場合は、さらに罪を重ねることになります。

「バレてもたいしたことはないだろう」などと勘違いをしないよう、重々気をつけたいですね。



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※本記事は媒体独自に募集したアンケートを元に構成しています
・募集方法:インターネットサービスによる任意回答(記述式)
・募集対象:全国の18歳以上
・募集期間:2024/5/15〜5/29