1. トップ
  2. ピュアすぎるだろ…アニメ『僕のヒーローアカデミア』“恋バナ”から見えた出久とトガヒミコの印象的な対比

ピュアすぎるだろ…アニメ『僕のヒーローアカデミア』“恋バナ”から見えた出久とトガヒミコの印象的な対比

  • 2024.6.26
undefined
(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会

現在放送中のTVアニメ『僕のヒーローアカデミア』7期第145話にて、死柄木弔(しがらきとむら)やオール・フォー・ワンたちヴィランとの最終決戦が始まった。ラスボスを倒すため分断作戦を決行したヒーローたちだったが、緑谷出久(みどりやいずく)がトガヒミコによって予定の場所へワープできないハプニングが発生。本来なら死柄木と対峙するはずだった緑谷は、遠く離れた奥渡島にひっぱられてしまう。すぐに死柄木のもとへ戻ろうとする緑谷に、「行かないでよ出久くん!大好きだよ!ねぇだから行かないで!」とトガが切りかかる。どうしてほしいのか尋ねる緑谷に「私の恋人になって……」とこたえるトガからは、ナイフのような危なっかしい好意がにじみ出ていた。

緑谷の恋愛観がピュアすぎる!

undefined
(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会

トガは緑谷に対してずっと想いを寄せていた。緑谷のボロボロで血だらけな姿を初めて見たときから、トガは一目ぼれしていたのだ。トガが緑谷に抱いているのは、敵意というより純粋な好意。危険を危険と認識させないため、緑谷が持っている危機感知が反応しなかった。不意をつかれたとはいえ、ワープの瞬間に緑谷がトガにひっぱられてしまったのはこのためだ。

突然の告白に激しく動揺する緑谷は、爆発しそうなくらい顔を真っ赤にさせる。緑谷はトガの好意に気づいていなかったうえに、どこまでいってもウブなのだ。「恋人っていうのは!!2人で遊園地に行って手をつないでクレーブを半分こすることだろ!!」とピュアすぎる恋愛観をぶちまける緑谷に、麗日お茶子(うららかおちゃこ)はピシッと固まってしまう。いくらなんでもピュアすぎるだろ……と思ったに違いない麗日の真顔が面白い。ただ、緑谷はこれまで仲間を守ることや強くなることにその身をささげており、恋愛とは無縁の生活を送ってきた。そう考えると、緑谷の恋愛観が純朴な子どもの頃のままなのがうなずける。そして、過酷な戦いを繰り広げる緑谷が、もともと一人の高校生である事実を思い出させるのだ。

揺れ動くトガの印象的な表情

undefined
(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会

真っ赤に照れた緑谷の反応がコミカルな一方で、トガの表情も印象的な第145話。トガが緑谷に告白するシーンでは、両手を頬に添えて恥ずかしそうな表情を浮かべるトガが可愛らしい。しかし、右手には武器のナイフが光っており、背筋が冷たくなる。緑谷の好きなところをいうトガは、だんだん興奮して顔を赤らめさせ、目や口元をニヤリと大きく歪ませる。「私、キミになりたいの……チウチウさせて……!」と緑谷の血を欲しがる姿は、トガの異常性を物語っている。「僕は好きな人を傷つけたいとは思わないよ!」と緑谷に反論されたトガが一瞬浮かべたのは、なにか諦めたようなかなしげな表情だった。

トガは、普通とはなにかずっと悩み続けていたのだろう。血を吸う個性によって、両親からも気味悪がられていた。個性はときに武器になるが、“普通じゃない”ともいえる。特に人の血を吸って変身するトガは、常識とはかけ離れた個性だ。『僕のヒーローアカデミア』は、一人ひとりが個性を発揮する強さを描きながら、無個性だった緑谷の葛藤や個性が原因で差別される苦しさも描いている。戦闘中にもかかわらず展開した恋バナだが、価値観の違いからくる苦悩をトガの恋心から読み取るのも面白いだろう。

僕のヒーローアカデミア
ABEMAにて毎週土曜22時より無料放送。
放送後1週間、最新話を無料で視聴できる。
[番組URL]https://abema.tv/video/title/19-15
【(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会】


ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムや映画の作品評、マンガのレビューを手がける。X:@kaku_magari