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地球の歴史が刻まれた隠岐。絶景に秘められた大地の成り立ちを知る旅へ

  • 2024.5.23
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世界有数の地震大国かつ火山国である、日本。

近年では海底火山の噴火で新島が誕生したり、地震による地殻変動で地形が変わったり、太古の昔から様々な要因でその姿を変貌させていますよね。

そうした地球の歴史の片鱗を、島根県沖合に浮かぶ「隠岐諸島」でもうかがうことができるのをご存じですか?

今回は、そんな「大地の成り立ち」の手がかりを秘めた隠岐の奇岩絶景をご紹介します。

地球の歴史が刻まれた隠岐とは

Photo by Mayumi

島根県の沖合に浮かぶ、島前(どうぜん)3島と島後(どうご)の4つの有人島と約180の無人島から成る「隠岐」。

「今こそ行きたいパワースポット。神々の棲む島・隠岐へ、神宿る木々をたずねて」でもふれましたが、隠岐とは、日本列島創生に係る地球の歴史、そこから始まった独自の生態系、それらに適応し育まれた人々の営みや文化など、人と大地、大地と自然のつながりがギュッと詰め込まれた神秘の島です。

そんな隠岐は、世界的にみても貴重な島として「隠岐ユネスコ世界ジオパーク」にも認定されています。

Photo by Mayumi

約2,600万年前頃から活発化した火山活動。それにともない、大陸から徐々に切り離された日本列島は、大陸との間に日本海を生み出します。

やがて約600万年前に大規模火山活動が発生。日本海に隠岐の原形が誕生し、気候変動も加わって半島と離島化を繰り返しながら現在のかたちに収束したと考えられています。

今回は、地球の歴史の1ページを示した痕跡が見られる隠岐の絶景から8つを厳選してご紹介します。

赤ハゲ山から見る「島前カルデラ」

Photo by Mayumi

こちらは島前の知夫里島(ちぶりじま)にある「赤ハゲ山展望台」。標高約325mの山頂から一望できるこの絶景は「島前カルデラ」と呼ばれています。

約630〜530万年前の火山活動によってうまれた島前3島(中ノ島、西ノ島、知夫里島)。島を外輪山とした内海は、地形上、外海の影響を受けにくく比較的穏やか。

それゆえにかつては北前船の寄港地として活躍し、集落は内海に集中し、現在はカキの養殖を行うなどカルデラの地形を活かした人々の営みを感じることができます。

マグマの痕跡、「赤壁」の火砕丘

Photo by Mayumi

こちらも知夫里島西岸にある断崖絶壁の「赤壁(せきへき)」。

赤色の岩壁は、火山活動の際、鉄分を多く含んだ溶岩のしぶきが噴き出し、高温のまま空気に触れて酸化した「スコリア」と呼ばれる火山岩から形成されたもの。

そして赤壁に挟まれた白い柱のような岩壁は、スコリア丘の後から割り込むように噴出した白マグマの通り道(火道)の痕跡です。こうした島創世の大地の成り立ちが顕著に見られる場として、国の名勝および天然記念物に指定されています。

波風が生み出した絶景「国賀海岸」

Photo by Mayumi

隠岐随一の景勝地を誇る「国賀海岸(くにがかいがん)」。

高さ100m以上もの断崖と日本海の波風に刻まれた複雑な海岸線。東西約7㎞におよぶ国賀海岸は「国の名勝および天然記念物」にも指定されています。

最大の見どころは、高さ257mにおよぶ垂直に切り立った大絶壁の「摩天崖(まてんがい)」。壁に刻まれた縞模様は度重なる噴火活動の歴史の証です。

崖のうえにある展望台では、なかなか足がすくむ高所感が味わえますよ。

Photo by Mayumi

摩天崖に次いで国賀海岸の人気奇岩スポットが、天然アーチの岩の架け橋「通天橋(つうてんきょう)」。

もともとは海蝕作用でうまれた洞窟でしたが、さらなる海蝕で中央部分が崩落し、入口部分だけが残され現在の形状となりました。こちらも、黒や赤のまだら模様の岩質が太古の火山活動を彷彿とさせますね。

Photo by Mayumi

余談ですが、後述する「ローソク島」とはまた別の「ローソク岩」が国賀海岸にも存在します。それが、国賀浜にたたずむ「観音岩」。日没の絶妙なタイミングに訪れると、岩の先端に火が灯ったようなじつに神々しい姿を拝むことができます。

季節によって、日没のタイミングと見える角度が異なるため、訪れる際は、地元の方に尋ねてみることをオススメします。

パワースポット「明屋海岸」のスコリア丘

Photo by Mayumi

「赤壁」同様、マグマが空気に触れて酸化した赤い岩「スコリア」が見られるスポットが、中ノ島(海士町あまちょう)にある「明屋海岸(あけやかいがん)」です。

隠岐屈指の透明度を誇るエメラルドグリーンのビーチには、スコリアとともにマグマが固まった黒の溶岩や火山弾と呼ばれる痕跡まで残されていて、確かにここが火山活動の場であったことを示唆しています。

Photo by Mayumi

ちなみに、明屋海岸には"女神がこの地でお産をした"という神話が宿る産屋の「たらい岩」と「屏風岩」が存在します。そして、この「屏風岩」の中央に突如現れたハート形の穴が、今や幸運や縁結びをもたらすパワースポットとして人気を集めています。

世界的に希少な岩でできた「トカゲ岩」

Photo by Mayumi

島後(隠岐の島町)の深い山中・鷲ヶ峰にある「トカゲ岩」。

写真だと小さく見えますが、その全長はおよそ26m。異なる岩質が長い年月風雨にさらされ浸食されて、いつしかトカゲのような珍妙な形ができあがったとされています。

トカゲ岩を構成する主な岩質が、強アルカリ性アノーソクレース響岩質粗面斑岩という、世界で3か所しか確認されていない超レアな岩。そのため、県の名勝および天然記念物にも指定されています。

駐車場からほど近い展望台から遠望することもできますが、片道約1時間かけてトレッキングすをして見に行くこともできます。

島前最高峰の焼火山と岩屋を抱く「焼火神社」

Photo by Mayumi

島前最高峰、標高452mの焼火山(たくひざん)。

3島から成る「島前カルデラ」中央部に位置する焼火山は、島前における火山活動末期に起こった再噴火でできた火口丘とされています。この焼火山・内海・外輪山という三重構造をもつカルデラもまた世界で数少ない事例だそう。

そんな焼火山の中腹には、穿った岩屋に本殿を置く、焼火権現を祀った「焼火神社」が鎮座。

かつて後鳥羽上皇が隠岐へ流され(島流し)遭難しかけたとき、海上に現れた御神火に導かれた伝説が残る一方、神社のかがり火は古くから船乗りたちにとって海上の目印だったことから、今でも航海安全の神として信仰されています。

溶岩が生んだ神秘の絶景「ローソク島」

Photo by PIXTA

島後北西部の海上に位置する「ローソク島」。

高さ約20mのローソクのかたちをした奇岩は、約550万年前に噴出した粗面岩溶岩で構成された柱状節理です。もとは島の岬としてつながっていたものが、長い年月の波風浸食で海上に取り残され、離れ岩になったとされています。

ローソク島は崖の上の展望台からも一望できますが、遊覧船にて海上から眺める巨大ローソクの夕景はじつにロマンチックですよ。

伝説が生んだ妖怪岩「七尋女房岩」

Photo by Mayumi

こちらは一風変わった奇岩のご紹介。隠岐は『ゲゲゲの鬼太郎』の生みの親・水木しげるさんのルーツでも知られ、妖怪ゆかりのスポットが数多く存在します。

そのひとつが「七尋女房岩(ななひろにょうぼういわ)」。

昔々、とある侍がこの地で身の丈七尋(ななひろ・約12.6m)にもなる女妖怪に出くわし、刀で斬りつけたところたちまち石化した……という古い言い伝えが残る岩で、岩そのものの高さは約6m、幅は2mほどです。

これだけ切り出されたかのように、不自然に山のなかにたたずむ人面岩。水木さんもこの岩に触れたとき霊気を感じたそうです。

隠岐の自然は妖怪をも呼び起こす、そんなふしぎが詰まった島なのです。

自然ミステリーの宝庫である隠岐の旅を楽しもう

日本列島創生からはじまった、壮大なスケールの大地の成り立ちを体感できる隠岐。そこからさらに一歩踏み込んで、隠岐独自の生態系や風土もまた魅力です。

というのも、隠岐という小さな離島は、北海道や沖縄で見られる植物が生息していたり、大陸系の植物や亜高山性植物、氷河期の生き残りの植物まで共存していたりと、自然ミステリーの宝庫だから。

もちろん、新鮮魚介の美食グルメに島民の方々もハートフル、ゆったりした島時間が楽しめます。

ぜひ隠岐の魅力を満喫しに、少し足を延ばしてみませんか?

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