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発達支援のプロが教える!発達障害のある子が伸びる声かけ・褒め方・叱り方とは

  • 2024.5.22
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小学校教諭としての勤務経験を持つ、発達支援コンサルタントの小嶋悠紀さんと、『with class mama』メンバーでもあり、モンテッソーリ教育×感覚統合の視点を取り入れた研修や講座を行うりっきーさんとの対談第一回では、親の障害受容や発達障害と診断される子が増えている理由などを取り上げました。第二回では、それぞれのアプローチから、発達障害のある子どもが伸びる具体的な声かけ実例や、子どもの特性にフィットした環境を用意して、より力を発揮できるようにする「環境設定」「環境調整」の仕方などを伺います。

発達支援でよく聞く「環境設定」と「環境調整」って何?

――発達障害のある子どもへの支援では、まず「環境設定」と「環境調整」が重要だとお聞きしましたが、この言葉について知らない人も多いと思うので教えていただけますか?りっきー:「環境設定」という言葉はモンテッソーリ教育の中でも頻繁に出てきます。簡単に言うと、子どもを取り巻く物や人、すべてを「環境」と捉えて、それをどのように設定していくのか。どんな物を用意して、どんな大人がどのように声がけをしていくのか考えていくイメージでしょうか。一方で「環境調整」とは、さらに子ども一人ひとりの特性に合わせて環境を調整していくことです。たとえば、外部の情報に気を取られがちな子どもがいたとしたら、その子の机を敢えて壁向きに設置してあげるとか。その子の特性にフィットした環境を用意して、より力を発揮出来るようにしてあげるのが「環境調整」ですね。小嶋悠紀(以下、小嶋):子どもに合わせて保育園を変えるのが「環境設定」だとしたら、通っている園の中で配慮していくのが「環境調整」とも言えるかもしれませんね。例えば時計で言うと、みんなが見やすい時計を教室に置くのが「環境設定」だとしたら、その時計が読めない子がいれば、砂時計を用意して時間を認知してもらうとか、配慮みたいな意味で「環境調整」という言葉があるイメージです。――子どもが通う保育園や学校をどこにするのか、そしてその中でどんな配慮を求めるのか、その二つが大事ということですね。では、ここからはより具体的な悩み事の解決方法についてお聞きしていきます。

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悩み実例①「じっとしていられない」「すぐに気が散ってしまう」

小嶋:教室の中であれば、まずは座席について配慮します。たとえば音に左右されやすいお子さんの場合、席が廊下側にあると、誰かが通っただけで気が散ってしまう。視覚からの刺激で気が散ってしまう子や外を見て空想を始めちゃうようなお子さんであれば窓際ではなく、先生の目の前がいいかもしれません。また、アメリカでは光に過敏なお子さんへの対応として、教室のLEDのライトが刺激になるということでフィルムを巻いて薄暗くしていました。りっきー:長男は、通っている小学校にピントキッズという姿勢サポート用のクッションを持ち込んでいて、そのおかげで授業中にモゾモゾすることが減りました。長男の場合は家庭でも学校でも「変わらない」ことが安心につながる、ということがわかったので、家でも同じものを使っています。小学校に上がるときにもそれを意識しまして、年長の頃から筆箱や鉛筆を使わせて、同じものをそのまま小学校にも持って行っています。入学予定の小学校から時間割をもらってきてそれを家で貼ってイメージを膨らませたり、小学校で飼っているウサギを見に行ったり、給食について教えたりと、なるべく突然の変化がないように心がけていました。小嶋:僕ら学校現場の人間からしたらですね、りっきーさんはスーパー保護者ですよ。こんな親御さんがいたら、どんどん教えてもらおうみたいになるので、学校の先生も心強かったと思います。そして家庭と学校の環境をなるべく同じにする、というのは非常に有効だと思います。それと年長のころから小学校の環境を意識して慣れさせていたというのも、安定して過ごす要因となるので子どもを伸ばしますね。学校への持ち込みについても最近は理解が進んでいるところも多いので、学校へ相談してみるといいかもしれません。一方で、まだ先生方がその子にだけ特別なことはできないと判断するケースは多いな、というのも実感としてあります。そこは特別なニーズがあるんだということを、周りの子にどう説明するのか、周りの子がどう理解するのかという、教育が日本ではまだまだ薄いんですね。それが完成した時に、ようやく持ち込みや特別支援も自然になってくるのではないかなと僕は思います。

悩み実例②「なかなか指示が伝わらない」

小嶋:そういうお子さんは「集中できない」と捉えられがちなんですが、指示の仕方に問題があるケースも考えられます。たとえば、子どもが自分の注目する前に指示を出してしまっていたり、気が散るような物を持ったままで指示していたりする。あとは、そもそも指示が複雑になっていることもあります。たとえば「カラー帽子を持ってきてごらん」と指示したとき、そこには「①いまやっていることを辞めて」「②ロッカーまで行って」「③カラー帽子を掴み、先生のところまで戻る」と3つぐらいの指示が含まれているんです。それでは子どもに意図が伝わらないので、なるべく指示を噛み砕き、一つひとつ説明することが大事だと思います。

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りっきー:モンテッソーリ教育だと、動作と言葉を一緒にしないことが大事だとされています。たとえばペンを動かしながら「こういう風に書いてね」と言っても、伝わらない。なので、まずはペンで書く動作をゆっくりと分析して見せてから、「こうやって書くよ」と言葉を添える。子どもにはそれくらい丁寧に見せて示すことが必要ですね。また、小嶋先生のお話と共通しますが、長男になにかお願いするときは「いまから3つのことを言います」と宣言しています。最初に「これから何が起こるのか伝える」ことで、終わりが見えない不安を無くせるからです。

悩み実例③子どもに伝わる「褒め方」「叱り方」

小嶋:褒め方のポイントは「とにかく驚く」ことです。「うわ~すごいね!」「そんなことできるの!?」と驚いてあげることが、子どもにとっては最高にうれしい。もう一つが、「褒めを積み重ねる」こと。言葉はやはり消えてしまうものなので、たとえば褒められるようなことをしたときにシールを貼ってあげるなど、視覚的に「積み重なっている」ことがわかるようにしてあげるといいですね。

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りっきー:モンテッソーリ教育だと、子どもが集中しているときにそれを妨げてはいけないとされているので、つい褒めたくなってもぐっと堪えて、子どもの手が止まったときに「最後までできたね」と言ってあげるとさらにいいかもしれません。前回と比較して、「この間よりピッタリ貼れたね」とか、具体的にその子の成長したポイントを盛り込んで褒めるのもポイントのひとつだと思います。小嶋:叱り方については、後腐れないことを意識してほしいですね。「これはダメだよ」と叱った後には、「じゃあおやつを食べようか」とすぐに切り替える。叱らなければいけない瞬間は多々あると思いますが、さっぱり叱ることです。りっきー:たしかに。あとは声がけの仕方も工夫できますよね。「走っちゃダメ!」と言うよりも、「ここでは歩こうね」と言ってあげる。もちろん咄嗟のときにはそこまで意識できないんですけど、なるべく否定語ではなく、「やってほしい行動」を促すような言い方を意識すると、子どもの自己肯定感も下がらないのではないかと思います。

大事なのは子ども一人ひとりへの配慮

小嶋:ここまでいろいろと具体的なアドバイスを申し上げてきましたが、やはり共通するのは個々に配慮していくことでしょうね。どうしても落ち着いていられない子には、動くための配慮をしたらいいと思うんです。以前、アメリカの小学校に視察に行ったんですが、そこにはセンサリートイがたくさん用意されていました。たとえば練り消しのようなものが各机に用意されていて、どうしても授業に集中できなくなったら、それをにぎにぎしてもらう。すると落ち着いて授業を受けられる。そういった感覚に対する配慮がしっかりなされていることに感動するとともに、日本の学校でも取り入れていくべきだと感じましたね。――「こうしなさい!」と強制するのではなく、子どもたちのやりたい動作を受け止めてあげるということでしょうか?小嶋:そうですね。彼らが求める感覚をちゃんと理解し、受容してあげること。それが教育現場にも必要だと思います。りっきー:それに加えて、現代の子たちは「経験する場」が圧倒的に少ないのも問題だと感じています。たとえば昔は、水道の蛇口は「ひねる」ものでしたよね。その動作を一日に何十回もしていました。でもいまはワンタッチで水が流れるので、必然的に「ひねる」という動作が奪われてしまう。他にもさまざまな物事が便利になっている一方で、子どもたちから「動作の積み重ね」という経験を奪っているところもあると思います。そういった経験不足が積み重なって、ちょっと不器用とか、文字がうまく書けないとか、もしかしたらグレーゾーンや学習障害と言われることにつながるかもしれない。そういった点で、私はモンテッソーリの取り組みが幼児期〜就学初期の子どもの身体の育ちや感覚を整えることにつながると考えて、子どもたちにさまざまな経験を提供できるようにしています。対談第3回では、これからの発達支援のあるべき形や、「早期発見・早期療育」や進学・就労までの包括的支援の重要性について伺います。

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著書『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル』

【PROFILE】 りっきー(@ouchi_monte_ryoiku)

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1983年大阪生まれ。プラスモンテ®️主宰。小5と小1の男の子の子育て中。日本モンテッソーリ教育綜合研究所2歳半-6歳コース教師、保育士。会社員を12年経験後、長男の発達について悩んだ経験から、発達のことで悩む保護者と子ども、支援者の3者をつなぐ役割をしたいと考え、教育業界へ転職。その後独立。モンテッソーリ教室での講師業の傍ら、保育園・療育施設などで出張研修・オンライン研修をおこなう。講談社with class mamaにて「りっきーの凸凹(でこぼこ)道を行こう!」連載中。近著に『感覚統合の視点で「できた!」が増える!発達が気になる子のためのおうちモンテッソーリ』(日本能率協会マネジメントセンター)Instagram(@ouchi_monte_ryoiku)でモンテッソーリ×感覚統合の視点でおうちでできる取り組みを発信中。

著書『感覚統合の視点で「できた!」が増える!発達が気になる子のためのおうちモンテッソーリ』

取材・文/イガラシダイ

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