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GANG PARADE・テラシマユウカが語り尽くす映画愛「共感を押し付けない、“変な映画”ほど好きです」

  • 2024.5.21
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5月22日(水)にメジャー5thとなるトリプルA面シングル「パショギラ / 躍動 / ROCKを止めるな!!」をリリースする13人組アイドルグループ、GANG PARADE。そのメンバーとして活動しているテラシマユウカは、ウェブ媒体にコラム連載をもつほどの大の映画好き。MOVIE WALKER PRESSでは彼女にインタビューを敢行し、新曲への想いから、自身の映画ヒストリーまでたっぷりと聞いた。

【写真を見る】“映画好きアイドル”テラシマユウカのお気に入り作品は?

グループ初のトリプルA面シングルは「全部が強い曲」

「パショギラ/躍動/ROCKを止めるな!!」は5月22日(水)リリース!
「パショギラ/躍動/ROCKを止めるな!!」は5月22日(水)リリース!

2019年に「ブランニューパレード」でメジャーデビューを果たしたGANG PARADE。今回のシングルはグループ初のトリプルA面シングルとなる。「色々な方に提供していただき、本当に全部が強くて明るい曲になっています。全曲MVやライブ映像も出させていただけて、CD自体に関わってくださる方の数も増えて、制作期間もこれまでで一番長い。本当に贅沢な経験をさせてもらっています」と、テラシマは声を弾ませる。

リード曲の「パショギラ」は、KEYTALKのボーカル&ベースを務める首藤義勝がプロデュースし、KEYTALKメンバー全員が演奏にも参加した“パッションギラギラ”な一曲。「私たちGANG PARADEは“みんなの遊び場”というコンセプトで活動しているのですが、それにマッチした曲になっています。ちょっぴりダサいけれどキャッチーなところがあったり、お客さんも一緒に踊れる振り付けもあったり、客席とステージが一緒になって馬鹿騒ぎできるところが魅力的です」。

1月に配信で先行リリースもされている「躍動」は、KOTONOHOUSE×GANG PARADEのタッグによる“和モダン”なダンスチューンに仕上がっており、テラシマも「めっちゃ新しい曲です!」と手応えをのぞかせる。「和風だけど、海外の映画に出てくる“ジャパン”みたいな雰囲気なんです(笑)。それにクラブミュージックのような間奏も詰め込まれていて、GANG PARADEに親和性がある楽曲に仕上がっているので、そのギャップにも注目してもらいたいです」。

そして「ROCKを止めるな!!」はTHE イナズマ戦隊の全面プロデュースによるロックナンバー。昨年夏に2MANライブ(「ライブナタリー presents GANG PARADE SAY HELLO!2MAN」)を行なった縁から実現したコラボレーションとのことで、「イナ戦さんのMCやライブにかける熱量にメンバー全員が心を動かされ、そこからずっと曲を作ってもらいたいと思っていたんです」と明かすテラシマは「ライブで歌っていると、メンバーと目が合った時にその子の今日の調子がわかるような、私にとって体温計のような曲になっています」と独特の表現で魅力を語った。

メジャーデビューから5年が経ち、このメジャー5枚目のシングルでさらなる飛躍を誓うGANG PARADE。「一貫して明るい曲なので、GANG PARADEを聴いたことのない方にも聴いてほしいです。特にライブやバンドが好きな人、音楽で自分自身を解放したいと思っている人は、私たちのライブで一緒に歌って一緒に踊りましょう!」。

「映画館は集中して観られるので、手軽に非日常に行ける」

テラシマがWEBカルチャーマガジン「StoryWriter」で映画コラムの連載をスタートさせたのは2018年。初めは「それでも映画は、素晴らしい。」と題して様々な人々から古今東西のオススメ映画を聞き、それをテラシマ自身が実際に観て紹介していくという内容で、全31回にわたって続けられた。

5年間、ほぼ毎週新作映画の紹介コラムを書き続けているテラシマユウカ 撮影:河内彩
5年間、ほぼ毎週新作映画の紹介コラムを書き続けているテラシマユウカ 撮影:河内彩

その後2019年に「今日はさぼって映画をみにいく」とリニューアル。今度は上映中の新作映画を毎週紹介していくという内容に一新され、邦画や洋画、アニメなどジャンルを問わずテラシマ自身の言葉でその作品の魅力が語られていく。実に5年近くものあいだ欠かさず続けられているこの連載は、北欧ホラー『胸騒ぎ』(公開中)を取り上げた最新回で256回目を迎えた。

「ファンの方で普段映画をあまり観ない人も読んでくれるので、皆さんにとって映画を観るきっかけになるコラムになったらいいなと思いながら書いています。逆にコラムを読んで私のことを知って、そこからGANG PARADEのライブに来てくれたという人もいて、そういう時にとてもやりがいを感じます。紹介する作品はいつも自分で決めていて、なるべくメジャーな作品を取り入れることでマニアックな方に偏らないようには気を付けているんですけど…結構偏ってます(笑)」。

映画好きの“原点”となった「ハリー・ポッター」シリーズ [c]Everett Collection/AFLO
映画好きの“原点”となった「ハリー・ポッター」シリーズ [c]Everett Collection/AFLO

そんな彼女が映画にハマったきっかけとなった作品はなんだったのか。返ってきた答えは意外にも、王道中の王道「ハリー・ポッター」シリーズだという。「子どものころ家にDVDがあってセリフを覚えるぐらい何度も繰り返し観ていました。新作が公開する時には家族揃って映画館に観に行くのが定番になっていて、そこから映画館に通ったり、TSUTAYAでたくさんDVDを借りて観るようになりました。でも本格的に映画にハマったのは高校生ぐらいからだったと思います」。

“原点”だと語る「ハリー・ポッター」シリーズのほかに、彼女にはもう一つ思い出深い作品があるという。「母親とケンカした時に、祖母が『気分転換に』と映画館に連れて行ってくれたことがあるんです。その時たまたま近くの映画館で公開されていたのがグザヴィエ・ドラン監督の『Mommy/マミー』。その時は『なんでこんな映画を観せるんだ!』と怒りが湧きましたが(笑)、上京して親の大切さに気付いた時にふと思い出して観直してみたら、すごく良い作品だと思えるようになっていました。自分が大人になったということもあると思いますが、見方が変わることで同じ映画でもこんなに感想が変わるんだと、映画のすばらしさをしみじみ感じることができました」。

若き天才グザヴィエ・ドラン監督の『Mommy/マミー』はターニングポイントとなる作品に [c]Everett Collection/AFLO
若き天才グザヴィエ・ドラン監督の『Mommy/マミー』はターニングポイントとなる作品に [c]Everett Collection/AFLO

それをきっかけに同じ映画を何度も観ることが増えたという彼女だが、家で配信やDVDなどで映画を観るのはあまり得意ではないという。「集中力もあまり続かないし、特に初見の作品は『テレビじゃもったいない』『映画館で観たいな』と思ってしまいます」。

生粋の“映画館派”を貫くだけでなく、映画鑑賞に際してさまざまなこだわりを持っているようだ。「あまり予告編を見ないようにしていて、ポスターのビジュアルでピンときたものを観ることが多いです。ストーリーも事前に読まずに映画館へ行くので、理解に時間がかかるのですが、それが楽しくて。観ている時には作品の設定や世界観も大事ですが、物語の入り方にいつも注目しています。クエンティン・タランティーノ監督の『レザボア・ドッグス』を初めて観た時は、始まり方がとにかくカッコ良すぎて感動しました」。

映画館体験の醍醐味をとことん味わったというクリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』 [c]Everett Collection/AFLO
映画館体験の醍醐味をとことん味わったというクリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』 [c]Everett Collection/AFLO

映画館で映画を観ることの魅力については、「手軽に非日常に行けることじゃないでしょうか」と語る。「環境としても、映画館以外で2時間も暗闇に座って閉じ込められることなんてないですし(笑)。家でも真っ暗にして、携帯電話もオフにして観ることはできますけど、画面以外の情報が一切ない場所は映画館しかない。以前クリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』の再上映を観に行った時に、気持ちが宇宙まで飛ばされるような感覚を味わいました。『こんなに映像で圧倒されることがあるのか』と驚いて、より映画館で観ることの魅力を改めて感じました」。

「“変な映画”が本当に好き!スプラッターなども平気です」

好きなジャンルについて尋ねると、「実は私、ホラー映画が好きなんです」と意外な答えが。「安易に共感を押し付けてこないし、自分と重ねてみようと思っても、ありえないことが多すぎてまったく投影できない(笑)。そんなぶっ飛んだ、“変な映画”ほど好きになります。なのでスプラッターなどのグロい作品も平気で、むしろスポーツ観戦をしているようなテンションで『行け!行け!』って応援しながら観てしまいます(笑)」。

【写真を見る】“映画好きアイドル”テラシマユウカのお気に入り作品は? 写真は『ボーはおそれている』より[c]Everett Collection/AFLO
【写真を見る】“映画好きアイドル”テラシマユウカのお気に入り作品は? 写真は『ボーはおそれている』より[c]Everett Collection/AFLO

最近気に入った“変な映画”を訊いてみると、下津優太監督の『みなに幸あれ』(24)やアリ・アスター監督の『ボーはおそれている』(23)、ブランドン・クローネンバーグ監督の『インフィニティ・プール』(公開中)と、鬼才監督たちが手掛けたホラージャンルの作品が次々と挙げられていく。

さらにホラーのなかでも『エクソシスト』(73)や「死霊館」シリーズなど、“悪魔”を題材にした作品が特にお気に入りだという彼女だが、以前はホラー映画が苦手だったという。「中高生の時は本当に苦手で、友だちと遊ぶ時に肝試し感覚で映画館にホラー映画を観に行って、ワーキャー騒いでいる女子の一人でした」。そんな時に出会ったのが、鶴田法男監督が手掛け、川口春奈と志田未来が共演した『POV 呪われたフィルム』(12)だったそうだ。

テラシマユウカは、苦手だったホラーが快感に変わった瞬間を語ってくれた 撮影:河内彩
テラシマユウカは、苦手だったホラーが快感に変わった瞬間を語ってくれた 撮影:河内彩

Jホラーブームが落ち着いた頃に制作された同作は、川口と志田が実名の女優役として出演したモキュメンタリーホラー。心霊動画を紹介する番組に視聴者から届けられた一本の動画をきっかけに不可解な現象が起き、その真相解明に乗りだすというストーリーだ。「もう怖すぎて…。でも観ている時に、自分の恐怖の限界を突き抜けて一瞬だけ“無”になる時間があったんです。溜まりに溜まった恐怖がいっぱいになって、快感に変わった。そこから一気にホラー映画の虜になっていきました」。

こうしたJホラー作品にある“身近な怖さ”に自身の恐怖の限界を見出したテラシマ。そんな彼女が“トラウマ”だと語るのは「リング」シリーズでおなじみの中田秀夫監督による『仄暗い水の底から』(02)だ。「小学生くらいの時に、テレビでやっているのを母親が観ていたんです。私はそれをチラッと観ただけなのですが、それがちょうど怖いシーンで…。そのトラウマがあって、『仄暗い水の底から』をまだきちんと観たことがないんです。いつかこの壁を越えたいと思っています」。

年に何回かは観るという『ゴッドファーザーPARTII』は、言わずと知れた名作 [c]Everett Collection/AFLO
年に何回かは観るという『ゴッドファーザーPARTII』は、言わずと知れた名作 [c]Everett Collection/AFLO

最後に彼女にオールタイム・ベストワンの映画を訊いてみると、しばし考え込んだ末、「毎日変わるんですが…今日の気分だと『ゴッドファーザーPARTII』ですね!」と答え、笑顔を見せた。

取材・文/久保田 和馬

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