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安達祐実さん「諦めても、逃げてもいい」 もがいた時期を経て道が開けた

  • 2024.5.21

2歳でモデルデビューして以来、長く芸能界で活躍する安達祐実さん。子役としてブレイクしたからこそ、世間のイメージとのギャップに苦しんだ時期もありました。「35歳を過ぎてから、気持ちが楽になった」と話す安達さんに、俳優としてのターニングポイントや、年齢を重ねることへの思いを聞きました。

子役のイメージをぶち壊したかった

――これまでの人生を振り返って、ターニングポイントはいつでしょうか?

安達祐実さん(以下:安達): 最初はやはりドラマ「家なき子」ですね。その前に「REX恐竜物語」という映画に出演しましたが、その頃はまだ仕事と遊びの中間のような意識でした。「家なき子」からは完全に俳優を職業として考えられるようになり、自分のマインドが変化した作品です。また、キャリアの面でも、「家なき子」がなかったら今はないでしょうから、大事なターニングポイントですね。

その後、18歳の時にNHKの大河ドラマ「元禄繚乱」で大石内蔵助の妾役を演じました。初めての女性らしい役だったので、そんな役が自分にきたことがすごく嬉しかったです。この役で初めて大人の女性としての自分も認めてもらえたと感じました。

朝日新聞telling,(テリング)

――2014年には映画「花宵道中」に主演し、花魁(おいらん)の役を演じました。

安達: 当時、俳優としての仕事があまりうまくいっておらず、タレントとしてバラエティー番組に出ることの方が多かったんです。俳優として生きていきたいけれど、今の状況では堂々と俳優だと言えない、という葛藤がありました。そんな中で、24歳で結婚、出産して世間のいわゆる子役のイメージと実際の自分にギャップが生まれてきてしまった。結婚・出産も世間からはあまり祝福してもらえませんでした。人生の幸せな瞬間に、なぜこんなにも喜んでもらえないんだろう、と思って少し苦しかったですね。

世間のイメージと実際の自分がすり合わず、もがいている時期が続いて、これは一度イメージをぶち壊しにいこうと思って選んだのが「花宵道中」という映画でした。ハードなシーンも多くあるこの作品で「皆さんが思っているような安達祐実ではないんですよ」というのをわかってもらおう、と思って挑みました。時には勢いと、ある程度の無謀さで自分の立ち位置を切り拓いていくことも必要だと思います。

苦しい仕事は続かないから

――2歳でデビューして、長く活躍しています。続ける秘訣はありますか?

安達: その場面その場面で、いろいろな気持ちがありました。俳優を始めた頃は、他にないからこれでやっていくしかないという気持ちでやっていましたが、途中からはお芝居をするのが楽しいと感じるようになりました。世間から認めてもらえていないと感じていた時期は、自分の中にあるエネルギーをどうにか発散させて、みんなにもそれを感じてもらいたいという衝動で続けていました。

そして今は、「気楽にやればいいんじゃない」と思っています。どの仕事も同じだと思いますが、苦しいことは続きません。完全に心が壊れてしまうまで自分を痛めつけて続けるべきではないと思います。諦めるところは諦めていいし、逃げるときは逃げていい。そう思えたのは30代半ばくらいですね。

朝日新聞telling,(テリング)

これが私にとっての結婚のせいいっぱい

――telling,では婚活もテーマに取り上げています。安達さんは二度の結婚を経験されていますが、結婚に対する思いをお聞かせください。

安達: 今は早く結婚したほうがいいという時代でもないですよね。結婚には、いい面も悪い面もあります。もちろん一緒に生きる人がそばにいる安心感がありますし、結婚して世間の目を気にしなくて良くなったと感じる人もいると思います。でも一方で、結婚していない自由もあります。結婚は絶対にしなければならないものだと思わずに、結婚していないことの自由さや楽しさを味わうのもいいのではないかと思います。

――また結婚したいと思われますか?

安達: 思わないですね(笑)。私の生活においての結婚は、十分に味わった、これが私にとっての結婚のせいいっぱいだったと思っています。この先、仕事はもちろん全力を注ぎますが、それ以外の時間や心、お金などはすべて子どもが幸せであるために使いたいですね。

朝日新聞telling,(テリング)

できないことは自分の伸びしろ

――お忙しいと思いますが、どのように心身をリフレッシュしていますか?

安達: メンタルはわりと穏やかで、一定のテンションで生きています。年齢を重ねるごとに落ち込むことも少なくなり、「まぁいいか」で済ませられるようになりました。それでも、自覚がない部分で肌や体調に不調が出たりすることもあります。そういうときは、散歩をしてリフレッシュします。緑に触れるとリラックスできるので、日常の中にそんな時間を取り入れるように意識しています。高校生の娘が気にかけてくれて、アロマキャンドルを焚いてくれることもあり、癒されています。

――今後、どのように年齢を重ねていきたいですか。

安達: お芝居に関しては、年齢を重ねるごとにすごく自由になってきたと感じています。60代以降になるとおばあさんの役もできるようになるので、またビジョンが見えてくると思うのですが、50代は今のところ一番未知の世界です。でも、年齢より上にも下にも演じられる時期なので振れ幅も大きく、今までにない役の広がり方もあるのかなと思います。

いま、舞台のお仕事もしているのですが、すごく楽しいんです。これまで舞台はほとんどやってこなかったので大変なことも多いですが、「こんなにもできないことがあるのか」と思って、自分の伸びしろを感じています。できないことがあるということは、できるようになる可能性があるということなので、新しい道が開けたような気持ちです。この先、もっと舞台をやっていきたいと思っています。

朝日新聞telling,(テリング)

――読者の皆さんにメッセージをお願いします。

安達: 20代、30代は私自身も苦しいことが多くありました。でも、悩んだり苦しんだりすることは、悪いことではないな、と今は思っています。たとえ失敗しても、大変な思いをしても、土壇場で踏みとどまればいいんだと思っています。最後の一歩さえ踏み外さなければ大丈夫。たぶんみんなもっと手前から焦ったり悩んだりすると思うのですが、最終的に崖から落ちなければ大丈夫です。それは人生を通じて思ってきたことであり、今でも思っています。「崖から落ちなければよし」という気持ちが頭の片隅にあると、少しだけ心が楽になると思います。

■尾越まり恵のプロフィール
ライター/株式会社ライフメディア代表。福岡県北九州市生まれ。雑誌、WEB、書籍でインタビュー記事を中心に取材・執筆。女性のハッピーを模索し、30代はライフワークとしてひたすらシングルマザーに密着していました。人生の決断を応援するメディア「わたしの決断物語」を運営中。

■家老芳美のプロフィール
カメラマン。1981年新潟生まれ。大学で社会学を学んだのち、写真の道へ。出版社の写真部勤務を経て2009年からフリーランス活動開始。

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