1. トップ
  2. エンタメ
  3. imaseさん「〈凡才〉なりのやり方で〈盆栽〉のように親しまれる音楽を」/アルバム『凡才』インタビュー

imaseさん「〈凡才〉なりのやり方で〈盆栽〉のように親しまれる音楽を」/アルバム『凡才』インタビュー

  • 2024.5.21

2022年発表の楽曲「NIGHT DANCER」で注目を集め、これまで発表した楽曲は、全世界のSNS累計100億回再生を突破。まもなく初のアジアツアーもスタートするなど、ワールドワイドに活躍の場を広げている、imaseさん。1st Album『凡才』は、自身の音楽ヒストリーをたどりながらも、ポップかつグローバルな視点で世界と向きあうまっすぐな視線を感じさせる作品になっています。

1970~80年代の日本ポップスがルーツ

━━楽曲「NIGHT DANCER」は、日本だけでなく世界各地でも人気に。改めてこの楽曲は、どんな意味を持つものになりましたか?
 
この楽曲のおかげで海外からも評価をいただけたりなど、いろんな景色を見ることができました。意義深い経験をさせてくれた楽曲だと思っています。
 
 ━━そういった反響から、 音楽に対する価値観の変化はありましたか? 逆に環境が変化しても変わらない部分はありますか?
 
普遍的に良いと言われるメロディーや語感みたいなものはずっと大切にしているので、そこはずっと変わらずに意識している部分です。
 
 ━━確かに、1980〜90年代の日本のヒット曲からの影響も感じさせる、ちょっと胸をくすぐる展開がありますよね。
 
幼少期に両親の影響で松任谷由実さんなどの 70~80 年代のポップスや歌謡曲、シティ・ポップを耳にしていたので、そこが自分のルーツなんだと思います。そこに今っぽさのあるメロディーやボーカル(ラップ)などを交えて、今と昔のハイブリッドのようなサウンドを作ることを意識しています。
 
 ━━それら楽曲の多くは、ご自宅のベッドルームで制作されているそうですね。どういうシチュエーション、もしくはお部屋の環境のなかから生まれるのですか?
 
環境に左右されることはあまりなく、自分がこれまで聴いてきた曲や作りたいアイデアが元になって楽曲が完成することが多いです。部屋の環境によっていいものが浮かぶ、みたいなことはないですね。
 
 ━━例えば、集中するためにアロマを焚くとか、ルーティンみたいなものはなく?
 
気持ちの切り替えをするためにお香を焚くこともありますが、それが必須なわけではなくて。どうしたら多くの方に聴いていただけるかということだけに集中できれば作業できるタイプです。
 
 ━━集中して曲作りをしてきた結果、2021 年のメジャーデビュー以降、多数のヒット曲を量産されてきました。そして、今回の1st Album『凡才』が完成。これまでの軌跡を振り返るような聴きごたえのある作品に仕上がっていますね。
 
収録曲は、すでに発表している楽曲が多いのですが、アルバムの構想はかなり前から頭のなかにありました。既発曲を並べて、足りないパズルのピースを埋めていくような感覚で新しい楽曲を加えながら、自分の歴史や現在を表現できた作品になったと思います。
 
 ━━imaseさんは〈アルバム〉という形態で音楽を耳にすることが多いのですか?
 
サブスクで音楽を聴く世代なので、CD やアナログのフィジカル盤にはあまりなじみがないんです。でも、だからこそ手に取るかたちで音楽を聴く習慣が新しくて、より音楽に没入できるような感覚になるので、自分たちの世代にもそういった楽しみ方を知っていただけるいい機会になればいいなと思います。
 
 ━━では、収録された全19曲には、大きなテーマ、コンセプトがあるのですか?
 
今回のアルバムは収録曲が多いので、最初から最後まで飽きずに聴いていただくにはどうしたらいいのかを考えながら構成しました。ライブのセットリストを組むときに近いイメージでしたね。
 
 ━━確かに、緩急があって、最後まであっという間に楽しめながら、また最初から聴き直したくなるみたいな。中毒性のある内容です。そんなアルバムのタイトルを『凡才』にした理由は?
 
僕は、昔からギターやキーボードが弾けたわけでも歌が上手かったわけでもなかったので、〈凡人〉なりのやり方で、どうしたらみなさんに楽しんでいただけるかを考えながら制作したんです。そんな思いで完成した楽曲たちが詰まったアルバムになっているので『凡才』と名付けました。また、国内外問わず多くのリスナーの方々に〈盆栽〉のような親しみを感じていただきたいという思いもこめて、このタイトルをつけました。

暮らしにとけこみやすい楽曲がそろうアルバム

━━とても非凡な音楽センスを感じる作品に仕上がっていると思います。そんなアルバムの冒頭を飾るタイトル曲「BONSAI」には、どんな思いを表現されたのでしょうか?
 
今まで自分のことや経験を楽曲にしたことはあまりなかったのですが、この曲では、今までを振り返りつつ、自分がどんな環境でどのように音楽を作っているのかを綴りました。初期に制作した「Have a nice day」に近い、あえて作りこんだりせずに部屋でひとりで作っている雰囲気を大切にしました。
 
 ━━逆に「Rainy Driver」は、ゴージャスというか、広がりのあるサウンド展開ですね。
 
この曲は、今どきな雰囲気の仕上がりというか。今の自分が好きで作りたい音を表現したという感じですね。とてもノリのいい 90年代の英国ダンス・ミュージックの要素を取り入れつつ、ボーカルにもこれまでにはない色を加えて展開を楽しんでいただける楽曲になったと思います。
 
 ━━「Happy Order?」は、カラフルでポップなナンバーになりましたね。
 
この曲は完全にJ-POPを意識しています。ミレニアム(2000年)前後のアイドル・ポップスのイメージで歌詞にも茶目っ気や遊び心を加えて、2000年当時のような雰囲気をイメージして制作しました。
 
 ━━そのほかの楽曲も、遊び心がたくさんちりばめられている作品になりました。初のアルバム制作を通じて、何か得るものはありましたか?
 
このアルバムを通じて、多様なアプローチで楽曲を作ることができたなと感じています。CM やドラマのタイアップ曲では、自分の頭のなかにはなかったイメージを音楽にすることができました。また、今回のアルバムのために書き下ろした楽曲は、初期には絶対に思いつかなかったアイデアに挑戦できたりと、このアルバムの制作を通して自分の表現の幅が広がったなと強く思いますね。
 
 ━━リスナーには、アルバムを通してどういう景色を感じてもらいたいですか?
 
今回のアルバムは、暮らしのなかにとけこみやすい曲が多いのかなと思います。ぜひ、生活している日常のなかで流していただけたら嬉しいです。

便利な機能を取り入れ、暮らしにゆとりを

━━また、このアルバムを携えて、6月からアジアツアー、そして11月からは全国ホールツアーも決定。どんなステージになりそうですか?
 
初期の頃と比べて、ライブを意識して楽曲を制作することが多くなりました。会場でみなさんとコール・アンド・レスポンスができたり、一緒に手拍子ができたり、一体感を味わえる内容になると思います。また、最近の楽曲はストリングスやホーンを入れたものもあるので、会場によってはそういった演出を加えた編成で、楽しんでいただける内容にしたいなと考えています。
 
 ━━とても楽しみにしています。また、今後はどんな音楽を追求していきたいですか?
 
ありがたいことに海外の方々にも応援していただいているので、国内にとどまらない活動をしていきたいです。
 
 ━━ちなみに、アルバムタイトルにもなっていますが、imaseさんは〈盆栽〉など、ボタニカルなものにご興味はありますか?
 
実は昨年、盆栽を購入しまして。小さい松の木なのですが、可愛いなと思って。大切に育てています。
 
 ━━植物があることで、暮らしに変化は?
 
リラックスできますね。盆栽以外に観葉植物も置いていて。緑に囲まれていると、浄化されるような気分になります。
 
 ━━ほかに何か暮らしでこだわっていることはありますか?
 
家電にハマっています。最近引っ越しをしまして、新しい家電を揃えるにあたっていろいろと調べていくうちに、最新の家電を取り入れたら時短になるなと。そういう便利な機能はできる限り活用しようと思うようになりました。
 
 ━━いま何か狙っている家電はありますか?
 
コーヒー・メーカーが欲しいと思っているのですが、お手入れが大変だと聞くので少し悩んでいます。あとは、照明も探していて。明る過ぎず、暗くもなく、部屋に合うちょうどいいものを探しに仕事の合間を縫ってお店を廻っているのですが、なかなかいいものに出会えていなくて…。
 
 ━━では、いい照明が見つかったときには、また取材させてください。
 
ぜひお願いします。ありがとうございます(笑)。

imase 1st Album『凡才』

imase
¥2,750(通常盤)/ユニバーサル ミュージック /Virgin Music
now on sale

「NIGHT DANCER」はもちろん、ANESSA Global Campaign Songに起用され話題の「Shine Out」や、マクドナルドタイアップソングの「Happy Order?」を収録した全 19 曲。盆栽をモチーフにしたポップなアートワークは、インテリアの一部としても活躍しそう。また、ライブのダイジェストや貴重なバックステージの様子などを収録した映像作品がパッケージされた初回限定盤も発売。

PROFILE

いませ/2000年、岐阜県生まれ。21年にSNS上に初めて楽曲を投稿し、同年にメジャーデビュー。6月から自身初のアジアツアー、11月13日(水) LINE CUBE SHIBUYAを皮切りに初のホールツアー「imase Hall Tour 2024 “Shiki-Sai”」がスタートする。  

https://www.universal-music.co.jp/imase/ 

photograph:Miho Kakuta hair & make-up:Daisuke Mukai text:Takahisa Matsunaga
 
リンネル2024年7月号より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

元記事で読む
の記事をもっとみる