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森永卓郎さんに聞いた!新NISAの賢い使い方と、投資のリスクについて/モリタクさんの「お金の話」もりだくさん!⑧

  • 2024.5.20
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Q.新NISAが始まりました。投資で得られた利益に対してかかるはずの約20%の税金が優遇される制度だと知りました。その投資額の幅が、以前のNISAに比べて大きくなるそうです。しかし、日本株ではなく外国の株を買ってもいいそうで、日本経済にプラスになるのかよくわかりません。(Y、20代、学生、女性)ダ・ヴィンチWeb

新NISAが始まり、これまで投資とは無縁だった多くの国民が、投資に乗り出しています。なかでも、アメリカや世界の株式に分散投資をする投資信託を購入する人が多くなっています。その結果、毎月数千億円が、投資資金として、海外に流出しています。

いま各所で盛況になっている新NISAのセミナーでは、これまで数十年の投資実績をみると、米国株に投資した場合の利回りは、年6%を超えていて、高い収益が期待できるだけでなく、分散投資をすることでリスクも抑えられるという、よい話ばかりが喧伝されています。

ただ、これまで100年の歴史をみると、投資には大きなリスクが伴うことが分かります。1920年代のアメリカは、圧倒的な国際競争力を誇るアメリカ製の自動車や家電製品のブームでした。株式市場では、アメリカの自動車や家電産業の株式にとてつもない高値がつきました。しかし、行き過ぎには必ず反動がきます。1929年10月29日、ニューヨーク市場の暴落が始まりました。そしてアメリカの平均株価は、3年弱で10分の1、つまり90%ダウンとなったのです。平時の株価はじわじわと上がりますが、いったんバブルがはじけると、急降下するのが常です。ちなみにいまのアメリカの高株価をけん引しているのは、ドットコム企業で、その構造は、1920年代と非常によく似ています。また、株価の割高指標でみると、いまのアメリカの株価は、本来の2倍から3倍という高値がついています。

もう一つの海外投資のリスクは、円高です。2008年9月のリーマンショックの際には、前後5年間でドルの価値が4割も下がっています。米国株の株価が10分の1になって、ドルが4割安になったら、投資資金は94%も値下がりすることになります。必ずそうなるというのではなく、そうなる可能性があるということです。

国民の金融資産が海外に向かうということは、投資資金が国内企業ではなく、海外に流出するということで、その意味では、日本の中長期的経済成長を阻害することになるのですが、私がそれ以上に懸念しているのは、国民が営々と築いてきた貯蓄が、バブル崩壊とともに、消滅してしまうことです。

株式投資は、買うことより、売ることのほうがはるかに難しいのですが、新NISAのセミナーでは売り方を教えてくれません。特に暴落への対処法は、まったくといってよいほど触れられていないのです。

ちなみに、推奨はしませんが、私自身は今年の1月に保有する外貨建ての投資信託をすべて売却しました。連日更新される米国株の最高値に高所恐怖症になってしまったからです。ただ、そのおかげでいつバブル崩壊がやってきても、私自身は、とても安心です。

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