1. トップ
  2. 恋愛
  3. 『好きでも嫌いなあまのじゃく』小野賢章&富田美憂インタビュー

『好きでも嫌いなあまのじゃく』小野賢章&富田美憂インタビュー

  • 2024.5.19
『好きでも嫌いなあまのじゃく』小野賢章&富田美憂インタビュー

大人の顔色を伺って過ごす少年時代、柊に似ているかも(小野)

『ペンギン・ハイウェイ』や『泣きたい私は猫をかぶる』で注目を集めるアニメーションスタジオ「スタジオコロリド」が贈る新作『好きでも嫌いなあまのじゃく』が5月24日に公開される。

本作は男子高校生と鬼の少女の出会いと成長を描いた青春ファンタジー。高校1年生の柊は「みんなに嫌われたくない」という思いから自分の気持ちに蓋をして過ごしているが、天真爛漫で自分勝手な鬼のツムギと出会ったことによって変化していく。

柊の声を担当した小野賢章とツムギの声を担当した富田美憂に作品への思いや自分の若い頃のバイト経験などを素直な言葉で語ってもらった

[動画]小野賢章の苦節バイト歴に富田美憂が感嘆『好きでも嫌いなあまのじゃく』インタビュー

──本作の台本を読んだ第一印象を教えてください。
小野:『泣きたい私は猫をかぶる』という作品でお仕事をさせてもらったときも感じたんですけど、すごいあったかい気持ちになりましたし、勇気をもらえる作品だなと思いました。

富田:日常だけど非日常みたいな不思議な世界観がとっても魅力的だなと思いました。

──コミュニケーションの難しさがテーマのひとつだと思いますが、何か感じられた事はあるでしょうか?
小野:お互いのことを尊重している関係性で、相手のことを思って言った言葉なのに、それがお節介になったりとか、傷つけてしまうみたいなシーンがあるんですけど、これは日常でもよくあることだなって思いました。その人にとっては、そんな言葉は全然必要なかったみたいな。人付き合いって、本当に難しいですよね。大人になればなるほど、難しくなる部分が多くて、素直に気持ちを言葉にできるっていうのは、子どものうちの特権かもしれないと思いました。

富田:私も昔から、言わずに済ますことが多いので、そこをうまい塩梅で見定めていけたらとても生きるのが楽なのになと思います。言わないと変わらないことは、やっぱりありますよね。言わないほうがいいことと、言わなきゃいけないことのバランスって、とても難しいと思います。

──演じられた役どころについては、それぞれどんなキャラクターと捉えられましたか?
小野:柊は空回り気味というか、親友と呼べるような友だちがなかなかできなくて、友だち関係を良くしていきたいのにうまくいかないと思っている少年です。ツムギと出会って変わっていきます。

富田:ツムギは鬼だし、とっつきにくい感じなのかなって思ってたんですけど、実際は他の人間の人たちとかけ離れてるということはなくて、はつらつとした、好き嫌いがはっきりしてる女の子です。
──ご自身との共通点はありましたか?

小野:僕は早くからこの業界で仕事をしていて、わりと大人の顔色を伺って過ごす少年時代だったんですけど、柊の子どもっぽくないところがもしかしたら似てるかもなって思いました。

富田:私も学生の頃からお仕事をさせていただいてたので、物事を変に達観して見がちなところがあって、どちらかというとツムギよりも柊に近いように思います。高校時代もみんなが部活やバイトをしてるときにお仕事をしてたから、バイトとかしてみたかったです。

小野:バイトね、僕はたくさんしたよ。プールの監視員とか、スープカレー屋さんとか。あと、ビッグサイトとかでイベントの解体の日雇いバイトとかもした。

富田:そうなんですか!

小野:当時はまだ大江戸温泉物語が近くにあったから、仕事終わったら寄っていって、その日に稼いだお金全部使ったりして(笑)。
──小野さんはこの業界に長くいらっしゃるから、芸能活動と並行してバイトされていたんですか?
小野:いや、芸能の仕事がほとんどない時期もあったんで、お金がなくて苦労してましたね。でも、20歳くらいのときに、バイトだけでも生活できてしまう状況に流されているような気がして、バイトをすっぱりとやめました。

富田:私は弟が2人いるんですけど、弟からバイトの話を聞くと、経験してみたかったって思います。スターバックスの店員さんとか憧れちゃいますね。

親元を離れて、やっと親のありがたみがわかるように(富田)

──若いときにいろんな仕事を経験するのはいいことかもしれないですね。
小野:この作品でも柊の職場体験みたいなシーンが出てくるんですよね。見ていて10代の方にはいろいろと共感してもらえる部分があるんじゃないかと思います。僕はどっちかというと親目線のほうになるというか、お父さんお母さんの気持ちもわかるなって思いました。
──教科書的な描き方でなく、親も1人の人間として描かれているところに好感が持てました。
富田:そうなんですよね、だから私は反抗期のときに出会いたかったです、この作品に。母親とは仲良いんですけど、父親とはまったく口をきかないくらいに仲が悪い時期があったので。でも、1人暮らしをして親元を離れて、やっと親のありがたみがわかるようになりました。
──最後にこの作品のどんなところをどんな方に見て欲しいか、教えてください。
小野:最初は柊が自分の気持ちを言えない、自分の思ってることを行動に移せないというところから始まって、いろんな人と出会っていく中でどんどん変わっていく姿が丁寧に描かれています。今同じような悩みを持ってる方ってすごいたくさんいらっしゃると思うので、そういう方にちょっとした勇気を感じてもらえたらいいなと思います。

富田:見る方によって共感できるキャラクターというか、感情移入する登場人物が違ってくるのかなって思いました。あと、ツムギたちの年代の方には、お母さんたちは実はこう思ってるのかもしれないと想像してもらったり、逆に親世代の方は自分の娘、息子たちはこういう気持ちを抱えてるかもしれないと考えてもらうこともできると思います。若い世代の子たちにもわかりやすいと思うので年齢関係なく幅広い方に見てほしい作品だなって思います。

(text:入江奈々/photo:泉山美子)

元記事で読む
の記事をもっとみる