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「辛くない韓国」を味わう。料理家・なかしましほさんが案内する、ソウルの人々に愛されるおいしい名店

  • 2024.5.17
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東京・国立の焼菓子店「foodmood」店主で、料理家としても活躍しているなかしましほさん。韓国の「食」に惹かれてたびたび韓国を訪れるようになり、韓国・ソウルの食堂やカフェ、市場などを紹介するガイド本「なかしましほ ソウルのおいしいごはんとおやつ」(KADOKAWA)を出版するに至りました。

できあがった本を取材先のお店の方に直接手渡すため、ソウルを旅してきたというなかしまさんに、本制作の裏側などについて伺いました。

ダ・ヴィンチWeb
『なかしましほ ソウルのおいしいごはんとおやつ』(なかしましほ/KADOKAWA)

チームの情熱と胃袋で乗り越えたソウル取材

――本文中ではお店の方の言葉が多く書かれていますね。なかしまさん自身がお話を聞かれたのでしょうか。

なかしましほさん(以下、なかしま):はい、事前に私が考えた質問をベースに、今回の本で編集、通訳、翻訳を担当していただいたomo!さん(後藤涼子さん、土田理奈さんによる編集ユニット)を交えてお話を聞きました。私もお店を営んでいますが、国は違えど、飲食店を続けるということは、材料、値段、スタッフのことなど、大切だと感じる点は一緒だと思っています。メニューについては味の説明はもちろんですが、その料理が生まれたきっかけや、同じ味を保つための工夫について、どのお店にも必ず聞きたいと思っていました。

なかしましほさん(以下、なかしま)

いつもスタッフさんのホスピタリティがすばらしいなと感じるカフェでは、どういう方を採用するかについて聞きました。コロナ禍でのご苦労についても、すべてを掲載できてはいませんが、とても心に残るお話が多かったです。

――取り上げているお店は60軒ほど。すべてのお店で直接お話を聞く取材は、かなり大変だったのではありませんか。

なかしま:omo!さんが完璧なスケジュールを組んでくれたのですが、それでも2週間弱の取材期間、1日5〜6件のお店を回るのは初めての経験で、時にはハードに感じることもありましたね。

なかしま

そんな中、韓国のガイド本を作るなら必ずお願いしたいと思っていたカメラマンの衛藤キヨコさんが、いつもチームの先頭に立って、お店の方達の真剣に調理する様子、そして笑顔を引き出してくださいました。omo!さんの通訳はすばらしく、おかげでかなり専門的な調理の質問もさせていただけましたし、デザイナーの藤田康平さんが日にちの許す限り取材に同行してくださったことで、本の全体像が早くイメージできて助けられました。

――取材の際に心がけていたことはありますか?

なかしま:どのお店でもお腹を空かせて食べたいと思い、取材に向かっていました。空腹の時と満腹の時では食べものに対する印象は変わりますよね。その点はスタッフさんみんなが助けてくれて、一緒に食べて、時には休憩を挟み、また次のお店に向かうようなスタイルだったのがありがたかったです。

なかしま

おいしい店は店主も魅力的。感動で涙したり、かっこよさにほれぼれしたり

――特に印象に残った取材時のエピソードを教えてください。

なかしま:「イェッチッククス」という食堂の取材時に、店主のお母さんの話に感動して思わず涙してしまったことでしょうか。一緒にお母さんも涙ぐまれて、そのページに掲載されている写真では、ふたりとも目が赤いんです(笑)。「Cafe Onion」の取材時も、オーナーさんのお話がすばらしくてスタッフ一同泣いてしまいました。お店を作る人たちのお話を聞くことで、ますますそのお店が好きになります。

なかしま

――表紙カバーの上の写真が「イェッチッククス」、下の写真が「Cafe Onion」ですね。他にもあればお聞きしたいです。

なかしま:取材OKのお返事がいただけずあきらめていたお店から、帰国前日の夜にOKをもらえたことも印象に残っています。空港へ向かう前のぎりぎりの時間に取材させてもらいましたが、やはりすばらしい味で行けてよかった!と感動しました。

なかしま

もう一つは韓国式たいやき店「ヒョゴインオパン」の店主のおじさんに、取材終わりにとてもおいしかったですと伝えたところ「うちよりおいしいお店はたくさんあるよ」と言われたこと(笑)。職人さんのかっこよさにしびれました。

――そもそも、なかしまさんが韓国にハマるきっかけは何だったのでしょう。

なかしま:本でも触れていますが、仕事がとても忙しい時期に、家にいても仕事のことばかり考えてしまうため、強制的にリセットするために韓国の映画やドラマを観るようになりました。ストーリーももちろん面白いものがたくさんあったのですが、中に登場するごはんがとにかくおいしそうで、興味を持ちました。

なかしま

ソウル旅のお供にはもちろん、韓国の食文化を知る本としてもおすすめ

――なかしまさんは韓国にひとりで旅することが多いそうですね。これから韓国へ旅する方、特にひとり旅を予定している方にアドバイスをお願いします。

なかしま:ソウルに関して言えば、韓国語が話せなくても簡単な英語ができればあまり困らないですし、「Papago」などスマホの翻訳アプリを使えば、ひとりでも楽しく旅をすることができると思います。ただ、せっかくなら、あいさつやお礼などの簡単なひと言は覚えていくと、韓国の方にきっと喜ばれるのでは、と思います。

なかしま

あとは日本よりお料理やケーキ一品のボリュームが多いので、オーダー数は少なめに。そして街並みを見ながらたくさん散歩するのがよいですね。ちょうどよくお腹も減って、おやつが食べたいなと思ったら市場やカフェに入ったり。スケジュールを詰め込みすぎないのがひとりでも楽しむコツかなと思います。

――本をどんな風に活用していただきたいですか。

なかしま:ソウルに行くときは、ぜひこの本を持っていって、お店の方に「これを食べたい」と写真を見せてもらえたらと思います。取材がきっかけで日本語メニューを作ってくださったお店もあるんですよ! 韓国の食文化にまつわるお話をたくさん掲載していますので、読み物としても楽しんでいただけると思います。

なかしま

そして韓国で買ってきた食材で作るかんたんなごはんやおやつのレシピもありますので、ぜひ作ってみてください。

取材・文=香川節子 撮影=衛藤キヨコ

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