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アクセス方法はたった2つ!空から訪れるカナディアンロッキーの秘境「マウント・アシニボイン」へ

  • 2024.5.18
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カナダを訪れたら是非見てほしいのが、カナディアンロッキーの絶景の数々。

レイクルイーズやモレーンレイクといった自然が生み出した美しい氷河湖や、カスケード・マウンテンといった国立公園内の山々など、息を呑むような絶景が多くあります。

バンフ国立公園の定番観光地のモレーンレイク

そんな誰もが知り憧れる絶景や体験も良いですが、もっと特別感のある秘境を訪れたいと思いませんか?

カナディアンロッキー内のバンフ国立公園で、かつてツアーガイドをしていた経験もある私がオススメするのが、マウント・アシニボインの麓でのキャンプとトレッキング。おそらくほとんどの日本人が知らないであろう秘境です。

この記事では、マウント・アシニボインの魅力やアクセス方法、訪れる際の注意点などを写真とともにお届けします。

マウント・アシニボインとは

はるか遠くからも目をひく名峰マウント・アシニボインは、BC州のマウント・アシニボイン州立公園と、アルバータ州のバンフ国立公園との境界にあります。

山頂が鋭くそびえるその姿は、スイスのマッターホルンに似ていることから「ロッキーのマッターホルン」とも呼ばれています。

バンフやカナナスキスエリアの山々の山頂からも見えることがあり、どんなに遠くにあっても目にとまってしまうほど存在感のあるマウント・アシニボイン。実際に私も、別の山の山頂からその姿を見つけ、その異質な雰囲気に惹かれて調べたのが、マウント・アシニボインを知るキッカケでした。

標高は3,618mと富士山よりやや低いものの、クライミング技術が必要だったりと難易度の高い山で登頂率が高くなく、カナダの登山好きなら誰もが憧れる名峰です。

アシニボインを間近で見る方法は"たった2つ"

バンフのカスケード山から微かに見えたマウント・アシニボイン(中央奥)

マウント・アシニボインのあるエリアは非常に山奥にあり、自動車では気軽にアクセスできません。そのため、別の山頂からその姿を遠くに眺めるのが精一杯。

ではどうやってそこへ辿り着けるのか。方法はたった2つ。徒歩かヘリコプターのみ。

自動車では行くことができないという秘境感、さらにはヘリコプターの運行は曜日限定かつ人数限定という特別感が、マウント・アシニボインへの憧れをさらに駆り立てます。

実際にアシニボインの麓へ行ってみた

このヘリコプターで移動します

遠くの山からマウント・アシニボインを見つけてからというものの、どうしてもあの山を間近で見たい!と思った私は、友人たちとマウント・アシニボイン州立公園へ行くことにしました。

登りになる往路はヘリコプター、復路は節約で徒歩を選択。一般的にこの選択をする人が多いようです。

カナディアンロッキーの上空をヘリコプターで移動するという、なんとも贅沢な経験。眼下に広がる美しい木々や川などの自然、いつもは見上げる山々の山頂が目線の先やそれより下にあるという特別な経験ができ、あの絶景は今でも忘れることができません。

個人的には、ヘリコプターでの移動が最高に良い経験だったので、アシニボインへ向かう人はぜひ体験してほしい!と感じました。

マゴッグ湖近くのキャンプサイト

アシニボインの麓に着いたら、予約していたキャンプサイトへ。留学やワーキングホリデーでカナダに住んでいる人は、キャンプグッズをインターネットで事前購入して持参しても良いですし、日本から訪れる人はキャンモアやバンフなどで事前にレンタルするのがオススメ。

着いて早々にひとつ目のトレッキングコースへ。キャンピングサイトからNIBLET→NUBLET→NUBと3つのポイントを3時間半で一気に走破。

遠くから眺めていた憧れのマウント・アシニボインがすぐそこに……!カッコ良すぎるその姿に見惚れてしまいました。

NUB PEAKから見た湖越しのマウント・アシニボイン

もっと間近でマウント・アシニボインを見たいと別の山を登ったら、黄葉とのコラボレーションという絶景が。

日の出前にキャンプサイトを出発して、だんだんと赤く染まる朝焼けのマウント・アシニボインを見ることができました。

朝焼けアシニボイン

この絶景を見ながら飲んだコーヒーは、人生でトップクラスのおいしさ。

贅沢な朝食

バンフ国立公園の住人として、ツアーガイドとして、当時はカナディアンロッキーの数多くの観光地を訪れてきましたが、それらとはまた違う特別な絶景がありました。

ヘリコプターと徒歩でしか訪れることができないからこそ残る手付かずの美しい自然、星空が美しい場所でのキャンプ。幾つもある絶景のトレッキングルートと、時間をかけてでも訪れてほしい世界が広がっています。

街から遠く離れているので星が綺麗

電波の通じない場所なのでデジタルデトックスにも最適。スマートフォンではなく湖と山々を眺めながら頂く即席の朝食は、町の人気カフェでいただく朝食に引けを取らないほどの絶品でした。

復路は徒歩だったのですが、「Wonder Pass」というルート名に相応しく、とても素晴らしい景色を見ながらのハイキング。私たちの訪れた9月下旬は黄葉シーズンまっただなかで、その絶景に終始感動しっぱなし。

キャンプ道具を背負いながら29.1km、時間にして8.5時間(ランチ休憩込み)のハイクは、当時週2ほどの頻度で登山をしていた私でも正直なかなかハードでしたが、カナダで体験したどのアクティビティより思い出に残っています。

リコプターとキャンプサイト予約方法

ヘリコプター乗り場

アシニボインエリアへのヘリコプターやキャンプサイトなどはネットからの予約が可能です。

まずは宿泊地の予約から。ヘリコプターのフライトは水・金・日のみなので、それに合わせて日程を決めて予約しましょう。

キャンプサイトはBC Parksから予約が可能。「Backcountry」タブの「Mount Assiniboine」パークから「Magog Lake」を選択しましょう。夏季は人気ですぐに予約が埋まってしまうので、早めのブッキングが必要です。

ドミトリースタイルのハットもオススメなのですが、電話でのみの予約であるうえに、1月初旬の予約開始と同時にすぐに売り切れとなってしまう競争率の高さ。

シャワーやサウナもあるアシニボインロッジ

予算に余裕があり、1年以上前から予定がたてられる人はロッジの宿泊がオススメ。こちらはオンライ予約が可能ですが、前年の8月頭ごろに解禁される予約リクエストフォームの提出が必要。抽選で選ばれた人のみ宿泊ができるというシステムで、なかなかの競争率になります。

宿泊施設が予約できたらヘリコプターの予約をしましょう。こちらもアシニボインロッジのサイトから予約ができます。

アシニボインへ行く時の注意点

アシニボインエリアは、その景観を守るために車や自転車でのアクセスを禁じています。その意味をしっかり理解したうえで訪れるようにしましょう。

ゴミのポイ捨てがダメなことはもちろんのこと、野生動物との距離感を守ったり火の後始末しっかりしたりするなど、"自然のなかにお邪魔している"という気持ちを持って訪れてくださいね。

ゴミは袋に入れて持ち帰ります

持ち物にも注意が必要です。アシニボインエリアのキャンプサイトやロッジは標高2,000m以上の場所にあるので、出発地よりも気温が低くなります。時期によっては夜はかなり冷えるので、暖かい上着や洋服のご用意を。

また、このエリアは電波が全く届かないので、ハイキングや登山を予定している人は、あらかじめAll Trailsというアプリをダウンロードし、ルートをお気に入りに入れることで地図をオフラインでも利用できるようにしておくと良いですよ。

キャンプサイトの水道水は飲料用に処理されていません

キャンプサイトでは、真夏の時期以外は水道が凍って使えないことがほとんど。使えたとしても飲み水ではないので、ポータブル浄水器の用意は必須です。ほとんどの人が吊り下げ式の浄水器を使い、近くにある湖の水を浄化していました。

食事をする場所やゴミの保管場所にも注意です。野生の熊の生息エリアでもあるので、必ずテントから離れた場所(共有スペース)で調理・食事をしましょう。とくにカップヌードルなど匂いのする物を食べた場合、そのゴミは所定の熊よけBOXに収納してください。

ここでしかできない特別な体験を

マウント・アシニボインの麓でのキャンプとトレッキングの魅力は伝わりましたか?

遠くに小さく見えていたマウント・アシニボインが、目の前に現れた時の感動は今も忘れることができませんし、大自然の上空をヘリコプターで移動したこと、絶景の中を何時間もかけて歩いたことは、カナダ生活での数多くの体験の中でも間違いなくトップクラスの思い出です。

自力での予約に自信がない人は、現地のツアー会社にお願いすることも可能。日本語に対応している会社もあります。

カナディアンロッキーの秘境を、皆さんもぜひ訪れてみてくださいね。

All photos by Keiko Kawanami

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