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<季節のない街>仲野太賀“タツヤ”の理想のカフェ建設も、ホームレス親子に起こった出来事で夢まぼろしに

  • 2024.5.17
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どしゃ降りの雨の中でどなり合う半助(池松壮亮)とタツヤ(仲野太賀) (C)テレビ東京
どしゃ降りの雨の中でどなり合う半助(池松壮亮)とタツヤ(仲野太賀) (C)テレビ東京

【写真】座り込みどこか寂しげなホームレスの父親(又吉直樹)

宮藤官九郎が企画・監督・脚本を、池松壮亮が主演を務めるドラマ25「季節のない街」(毎週金曜夜0:42-1:13、テレ東系※最終回の6月7日は5分拡大/ディズニープラスにて配信中)の第6話「プールのある家」が5月10日に放送された。自分たちの理想の家を思い描くホームレスの親子と、街の中に理想のカフェを作ろうとしているタツヤ(仲野太賀)の姿が描かれた。(以下、ネタバレを含みます)

宮藤官九郎が20代の頃から切望していた企画を映像化

同作は、山本周五郎の同名小説をベースに、舞台となる“街”を12年前に起きた“ナニ”の災害を経て建てられた仮設住宅のある“街”へ置き換え、現代の物語として再構築。希望を失い、この“街”にやってきた主人公が“街”の住人たちの姿に希望を見つけ、人生を再生していく青春群像エンターテインメントとなっている。

宮藤が20代のころから切望していた企画で、テレ東とディズニーの共同製作で実現した作品。原作小説は、1970年に黒澤明監督が「どですかでん」のタイトルで映画化したことでも知られており、映画は1972年の第44回アカデミー賞外国語映画賞(現・国際長編映画賞)にノミネートされた。

群像劇を彩るキャストが多数集結

怪しげな男の指示で、街に住む人々の暮らしぶりを報告する仕事を請け負い、猫のトラと一緒に街に潜入する主人公・半助こと田中新助を演じるのは池松。街の青年部を率いる、母親の愛情に飢えた承認欲求高めな“親思い”の次男・タツヤ役を仲野太賀が務める。

また、街の近所に住む酒店の息子で、好きな女の子目当てで街に出入りしているオカベを演じるのは渡辺大知。さらに、オカベが恋する、街で一番内気なかつ子役は三浦透子、タツヤの母・しのぶ役は坂井真紀。「どですかでん」と叫びながら“見えない電車”を毎日1人で運転する六ちゃん役は濱田岳、六ちゃんの母・くに子役は片桐はいり、六ちゃんのよき理解者であり街を見守るたんばさん役はベンガルが務める。

ほか、増子直純(怒髪天)、高橋メアリージュン、荒川良々、MEGUMI、皆川猿時、又吉直樹、前田敦子、塚地武雅、藤井隆、鶴見辰吾、岩松了らキャストが集結し、“全員ワケあり&いわくつき”の個性豊かな住人として登場する。

ホームレスの親子が思い描く理想の家とは

廃品置き場の自動車の中で暮らすホームレス親子。大卒エリートと噂される父親(又吉直樹)と中学生にしては大人びた子供(大沢一菜)は、いつもどこか芝居じみた様子で、理想の家について語り合っている。

一方、島さん(藤井隆)の会社で働くようになったタツヤ(仲野太賀)は、青年部の以前からの夢だったカフェの建設に向けて熱心にプランを立てていた。

ホームレス親子の「理想の家」とタツヤの「理想のカフェ」が対比的に描かれている

今回の物語は、ホームレス親子が思い描く「理想の家」、そしてタツヤが思い描いてきた「理想のカフェ」が対比的な形で語られていく。

ホームレスの親子は、おもに父親が語っていて、息子は聞き役に回っている。父親が「家を建てるならまず門が大事だ」というと、それに相槌を打ちながら「顔を見たらどんな人か大体分かるもんね」と父親の意見を肯定して受け入れる。「西洋風、ロココ調、スペイン風もいい。イギリス風も悪くないが大袈裟すぎる」とか父親が思い描く門のイメージを、息子は嫌がったり面倒くさがらずに聞いてあげている。そういうところが中学生にしてはちょっと大人びたところだといえる。

タツヤも島たちとの会議で理想のカフェにするために意見をどんどん出していく。「自動ドアはコストがかかるので観音開きはどうですか?」といった現実的な意見も交えつつ。タツヤがまだカフェの名前を決めてないと話すと、島は「スタスィオンってどうかな?」と提案。フランス語で「駅」という意味で、“どですかでん”と街の中でひとり電車を走らせている六ちゃん(濱田岳)からインスパイアされたという。

ある出来事がきっかけで「理想のカフェ」も夢のままに

カフェに関する住民説明会の日取りが決まったが、その直前に大きな出来事が起こった。ホームレスの息子がお店で食べ物をもらう時に「必ず火を通して食べて」と言われた魚を、ガスコンロが切れていたため、そのまま食べてしまい、親子で腹痛に苦しむこととなった。

父親は数日後に回復したが、息子は日に日に衰弱していくばかり。病院に行くことも救急車を呼ぶこともできず、途方にくれる父親。

そんな状態の息子を半助たちが発見し、たんば(ベンガル)が医者を呼んだが結局間に合わなかった。その息子が父親に最後のお願いとして伝えたのが「プールを作ろうよ」だった。

その息子の妄想の中では、プール付きの豪邸が存在し、そこに勢いよく飛び込んでいく姿も見えた。

カフェの説明会に参加した住人は3人だけ。ホームレス親子の悲しい出来事があったばかりで、カフェどころではないというのが街の住人たちの心境だろう。タツヤの夢だった「理想のカフェ」建設も、夢のままとなってしまった。

街の取り壊しの話が出ている中、希望だったカフェ建設が不可能になったことで、“街”の終わりがさらに近づいてしまったのかもしれない。この出来事が“終わり”の始まりなのだろうか。残すところあと4話。“街”がどうなるのか終盤の展開から目が離せない。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

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