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ブレゲ、アイコニックなタイムピースにピンクがお目見え。

  • 2024.5.17

時計とジュエリー、永遠のパートナーともなりうるこのふたつ。だからこそ、ブランドやそのモノの背景にあるストーリーに耳を傾けたい。いいモノこそ、いい物語があります。今回は、ブレゲの時計の話をお届けします。

file : 079 BREGUET QUEEN OF NAPLES 8918

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トータル1カラット近いダイヤモンドを贅沢にあしらったデザイン。上品に艶めくグラン・フー エナメルの文字盤が美しい。時計「クイーン・オブ・ネイプルズ 8918」(RG×ダイヤモンド、H36.5×W28.45mm、自動巻き、カーフストラップ)¥6,435,000/ブレゲ(ブレゲ ブティック銀座)

王妃のエレガンスが甘く息づく、エッグシェイプのタイムピース。

春の花々にも似たライトピンクの「クイーン・オブ・ネイプルズ 8918」は、パリきっての名門ウォッチメゾン、ブレゲが発表した新作。フェミニンなエッグシェイプ、アンティークの懐中時計を思わせる数字、そして文字盤やリュウズにあしらわれたスペシャルなダイヤモンド。リュウズの位置も通常の時計とは少し違っていて、デザイン全体の絶妙なバランスを高めているのがさすが。

1775年にメゾンを興した創業者、アブラアン‒ルイ・ブレゲは、王妃マリー・アントワネットの時計師としても知られる歴史的人物。フランス革命をくぐり抜けた彼は皇帝ナポレオンやその妃、家族や側近たちからも愛され、数々の懐中時計を納めたという。

この「クイーン・オブ・ネイプルズ」コレクションは、ナポレオンの妹でナポリ王妃となったカロリーヌ・ミュラにちなんだウォッチ。パリのブレゲ・ミュージアムに残る記録によれば、19世紀の初め、カロリーヌは時計師ブレゲに美しいブレスレットウォッチをオーダー。「細長いケース」を持つ多機能な時計と、ゴールドと髪の毛で編んだブレスレットを組み合わせたカロリーヌのウォッチは、記録に残る最も早い時期の腕時計だったのでは、と推測されている。この頃はまだ懐中時計が一般的で、腕に着けるウォッチが広まったのはずっと後、20世紀初頭以降だったからだ。

現在は行方が知れないカロリーヌのブレスレットウォッチにオマージュを捧げてデザインされたのが、このコレクション。ひと目でブレゲのウォッチとわかるエッグシェイプで、どこか古きよき時代のアンティークを思わせる優雅さを備えているのが魅力。この「クイーン・オブ・ネイプルズ 8918」の文字盤には、メゾンの初期から使われている炉焼きのグラン・フー エナメルを採用しているのもポイント。ガラス質の釉薬を均一に塗り、800度を超える高温の炉に入れることを何度も繰り返すグラン・フー エナメルは、現在ではひと握りの職人だけが継承する伝統の美術工芸。絵の具とは違って思いどおりの色彩を焼き上げるには熟練の技が必要となる。この甘いピンク色にも職人たちのこだわりが生きているのだ。

メゾンの長い歴史が息づいた「クイーン・オブ・ネイプルズ 8918」。ニュアンスのあるライトピンクのおかげで、現代の女性たちにふさわしいモダンな優しさが宿っている。王妃の気分を味わわせてくれる、とびきりリュクスなウォッチだ。

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エナメルの釉薬を乳鉢で摺り、水で溶いて文字盤に塗布。特別なレシピが必要な伝統の技。
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