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美しさとアートが凝縮された新しいメゾン ディプティック。

  • 2024.5.16

ディプティックのブティックというと、まずはサンジェルマン大通り34番地にある魅力の品々が詰まった小さなブティックを思い浮かべるのでは?アーティストとインテリアデザイナーと舞台装飾家の3名の創業者がここを開いたのは1961年。クリエイションだけでなく自分たちが旅先で見つけた品や骨董的オブジェなども集め、当時には珍しかったコンセプトストアで、いまも創業当時の魂を保ち続けている。さて、4月19日、ディプティックは右岸のデュフォ通り7番地に芸術的かつ文化的な体験が待つ場所という新しいコンセプトによるメゾン ディプティックをオープンした。5月9日にはロンドンにも同じコンセプトで開店。1960年代からのヘリテージをリスペクトした、ディプティックの新しい時代の始まりである。

デュフォ通りに4月19日にオープンしたメゾン ディプティック。

メゾン ディプティックを擁する建物は1875年にアールヌーヴォー装飾のキャビアのレストラン、プルニエが開かれた場所で、そこはサラ・ベルナール、オスカー・ワイルド、セルゲイ・ディアギレフなど芸術関係者たちの溜まり場だったという歴史がある。そんな建物の2フロアを占めるデュフォ店は、美意識の高いパリジャンのアパルトマンというイメージで構成された約400㎡の空間。1階はキャンドルとパフュームが勢揃いして、来店者を早々に香りの旅へと誘う。2階はまさにアパルトマンのように通り側にはリビングルーム、図書室、バスルームをイメージした部屋が並び、反対側はステンドグラスに囲まれた緑あふれる温室的スペースで、室内装飾用のオブジェを扱う売り場でもある。それぞれの空間で商品が販売されているものの、インテリアにしっくりなじんでいるのでブティックではなくまさに"メゾン"でお買い物をしているよう。

メゾン ディプティックの1階。photo: Christophe Coënon

2階のホームフレグランスのサロン。家具やカーペットにも注目を。photo: Christophe Coënon

2階奥のバス関連の品を集めた部屋。壁のマルケトリー、バスタブのタイル、セラミックのミラーフレームなど職人技がメゾンのエスプリと共鳴する。

左: 1区のフローリスト、ステファン・シャペルがグリーンを担当。この一角には子どもたちが遊べる小屋が設けられている。右: フレグランスキャンドルのセミオーダーのためのプライベートサロン。このほか、2階には詰め替え用商品の部屋やラ ドログリー コレクションの部屋もある。photos: Christophe Coënon

創業時代からディプティックでおなじみの楕円のフォルムがブティック内の室内建築に反映され、たとえば階段の上の天井、壁の掛け時計にこのフォルムが見つけられる。またこれまで一般公開されていなかったアーカイブの資料も常設展示され、創業者のエスプリに来店者は包み込まれるのだ。カーペット、マルケトリーの壁、肘掛け椅子、ステンドグラス、階段のデッサン......メゾンが大切にするアーティストや職人たちの仕事があちこちに感じられるインテリア。このブティックでは今後香りをはじめ、さまざまなテーマでアトリエが開催される予定だという。

左: アーカイブを展示する小さなスペースの奥に、ディプティックのアイコン的フォルムの楕円の時計が。右: 芸術的アルチザンによるキャンドルスタンドはアーティストMercedes Salazarの作品。彼女は自分の国のコロンビアに昔から伝わる手法でラフィアを編んで、特別なスタンドを製作した。photos: Mariko Omura

左: ブティックのアドレスの名前をつけたフレグランスキャンドルはデュフォ通りのメゾン ディプティックだけの販売。右: 淡いグリーンがデュフォ店のコードカラー。photos: Mariko Omura

6月24日までカフェ ヴェルレが期間限定営業中。

この春、ディプティックと創業1880年のCafé Verlet(カフェ ヴェルレ/ 256, rue Saint Honoré 75001 Paris)のふたつのサヴォワールフェールの出合いから、コラボレーションのキャンドルが発表された。ローストしたコーヒー豆(カフェ)、スパイシーなビスケット(ビスキュイ)、甘いホイップクリーム(シャンティ)、砂糖漬けのフルーツ(フリュイ コンフィ)の4種は日本でもすでに販売が始まっている。

このコラボレーションのパリだけのお楽しみ、それはこのメゾン ディプティックの1階に6月24日までカフェ ヴェルレがあることだろう。カウンター席だけだけれど、サンドイッチも用意されて軽食もとれる。コラボレーションのキャンドルは甘美な香りだけでなく、キャンドルグラスに描かれた陽気なデッサンも魅力。英国人イラストレーターのクリム・エバンデンの筆によるもので、彼はこの限定カフェのプロジェクトにも参加し、淡いグリーンの壁に特有のタッチでギャルソンの姿をはじめパリのカフェのシンボリックな光景を描いた。カウンターでのカフェ・タイムに明るさがもたらされている。

メゾン ディプティック内のカフェ ヴェルレ。営業時間はブティックと同じ。カフェはパリ初のビーン・トゥ・バーのショコラティエであるPlaq(プラック)の楕円のチョコレートとともに。photos: Mariko Omura

左: シャンティをたっぷり乗せたウィンナーコーヒー。右: 季節のサラダ、フィンガーサンドイッチなど軽食もとれる。photos: Mariko Omura

Maison Diptyque

7, rue Duphot 75001  Paris

営)10:00~19:00(月~土)、11:00~19:00(日)

https://stores.diptyqueparis.com/ja_jp/maison-diptyque-paris

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