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シャガはどのような花? 花の特徴や育て方のポイント・注意点を解説

  • 2024.5.16
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白くて愛らしい花を咲かせるシャガは、シェードガーデンで活躍する植物として知られています。日当たりに恵まれない一角に、シャガを植え付けてみたいと考えている方は多いのではないでしょうか。この記事では、シャガの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、種類、育て方など、多岐にわたってご紹介します。

シャガの基本情報

シャガ
High Mountain/Shutterstock.com

植物名:シャガ
学名:Iris japonica
英名:fringed iris、shaga、butterfly flower
和名:シャガ(射干)
その他の名前:胡蝶花(こちょうか)
科名:アヤメ科
属名:アヤメ属
原産地:中国東部~ミャンマー
分類:宿根草(多年草)

シャガの学名は、Iris japonica(アイリス・ジャポニカ)。和名はシャガで、漢字では「射干」と書きます。アヤメ科アヤメ属の多年草です。常緑性で、冬でもみずみずしい葉姿を保ちます。原産地は中国東部〜ミャンマー。日本でも野山に自生している景色が見られますが、古くに日本に伝わり、野生化したものとされています。暑さや寒さに強く、日本の気候にもよく馴染んで放任してもよく育ちます。また、森林などの林床地に適応しやすいことからもわかる通り、半日陰でやや湿り気のある環境を好みます。草丈は30〜50cm。種をつけずに地下茎で増え、環境に合えばどんどん増えるので、場合によっては生育範囲を制限する管理も必要です。

シャガの花や葉の特徴

シャガ
shepherdsatellite/Shutterstock.com

園芸分類:草花
開花時期:4〜5月
草丈:30〜50cm
耐寒性:普通
耐暑性:強い
花色:白、青紫

シャガの開花期は4〜5月。花茎を伸ばした頂部につける花は直径5〜6cmで、姿はアヤメに似ています。花色は白で、花弁の一部にブルーや黄色の斑点が入ります。花もちはせずに一日でしぼんでしまいますが、花つきがよく、次々に開花します。葉は株元から放射状に伸ばし、剣のような細長いフォルムが特徴です。やや肉厚な葉には光沢があり、常緑性なので冬でもみずみずしい姿を保ちます。

シャガの名前の由来や花言葉

シャガ
Marcel Hamonic/Shutterstock.com

シャガは漢字で「射干」と書きます。名前の由来には諸説ありますが、一説にヒオウギの根茎が「射干(やかん)」と呼ばれていた頃に、シャガが混同されてヒオウギの漢名「射干(しゃかん)」と名付けられたというものがあります。のちにそれが訛って「シャガ」として広がったようです。

花言葉は、「反抗」「友人が多い」「私を認めて」など。「反抗」は、細長く剣のようにシャープな葉を持ち、日陰に負けず咲くことから。「友人が多い」は地下茎でどんどん増えていくこと、「私を認めて」は半日陰の環境に負けずに咲くことが由来のようです。

シャガの種類

ヒメシャガ
ヒメシャガ。High Mountain/Shutterstock.com

日本で自生しているシャガは、種子ではなく地下茎で増えているので一種類のみですが、原産地の中国では種子で増えるものもあり、いくつか個体が確認されています。一部の種類をご紹介しましょう。

ヒメシャガ

ヒメシャガは日本原産の多年草です。シャガよりも一回り小さく、草丈は15〜30cm。開花は4〜5月で、花色は白、紫があります。花の大きさは2cmほど。シャガは常緑性ですが、ヒメシャガは落葉性で、冬には地上部を枯らして休眠します。

スジシャガ

葉の縦方向に白い斑が入るシャガで、カラーリーフとして利用できます。常緑性なので冬でも葉姿を楽しめます。開花期は4〜5月で、花姿はシャガとほぼ同じです。地下茎を伸ばして増えますが、シャガのように旺盛に繁茂することはありません。

中国青花シャガ

中国が原産地のシャガで、開花期は4〜5月。花姿はシャガに似ていますが、花色は青紫色です。シャガと同様に生育旺盛で、地下茎を伸ばしてよく増えます。草丈は30〜40cm。冬も葉を落とさない常緑性で、樹木の下草などに向いています。

シャガの栽培12カ月カレンダー

開花時期:4〜5月
植え付け・植え替え:3月、6月、9月
肥料:6月頃

シャガの栽培環境

シャガ
ganchan4050/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】半日陰〜明るい日陰を好みます。暗めの場所にも耐えますが、あまりに日当たりが悪い場所では、ひょろひょろと徒長した軟弱な株になり、また花つきも悪くなるので注意しましょう。

【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。

【置き場所】湿り気のある土壌を好むので、水切れには注意が必要です。

耐寒性・耐暑性

暑さや寒さには強く、一年を通して戸外で管理できます。

シャガの育て方のポイント

用土

土
funnyangel/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの約2週間前に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕してください。土に肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

市販の草花用培養土を利用すると手軽です。または、鹿沼土小粒、赤玉土小粒、軽石小粒をそれぞれ等量ずつよく混ぜて用います。

水やり

水やり
cam3957/Shutterstock.com

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

真夏に水やりする場合は、気温が上がっている昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。

また、真冬に水やりする場合は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。

【地植え】

根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。

【鉢植え】

シャガは乾燥を苦手とし、水切れが続くと葉が傷んで枯れ込んでくることもあるので、日頃の水やりを忘れずに管理しましょう。ただし、いつでもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまうので注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

肥料

肥料
Vitalii Stock/Shutterstock.com

【地植え】

強健な性質なので、植え付け時に元肥として緩効性肥料を施してあれば、追肥の必要はありません。しかし、株の生育に勢いがない時などがあれば、液肥を与えて様子を見てください。

【鉢植え】

元肥として緩効性肥料を施した後は、毎年花後の6月頃に、緩効性化成肥料を少量株の周囲にまきます。スコップなどで軽く耕し、土に馴染ませておきましょう。株の生育に勢いがない時などがあれば、液肥を与えて様子を見てください。

注意する病害虫

農薬
Happy_Nati/Shutterstock.com

【病気】

シャガの栽培では、病気を発症する心配はほとんどありません。

【害虫】

シャガの栽培では、害虫が発生する心配はほとんどありませんが、アヤメツブミノハムシが発生することがあります。

アヤメツブミノハムシは、コウチュウ目ハムシ科に属し、主に成虫が茎や葉を食害します。また、幼虫も地中で根を食害するので注意。サイズは成虫で2.5mmくらいと小さく、黄色みの強い褐色で、中央に茶色い縦縞が入ります。長めの触覚を持っているのも特徴です。あまりに多く発生すると、株が弱って枯死してしまうこともあるため、発生が見られたら、適用のある薬剤を散布して防除しましょう。

シャガの詳しい育て方

苗の選び方

シャガの苗を購入する際は、節間ががっしりと締まって勢いのあるものを選びます。葉が傷んでいるものや、ヒョロヒョロと間のびしているものは避けたほうが無難です。

植え付け・植え替え

ガーデニング
Vlyaks/Shutterstock.com

シャガの植え付け適期は、3月か6月か9月頃です。ただし、植え付け適期以外にも苗は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。複数の苗を植える場合は、20〜30cmくらいの間隔を取ってください。

庭で育てている場合、環境に合えば植え替える必要はありません。しかし、大株になると込み合いすぎて弱ってくることがあるので、3〜4年に1度は掘り上げて株分けし、植え直しましょう。

【鉢植え】

鉢で栽培する場合は、5〜6号の鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。シャガの苗をポットから取り出して軽く根鉢をくずし、鉢の中に仮置きして高さを決めたら、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。

鉢植えで楽しんでいる場合、生育旺盛なために根詰まりしやすいので、1年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根などを切り取りましょう。根鉢を1/2〜1/3くらいまで小さくして、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、それまで育てていた鉢よりも大きい号数の鉢を準備し、根鉢を軽くほぐす程度にして植え替えるとよいでしょう。

日常のお手入れ

はさみ
Aleksei Golovanov/Shutterstock.com

【花がら摘み】

シャガの花が終わったら早めに摘み取りましょう。シャガは種子をつけないので、そのままにしておいても株が消耗することはありませんが、見栄えがよくありません。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制にもつながります。また、花茎が枯れてきたら、株元で切り取っておきましょう。

増やし方

ガーデニング
Nataly Studio/Shutterstock.com

シャガは種まきで増やすことができないので、株分けをします。

シャガの株分け適期は、3月か6月か9月頃です。株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りを図ります。株を掘り上げて数芽ずつつけて根を切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、同じ姿の株が増えていくというわけです。

シャガを植えてはいけないといわれる理由とは?

シャガ
wee-lo/Shutterstock.com

「シャガを庭に植えてはいけない」と言われることもあるようですが、それは一体なぜなのでしょうか。ここでは、その理由について紐解きます。

根に毒があるから

「シャガを植えてはいけない」という一番の理由は、シャガの根には毒成分の「イリシン」を含んでいるからです。口に入れると嘔吐や下痢、腹痛、胃腸炎を起こすことがあるので注意。特に幼児やペットがいる家庭では、誤って口に入れることがないようにしてください。

どんどん増えるから

シャガは、地下茎を伸ばして増える性質を持っています。地植えにしたのち、気候や環境に馴染んだ場合は、爆発的に増えて周囲の草花との調和を乱すことがあるので、嫌われてしまうようです。地下茎を伸ばして、隣家の敷地まで侵入して増えるようになると迷惑をかけてしまうので、管理には注意が必要。最初から鉢植えにして楽しむか、これ以上広がってほしくないエリアを決めて、そこにトタン板などを埋め込んで繁殖の範囲を制限する対策が必要です。

シャガが楽しめる群生地をご紹介

シャガ
TAKUYA.A/Shutterstock.com

シャガは半日陰で湿り気のある環境であれば、旺盛に範囲を広げて群生することがあります。ここでは、シャガの有名な景勝地をご紹介します。運営協力金をお願いしている場所もあるので、観賞に行く際はぜひご協力ください。

京都府綾部市の水源の里

京都府綾部市の水源の里・老富地区では、4月下旬〜5月中旬頃にシャガの花が見頃を迎えます。杉林の中を約400万本ものシャガが咲き誇るビュースポットです。住所は綾部市老富町在中で、自動車で国道27号「山家」交差点から府道1号に入り、福井県県境方面まで直進してアクセスできます。

埼玉県ときがわ町の慈光山歴史公苑

埼玉県ときがわ町の慈光山歴史公苑では、4月下旬~5月下旬がシャガの見頃。住所は埼玉県比企郡ときがわ町大字西平。自動車で関越道東松山ICまたは嵐山小川ICから車で30分、圏央道鶴ヶ島ICまたは狭山日高ICから車で50分ほどでアクセスできます。

シャガに間違えられたヒオウギとは?

ヒオウギ
aaron choi/Shutterstock.com

シャガの名前の由来は諸説ありますが、ヒオウギと混同して名づけられたといわれています。では、そのヒオウギとはどんな植物なのでしょうか。

ヒオウギは、アヤメ科ヒオウギ属(ベラムカンダ属)の落葉性多年草です。開花期は7〜8月で、花色はオレンジ、黄色、ピンク、紫、赤。原産地は日本、朝鮮半島、中国、インドで、暑さや寒さに強い性質を持っています。花茎を伸ばした頂部に4〜6cmの6弁花が咲き、シャガとは全く異なる花姿です。葉は剣状で扇状に重なります。

増えすぎに注意して可愛いシャガを育てよう

シャガ
sopear/Shutterstock.com

シャガは半日陰で湿り気のある環境を好む植物で、ほかの植物が育たないような環境でも可憐な花姿を見せてくれます。放任してもよく育つシャガを、庭に取り入れてはいかがでしょうか。

Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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