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逆境を味方に美しく輝いた思い出のアカデミー賞女優たちと作品をセレクト。(Mihoko Iida)

  • 2016.2.24
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2016年2月28日には「第88回アカデミー賞授賞式」がロサンゼルスで開催。今年の授賞式ではどんな「ドラマ」が起きるか、いまから楽しみです。過去にもさまざまな「逆境」や「試練」を乗り越えて輝くオスカー像を手にした女優たちがいました。その中から私のお気に入りエピソードと映画をピックアップしてみました。

女優としてなかなか認めてもらえなかった歌手のシェールが、この衣装を着てついに壇上に!

1991年に世界中で大ヒットした「Believe」という曲を覚えている人なら知らない人がいない歌手のシェール。アメリカでは1960年代から人気を博し、1970年代には別れた夫で歌手のソニー(その後、アメリカ上院議員!)と一緒に出演したバラエティ番組「The Sonny & Cher Comedy Hour」で一世を風靡。しかし、1980年代に入ってから女優への転向がなかなかスムーズにいきませんでした。メリル・ストリープと共演した映画『シルクウッド』(1983年)での演技は高く評価されるも、1970年代にテレビで見せていたお笑いのイメージが強すぎて、女優としてはなかなか認めてもらえない存在に......。そんな逆境を跳ね返すほどヒットしたのが映画 『月の輝く夜に』(1988年)。第60回アカデミー賞で主演女優賞に輝いた夜は、これまで通りのシェールのイメージで、ボブ・マッキーがデザインしたまるでショーガールのような衣装でオスカー像を握りしめました。

映画『月の輝く夜に』(1988年)。

シェールが演じたのは30代後半の未亡人。再婚を決意するものの、その男性の弟に惹かれてしまうというロマンティック・コメディです。相手役には、ニコラス・ケイジ。監督は『華麗なる賭け』(1968年)も手がけたノーマン・ジュイソン。

アフリカ系アメリカ人として初めてアカデミー主演女優賞を受賞したハル・ベリー。

アカデミー賞は今年「第88回」目ですが、実はアフリカ系アメリカ人女優が初めて主演女優賞を受賞したのは「第74回」目のことでした。それまでの長いハリウッドの歴史では、白人以外の俳優がメインストリームの映画で主演を飾ることはほとんどありませんでした。そこにハル・ベリーの名前がステージから呼ばれた瞬間から、彼女がステージに上がり、スピーチを終えるまでは、まるで目の前で歴史が変わる瞬間を見ているようで、いまも忘れられません。今年のアカデミー賞は、すでに「白人ばかりのアカデミー賞」とマスコミに批判されているように、白人以外の俳優は一人もノミネートされていません。が、司会者のクリス・ロックがどんなドラマを生み出すか、今から注目が集まっています。

映画『チョコレート』(2002年)

主演女優はハル・ベリー。主演男優はビリー・ボブ・ソーントン。アメリカ南部の町を舞台に、死刑囚の妻(ハル・ベリー)と死刑を執行した看守(ビリー・ボブ・ソーントン)の限りなく重い関係を描いたドラマ。アメリカという国が持つ人種問題の複雑な歴史を映画を通じてかいま見ることができます。監督はドイツ出身のマーク・フォースター。後に『007 慰めの報酬』(2008年)も監督。

孤独をバネに、オーストラリア人として初の主演女優賞を獲得したニコール・キッドマン。

子どものころからアカデミー賞を夢見ていたというニコール・キッドマンがついに映画『めぐりあう時間たち』(2002年)で主演女優賞を受賞したときは、トム・クルーズとの離婚後ということもあって、人生で最も孤独な時期だった、とその後のインタビューでよく話しています。オーストラリアからハリウッド・デビューを果たしたのがトム・クルーズの相手役として抜擢された『デイズ・オブ・サンダー』(1990年)。その後は、トム・クルーズ夫人としてハリウッド人生もバラ色に。しかし、トムとペネロペ・クルスの不倫が発覚したのは『ムーラン・ルージュ』(2001年)のプロモーション中。すべてを失ってから手に入れたオスカー像は、オーストラリア人として初のアカデミー主演女優賞受賞という歴史的な瞬間でもありました。

映画『めぐりあう時間たち』(2002年)

作家ヴァージニア・ウルフの人生をモチーフに、時代と国境を越えて描かれた3人の女性たちの物語。ニコール・キッドマンは特殊メイクをしてヴァージニア・ウルフ役を演じたのも話題を呼びました。他には、ジュリアン・ムーアとメリル・ストリープも出演。監督はスティーブン・ダルドリー。『リトル・ダンサー』(2000年)や『愛を読むひと』(2008年)も有名です。

60歳を過ぎてから役に恵まれ、ついにオスカー像を手にしたヘレン・ミレン。

ヘレン・ミレンは10代のころから女優を続けています。しかし、その後、いくつものテレビドラマや映画に出演しつつも、『クィーン』(2006年)を演じるまで今のような世界的スターではありませんでした。たぶん、私が初めてヘレン・ミレンという女優を見たのは『ホワイトナイツ/白夜』(1985年)だと思います。お目当ては、当時、世界で最も有名なバレエダンサーから俳優に転向したミハイル・バリシニコフ(後に『セックス・アンド・ザ・シティ』でキャリーの恋人役としても出演)。なので、彼女が出演していたかどうかさえも覚えていない(ほど小さな脇役を演じていた。実際には、ミハイルの元恋人役!)。しかし、この映画が縁となり、夫で監督のテイラー・ハックフォードと出会い、今も幸せそうです。『クィーン』を演じたのは10年も前で、今年は71歳になるヘレン・ミレン。先日はドイツでも映画賞を受賞し、話題を呼びました。継続は力なり。そんなパワーを彼女から感じます。

映画『クィーン』(2006年)

ヘレン・ミレンが演じたのは、エリザベス2世。舞台はダイアナ元皇太子の事故死直後のイギリス王室。そのとき、「クィーン」は何を思い、どのように行動をしたか。実話に基づいたフィクションとはいえ、ヘレン・ミレンの演技力で、物語をリアルに感じることができます。

参照元:VOGUE JAPAN

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