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「退職金デビューで悲惨な末路」やってはいけないNG行為3選

  • 2024.5.15

待ちに待った退職金、「余裕資金」と考え全額投資につぎ込んで自己破産…

定年とともに慣れない大金が舞い込んで「退職金デビュー」した結果、悲惨な末路を迎える高齢者がいるようです。

退職金は余裕資金ではなく「老後に備えるための資金」・「計画的に生活に潤いを与える生活資金」です。

今回は、退職金をもらったときにやってはいけない「NG行為」を紹介します。

■NG行為1:無計画に使う

退職金が入った途端、夢だった旅行や趣味に思い切りお金を使い、あっという間に底をついてしまった、という人がいるようです。

必要な生活費、介護費用、リフォーム費用といった老後に発生する出費を洗い出し、そのうえで夢や希望に回せる金額を慎重に検討しましょう。退職金は、人生の新しい章を彩るための大切な財産です。計画的に、賢く使いこなすことで、夢を実現し、充実した人生を送ることができます。

厚生労働省によれば、2022(令和4)年の日本人の平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳でした。定年を65歳で迎え、85歳まで生きると考えると20年ある計算なので、その間に資産残高がマイナスにならないよう気を付けましょう。

■NG行為2:すぐに全額投資に回す

退職金で投資デビューは絶対に禁物です。

今まで投資の経験の少ない人がもらった退職金でまとめて株式などを購入して大損し、取り戻そうとして今まで築いた資産まで、取り崩す人がいるようです。投資をすること自体は悪くありませんが、リスクが伴う以上、上手に取り崩す方法を考えたうえで少しずつ始めましょう。

投資初心者であれば特に「長期分散投資」を意識しましょう。投資対象を複数の国・資産・企業に分散させ、さらに購入タイミングも分散させることである程度リスクを軽減できます。

また、NISA(少額投資非課税制度)を使うのもおすすめです。専用の口座を通じて対象の商品を購入すれば、一定の条件のもとで運用益・配当金に対する税金がかからなくなるので、より効率的に運用ができます。

■NG行為3:人任せにする

資産運用を人任せにするのは好ましくありません。食べ物や服と同じで、投資も納得したうえで進めないと後悔のもとになります。

長年信頼していたはずの保険担当者に退職金の相談をしたら、いつの間にか知らない外貨建て保険を契約させられ、元本割れしてしまった…そんな人がいるようです。

「金融機関の担当者を信頼している」「難しいことは考えたくない」という気持ちもわかりますが、できるところからで良いので自分で考える癖をつけましょう。

■退職金はどう使うのが正解?

退職金は「運用しながら少しずつ取り崩す」ことを意識しましょう。仮に、65歳までに2,000万円貯め、かつ3,000万円退職金として受け取れたとします。その状態から1年間に生活費として240万円を取り崩しつつ、残額を年3%(※)で運用できれば、85歳の時点での資産残高は約2,419万円になります。

※年1回、年末に複利計算をした場合を想定し、税金・手数料は考慮していない

なお、公益財団法人生命保険文化センターの調査によれば、夫婦2人が老後にゆとりある生活をするために必要な費用の平均は月額37.9万円とのことです。

加えて、日本年金機構によれば、令和5年度の夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額は22万4,482円(月額)とのことでした。

年金が22万円とし、退職金から毎月20万円を取り崩せば夫婦で1ヵ月に42万円使える計算になるので、度が過ぎた贅沢をしなければ残高がマイナスになることはないでしょう。

■退職金の使い道は、よく考えて計画的に

定年まで勤め上げ、やっと手に入れた退職金は、長い勤続年数を賞するものでしょう。しかし、その勲章を浪費し、老後破産など悲惨な末路を迎えるのでは、これまでの努力がむなしいといえます。

退職金に限らず、まとまったお金が入ってくると気が大きくなりがちです。「1円も使わない」「やりたいことがあっても我慢」など極端なことをする必要はありませんが、ある程度の計画性は必要です。贅沢しすぎない範囲で自分たちが満足いく生活をするにはいくら必要かを考えたうえで、資産運用も組み合わせながら上手に計画を立てていきましょう。

文・荒井美亜(金融ライター/ファイナンシャル・プランナー)
立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融マネー系ライターとして活動中。日本FP協会の消費者向けイベントにも講師として登壇経験あり。

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