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どうやって乗り越える?けんか、言葉遣い、爪かみ…園生活のトラブル処方箋

  • 2024.5.14
出典:ぎゅってWeb

ぎゅって親子にとって、とても多くの時間を過ごす保育園。家とは違う環境であり、また集団生活であることから、さまざまな悩みが出てくるものですよね。

仕事に育児に大忙しのなかで、悩みと向き合うのはつらいもの。どのように乗り越えていけばよいのか、保育現場で40年以上にわたって親子を見つめてきた、井桁容子先生に伺いました。

教えてくれたのは

井桁容子

先生

出典:ぎゅってWeb

非営利団体コドモノミカタ代表理事。実践を通じた保育の研究機関である東京家政大学ナースリールームにおいて42年間、0歳児~3歳児の保育の実践と研究に従事。NHK Eテレ「すくすく子育て」などのメディア出演のほか、子ども番組監修、DVD制作、親子向け音楽CD監修、著書多数

question保育園生活の中で困っていることや、トラブルが起きたことはありますか?

※2024年1月23日~2月29日/ぎゅって読者にアンケート/有効回答数717※小数点第二位以下四捨五入

お悩み1.登園しぶり

読者のお悩み

  • そこまでして預けていいのか?と毎日罪悪感がありつつ会社に行くことがしんどいです。(1歳児クラス・32歳女性)
  • 子どもの気持ちに寄り添ったり、代替案を提示したり、気をそらさせたり、思いつく限りのことはやっているのですがほとんどうまくいくことがありません。(2歳児クラス・36歳女性)

CHECK!井桁先生のアドバイス

わが子に泣かれてつらい気持ちはとても分かりますが、決めた事ですから、保育園を信頼し、預けることへの罪悪感は捨てましょう。親がマイナスな気持ちでいると、子どもに伝わるもの。親がポジティブに捉え、「保育園に行くの、楽しみだね~!」などと声をかけていると、子どもにも「保育園は楽しいところなのだ」と伝わっていくと思います。

また、子どもの「行きたくない気持ち」を違うものでごまかすことは、おすすめしません。何か解決すべき問題があるかもしれないので、何を嫌がっているのか、いつもどのタイミングで泣き出すのか…、よく観察してみましょう。「困っていることはある?」と本人に尋ねてみても良いですね。

お悩み2.食べムラ

出典:ぎゅってWeb

読者のお悩み

  • 好き嫌いが出てきて野菜を一切食べなくなり困っています。(0歳児クラス・28歳男性)
  • 白米だけ食べたがらず大人の親指ぐらいの大きさしか食べない時期がありました。(3歳児&4歳児クラス・36歳女性)

CHECK!井桁先生のアドバイス

食事は命に関わることなので、乳幼児期は、大人よりも味覚が敏感になっています。好き嫌いはわがままというより、生き物として大事な機能が働いているということ。プラスに捉えても良いと思いますよ。何が嫌なのかをよく観察しつつ、食事は楽しいものと思ってもらえるよう、楽しい雰囲気をキープしましょう。

大人だって、さまざまな理由で食べられない日はありますから、子どもも同じです。「園庭のテントウムシ、大丈夫かな」「おもちゃ、どこ行っちゃったんだろう…」なんて、子どもなりの心配事が食欲に影響することも。もし家庭で、普段と違うことがあった日などは、先生に伝えておくのも良いと思います。

お悩み3.お友達とのトラブル

読者のお悩み

  • おもちゃの取り合いなどで毎日のようにけんかしています。その状況が見えないので先生に詳しく教えてほしいと思ったのに、先生は毎度のことなのでと詳しく教えてくれません。(2歳児クラス・43歳女性)
  • トラブルがあった時、相手の親に対しての接し方で悩む…。(4歳児クラス・40歳男性)

CHECK!井桁先生のアドバイス

お友達同士のトラブルというのは、ない方が良いものではありません。幼児期は思いを表現しながら心が育っていくので、コミュニケ―ションを学ぶチャンスにしていきましょう。自分の気持ちを言葉にすること、それ自体は良いことです。自分はそう思ったけれど、「相手はどう思うか」を一緒に考える機会にできると良いですね。

また基本的には、保育園内でのトラブルは園の責任なので、必要以上に親の責任と捉えなくても良いと思います。保護者同士で解決しようとする必要はありませんが、子どもの話などから、トラブルになった相手が分かってしまった場合などは、相手の方にさりげなく謝ることがあっても良いと思います。子どもは成長の途中であることをお互いに理解し合えると良いですね。

お悩み4.乱暴な行動をする

読者のお悩み

  • お友達に対してかみつきや引っかきが多くトラブルになって困った。(2歳児クラス・30歳女性)
  • 仲の良い友達とけんかをして、蹴られたから腕にかみ付いたと…。(5歳児クラス・32歳女性)

CHECK!井桁先生のアドバイス

乱暴な行動をしてしまう原因は、その子によってさまざまです。元々けんかっ早い気質を持っている場合は、モヤモヤした時の解消法を一緒に考えましょう。思いっきり走るのが良いのか、新聞紙をビリビリに破るのが良いのか…すっきりできる方法を見つけたいですね。

また、感覚の敏感性や、体調不良といった、生理的な理由の場合もあるでしょう。その場合は睡眠時間や環境など、生活を見直してみるのも大切です。どんな時に乱暴をしてしまうのか、よく見てあげることで、解決の糸口が見つかると思います。

また、1~2歳の月齢の子でも、大人が真剣に話すと、理解するのは難しくても、大事なことだというのは伝わるものです。「叱られるからしない」ではなく、危険についてや、「相手はどうだったか」をお話してみてください。

お悩み5.嫌な言葉遣いを覚えてくる

出典:ぎゅってWeb

読者のお悩み

  • 保育園のお友達の中で流行っている悪い言葉遣いを否定することは、友達を否定することに繋がらないか悩んだ。(2~3歳児クラス・36歳女性)
  • 通っている園が異年齢保育を行っていることもあり、4~5歳のお兄さんお姉さんとも過ごしている中で、乱暴な言葉遣い、話し方を覚えて、真似をするようになった。成長過程の一つと理解はしているが、なかなか受け入れ難く、注意を聞き入れない時もあるので、この先が心配になる。(3歳児クラス・27歳女性)

CHECK!井桁先生のアドバイス

子どもはそんな言葉ほど言いたがりますね。「周りの人が聞くと嫌な思いをするよ」ということは伝えたいですが、禁止しておさえつけても、表面的に良い子になるだけです。

大人はおおらかに、面白がるくらいが良いと思います。「この袋に向かって叫んで、その言葉をたくさん集めてみて」と遊びにしてしまったり、「あっちは誰もいないから思い切り叫んでおいで」と提案してみたり…。

また、人や物を嫌な言葉で表現している場合は、「どうしてそう思うの?」と聞いてみると、具体的に「こういうところが嫌なのだ」と、自分の思いを言語化する練習になります。

お悩み6.爪をかむ

出典:ぎゅってWeb

読者のお悩み

  • 保育園でのお昼寝の時、布団の上で自分の足の爪をかんでいると偶然知りびっくりしました。(6歳児クラス・41歳女性)
  • 下の子を妊娠してから保育園にいる間、手持ちぶさたになると爪かみをするようになり、癖になってまだ治っていません。(2~3歳児クラス・34歳女性)

CHECK!井桁先生のアドバイス

爪かみの原因は、誰かの真似といった場合もありますが、何かしらのストレスがあり、思いを表現できない子であることが多いです。親としては、困っていることがあるなら、聞いてあげたいですよね。

そこでおすすめなのが、忙しい日々を送られているなかでも、ここは修行だと思って、15分だけ何もせずにぼんやりして、暇なフリをしてみてはいかがでしょうか。子どもは親の様子をよく見ていますから、話しかけやすい雰囲気であることはとても大切です。またお風呂の時間など、大人がリラックスしている時は、子どもにも伝わって、話しやすい雰囲気になると思います。

ちなみに、私の子どもも爪かみをしていた時期がありましたが、「お母さん、爪切りがとても楽しみなの。だから取っておいてくれない?」と頼んでみたら、やめてくれたという事がありました。「ダメ」と伝えるのではなく、何か別のことに意識が向くように声をかけられると良いですね。

井桁先生からMessage

たくさん「大好き」を伝えてあげて“立派な親”よりも“ご機嫌な親”!

働いていると、子どもといる時間もどこか上の空…なんていう時もあるのでは。そんな時は、「電車に乗ったら」「このドアを開けたら」など、気持ちを切り替えるタイミングを自分で決めて、子どもと一緒の時間に心をおきましょう。

この時期の子どもは、「ダメな自分でも親は自分を愛している」という自信をつけてあげることがとても大切です。トラブルがあっても、おおらかな気持ちで接して、大好きなのだとたくさん伝えてあげてください。

子どもは立派な親よりも、ご機嫌な親が大好き。ユーモアを忘れずに乗り越えていきましょう。

イラスト/しらいしののこ

※この記事は、2024年5月発行の「ぎゅって6月号首都圏版」に掲載した記事を再編集したものです

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