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【旬のカツオ】初夏の初ガツオと秋の戻りカツオに味、栄養価違いはある?栄養士ライターが解説

  • 2024.5.14
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カツオに含まれる注目の栄養成分とは?

カツオのイメージ
カツオのイメージ

初夏の訪れを告げる「カツオ」。「目には青葉 山ほととぎす 初鰹(はつがつお)」と江戸時代に俳句で詠まれたように、古くから日本で食べ親しまれてきました。この記事では、今が旬の魚・カツオの栄養について着目したいと思います。

●血液をサラサラにするEPA、DHAが豊富

最初の栄養ポイントは、カツオの脂質です。特に注目したいのが、人間の体内ではほとんど作ることができない必須脂肪酸で“オメガ3系”として知られるEPA(イコサペンタエン酸またはエイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富であること。血液をサラサラにして血栓の形成を抑えたり、血中のコレステロールや中性脂肪を低下させたりする機能性が注目され、心筋梗塞や脳卒中を誘発する動脈硬化を予防する効果が期待されています。

●丈夫な筋肉と血液をつくる栄養素が凝縮

たんぱく質が豊富で、必須アミノ酸をバランスよく備えているのも大きな利点。カツオ100g(刺身6~7切れ分)で、成人女性が1日に必要なたんぱく質の推奨量50gを補える計算に(※1)。また、カツオの赤い身や血合い部分に多く含まれる鉄は体に吸収されやすい動物性のヘム鉄。赤血球をつくったり傷ついた神経細胞を修復したりするビタミンB12も豊富で相乗効果が期待できます。

●疲れを癒すビタミンB群や抗酸化ミネラルも

カツオの血合い部分には、疲労回復を促すビタミンB1、たんぱく質の合成を助けるビタミンB2、糖質と脂質の代謝やアルコールの分解を助けるナイアシンなどのビタミンB群も豊富に含まれています。また、ミネラルの注目点は、抗酸化作用がありアンチエイジング効果が期待されているセレンの含有量が多いこと。体内の水分や塩分の調整を行うカリウムや骨や歯の材料となるカルシウム、リン、マグネシウムなどを摂ることもできます。

▲カツオの赤い身には吸収率の高いヘム鉄が含まれ、貧血予防にも。
▲カツオの赤い身には吸収率の高いヘム鉄が含まれ、貧血予防にも。

(※1)カツオ刺し身1切れ15gとして計算(参考文献:奥嶋佐知子監修『食品の栄養とカロリー事典 第3版』女子栄養出版部),2022、厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2020年版)』たんぱく質摂取基準・推奨量(女性18歳以上50g/日、男性18~64歳65g/日・65歳以上60g/日)から必要量を計算

春の「初ガツオ」と秋の「戻りガツオ」の違い

▲暑さに体が慣れない時期に食べる「初ガツオ」には疲労回復の働きも。
▲暑さに体が慣れない時期に食べる「初ガツオ」には疲労回復の働きも。

カツオの旬は春と秋の2回。春から初夏に海を北上するカツオを食べる「初ガツオ」、秋に南下したカツオを食べる「戻りガツオ」があります。実は、「初ガツオ」と「戻りガツオ」では味わいが異なり、春の「初ガツオ」は脂が少なくてさっぱりとしているのに対し、秋の「戻りガツオ」は脂がのっていて別名「とろカツオ」とも呼ばれています。

「初ガツオ」は戻りガツオと比べて、たんぱく質が微量ながら多く、脂質とエネルギー(カロリー)が低い特徴があります。また、エネルギー代謝と疲労回復を促すビタミンB群、体内の水分や塩分の調整を行うカリウムなども多め。逆に、脂がのった秋の「戻りガツオ」には良質な魚油であるEPAとDHA、抗酸化ミネラルのセレンが初ガツオよりも豊富に含まれています。ダイエットや筋トレ目的なら「初ガツオ」、生活習慣病予防やアンチエイジング効果が高いのは「戻りガツオ」と言えそうですが、偏った食べ方をする“ばっかり食べ”は禁物ですよ。

「初ガツオ」「戻りガツオ」の栄養比較(100gあたり)

「初ガツオ」「戻りガツオ」の栄養比較(100gあたり)
「初ガツオ」「戻りガツオ」の栄養比較(100gあたり)

※参考文献:杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、久保田紀久枝・森光康次郎編『食品学-食品成分と機能性-』東京化学同人,2017、藤原昌高著『からだにおいしい 魚の便利帳』高橋書店,2010、レジア編『見て楽しい!読んでおいしい!日本の食材図鑑』新星出版社,2018、農林水産省webサイト

(野村ゆき)

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