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【札幌】クマを寄せ付けない!無料で試せる対策スタート 「自分も、地域の人も守るために」

  • 2024.5.12

一度、味を覚えると、何度もやってくるクマ。
畑や家庭菜園の被害を防ぐには、どうしたらいいでしょう?

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金網をよじ登るクマ。画像は電気柵を販売するサージミヤワキ提供

高い金網を立てたとしても、クマは登るのが得意なので、よじ登られていまいます。

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または、たった40センチほどでも下の隙間が空いていれば、くぐって入り込むこともあります。

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金網の下の隙間をくぐるクマ

一方で、近づいてきたクマが、突然、驚いたように走って帰っていくのが…「電気柵」です。

札幌市では、家庭菜園でクマの被害を受けた人や、被害を予想できるエリアの人など、条件を満たす希望者に、電気柵を無料で貸し出しています。購入費用を補助する制度もあります。

ことしも5月17日(金)から申し込み受付が始まります。
電気柵についての講習会も、5月25日に南区小金湯、6月22日に西区西野と、2回予定されています。

「電気柵」は、正しく使わなければ効果を発揮できず、命にかかわることもあります。
札幌市が去年初開催した講習会の様子をもとに、札幌市の電気柵の無料貸し出し制度・購入補助制度について、お伝えします。

連載「クマさん、ここまでよ」

【この記事の内容】
・電気柵は「心理柵」
・間違った使い方では死亡事故も
・ことしの電気柵講習会

電気柵は「心理柵」

初の講習会は、2023年5月、札幌・南区簾舞で開催され、南区で家庭菜園を営む人など15人ほどが参加。
「日本電気さく協議会」に所属する3社が、電気柵の仕組みや効果について説明をしました。

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ファームエイジの小谷栄二さんは、電気柵は「心理柵」だと話します。
「電気柵に触ると痛い」と学習してもらうことで、動物の強い「警戒心」によって、畑に近寄りにくくさせるための手段だということです。

2019年、南区簾舞・藤野地区では、連日住宅地にクマが現れ、家庭菜園などのリンゴやトウモロコシを荒らしました。
味を覚え、毎日のように人目に触れるうちに、クマは住宅の庭でパトカーが警戒する目の前でも、何時間も作物を食べ続けるようになりました。

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2019年、札幌・南区の住宅の庭で、木に登りリンゴを食べるクマ

住民も不安な日々を過ごし、クマも駆除される結末…。
このことを繰り返さないために、最初の段階で「人の食べ物に手を出すと、嫌な思いをする」と、クマに電気柵で伝えることが、ひとつの有効な手段です。

電気柵の効果を発揮させるためには、「抜け穴」を作らないのが大切。
「草が伸びて電気柵に触れていないか?」
「地面がでこぼこしていて、地面から電気柵までの隙間が開いている箇所がないか?」
「水たまりなどにワイヤーが浸かっている部分はないか?」
「ワイヤーが切れたり、たるんでいたりする部分がないか?」

電圧をはかる機械で触れるだけで、漏電していないかは確かめられるので、日々のチェックをすることで、安全を維持することができます。

プロに相談を

電気柵は、正しく使えば効果があるものの、間違った使い方では効果を発揮できず、死亡事故につながることもあります。

2015年、静岡県西伊豆町では、自作の電気柵によって、2人が死亡する事故がありました。
未来のアグリの石澤裕さんは、「高い電圧の電気が流れ続ける、違法な電気柵を使っていたために起こった事故」と指摘。

動物が嫌がる効果」と「人体の安全性」が両立できる、国際規格に沿った電気柵を使うことの重要性を説明しました。

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会場からは、電気柵の高さについての質問などが出ましたが、サージミヤワキの神武海さんは、被害を防ぎたい動物や、家庭菜園の広さによっても変わるので、「現地を見るのがいい」と説明。
相談に応じて、それぞれに合った方法をおすすめしたいと話していました。

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会場に展示された電気柵
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設置が簡単なものなど、場所や目的に合わせた電気柵を各社取りそろえている

札幌市も、「プロの説明」を受けて、正しく電気柵を使ってほしいと呼びかけます。

札幌市では、家庭菜園でクマの被害を受けた人や、被害を予想できるエリアの人など、条件を満たす希望者に、電気柵を無料で貸し出しています。
また、クマの被害を防ぐために電気柵を購入する人には、2万円を上限に、費用の2分の1を補助しています。
どちらの制度の利用者も、無料で設置方法についての説明が受けられることになっています。

札幌市は、「電気柵は自分の畑を守る意味でも大事だが、クマが一度味を覚えると、地域のほかのところにも影響してしまう。自分も、地域の人も守るために、ぜひ設置を検討してほしい」と話していました。

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参加者には、2023年もクマが出没していた、南区の簾舞や豊滝、小金湯で家庭菜園を営む人が参加していて、「参加して良かった」「電気柵に効果があることがよくわかった」などと話していました。

一方、南区だけでなく、西区や中央区でも、クマの出没が相次いでいます。
「ここは今までクマが出ていなかったから大丈夫」とは、言えない時代になりました。

クマが出てからできる対策は限られます。
市の制度を利用したり、プロに相談したりして、「クマが出る前の対策」を考えてみませんか?

ことしの札幌市電気柵講習会

①5月25日(土)午前10~12時
アイヌ文化交流センターレクチャールーム(札幌市南区小金湯27)

②6月22日(土)午前10~12時
昭和会館大研修室(札幌市西区西野6条3丁目14-16)

電気柵の無料貸し出し、購入補助、講習会の詳細は札幌市のホームページでご確認ください。

連載「クマさん、ここまでよ」
暮らしを守る知恵のほか、かわいいクマグッズなど番外編も。連携するまとめサイト「クマここ」では、「クマに出会ったら?」「出会わないためには?」など、専門家監修の基本の知恵や、道内のクマのニュースなどをお伝えしています。

文:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容は取材時(2023年5月・2024年5月)の情報に基づきます。

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