1. トップ
  2. ファッション
  3. あのべーブ・ルースも大谷翔平も山本由伸も愛用!? メジャーリーガーに欠かせないアウターだった「スタジアムジャンパー」【お洒落さんのためのファッション用語辞典 vol.76】

あのべーブ・ルースも大谷翔平も山本由伸も愛用!? メジャーリーガーに欠かせないアウターだった「スタジアムジャンパー」【お洒落さんのためのファッション用語辞典 vol.76】

  • 2024.5.12
あのべーブ・ルースも大谷翔平も山本由伸も愛用!? メジャーリーガーに欠かせないアウターだった「スタジアムジャンパー」【お洒落さんのためのファッション用語辞典 vol.76】
出典 FUDGE.jp

出典:コンバースのスニーカーでバランスをとった上級レイヤードコーデ【本日のFUDGE GIRL-1月25日】

連載『お洒落さんのためのファッション用語辞典』では、トラッドファッションから最新のファッションまで、FUDGEでおなじみのファッション用語についてわかりやすく解説します。第76回目は「スタジアムジャンパー」のルーツを探ります。「スタジャン」と呼んで、愛用している人も、この連載を読んでその背景や起源を知れば、毎日のお洒落がより楽しくなること間違いなし!

 

【用語解説】「スタジアムジャンパー」を知ろう。

あのべーブ・ルースも大谷翔平も山本由伸も愛用!? メジャーリーガーに欠かせないアウターだった「スタジアムジャンパー」【お洒落さんのためのファッション用語辞典 vol.76】
出典 FUDGE.jp

出典:ハイブランドをうまく取り入れてつくるレトロガールコーデ。スタジャンで甘さを調整して

「スタジアムジャンパー」とは、スナップ留めの前開き、両脇に斜めに入るポケット、リブ編みになった襟、そで口、裾などが特徴のジャンパーのことをさす、和製英語です。そもそもの発祥地であるアメリカでは「ベースボールジャケット」「ヴァーシティジャケット」または「アワードジャケット」と呼ばれています。身頃と袖の色や素材が違ったり、胸や背中にイニシャルやマークが入る場合もあり、日本では「スタジャン」と略して呼ばれることがあり、FUDGE GIRLたちにはこのほうがなじみがあるかもしれません。

 

【歴史】アメリカの野球選手が寒さ対策で着用していたもの

あのべーブ・ルースも大谷翔平も山本由伸も愛用!? メジャーリーガーに欠かせないアウターだった「スタジアムジャンパー」【お洒落さんのためのファッション用語辞典 vol.76】
出典 FUDGE.jp

出典:スタジャンをさりげなく着るなら、白のワントーンが相性良し!【FUDGE 1月号連動企画-COAT AND JACKET-No.011】

「スタジアムジャンパー」「スタジャン」が、もとは野球選手などがスタジアム(競技場)で防寒用に着用していた、いわゆるウォームアップ(あたたまる)アウターで、原型はざっくりとしたローゲージニットのカーディガンでした。それが1910年代ごろに、用途に合わせた丈夫さを備えたものへとアップデートし、今の「スタジアムジャンパー」に通じるブルゾンスタイルへとアップデートしました。

スポーツシーンにおいて、本来「ウォームアップアウター」は防寒着でしかありませんでした。つまり実用性と機能性が備わってさえいればよく、ファッション性とは無縁なアイテム。ですが、1960年代に、アイビーリーグのスポーツシーンでも「スタジアムジャンパー」が採用されたことをきっかけに、「スタジャン」は一気にファッション性を帯びていきます。スウェットやレタードカーディガンがそうだったように、在籍する大学や高校、チームのイニシャルを胸元など目立つところに入れ、花形選手が制服のように身にまとうことで、「スタジャン」はたちまち在校生の羨望の的になったのです。

1970年代になるとこの流儀が限られた大学のみならず、全米の他大学へと拡大。所属先のイニシャルだけでなく、マスコットやスローガン、優勝年度、成績などバリエーション豊かなレター(文字)でデコレートされるようになり、華やかさが増していきました。そうなると、スポーツとは無縁の人々の目にも留まるようになるのが自然な流れ。防寒着としてではなく、「スポーツマン」のようなファッションを装いたい人、アイビーリーガーのようなファッションを楽しみたい人々が、タウンシーンで愛用するようになりました。同じ頃、日本にも「スタジアムジャンパー」が紹介され、「アイビールック」に欠かせないアイテムとして人気に。今日でも、ファッション界に定番として君臨するアイテムのひとつといえる存在です。

ちなみに「スタジアムジャンパー」「スタジャン」という和製英語の発案者は、アメリカのカジュアルシーンで流行していた数々のファッションを日本国内に紹介、また自身のブランドに取り入れ、アイビーブームを巻き起こしたブランド、《ヴァンヂャケット》の創設者である石津謙介氏です。

 

【雑学】ルーツはカーディガンにあり!?

あのべーブ・ルースも大谷翔平も山本由伸も愛用!? メジャーリーガーに欠かせないアウターだった「スタジアムジャンパー」【お洒落さんのためのファッション用語辞典 vol.76】
出典 FUDGE.jp

「スタジアムジャンパー」「スタジャン」が、もとは野球選手などがスタジアム(競技場)で防寒用に着用していた、いわゆるウォームアップ(あたたまる)アウターであったことは、先にお話ししました。現在資料として残る写真を参考に、当時のアメリカのメジャーリーガーユニフォームをイラストにしてみると、こんな感じになります。

左はカーディガン時代。1911年にニューヨーク・ハーレムでリンカーンジャイアンツの選手です。右はニューヨーク・ヤンキース時代のべーブ・ルース。ルースは1920年~30年にヤンキースに所属していたそうですが、その間のいつごろでしょう。カーディガンスタイルと似ているようで、生地は丈夫になり、アウター色が強くなっているのがわかります。今の時代の「スタジアムジャンパー」「スタジャン」とほとんど変わらないデザインだと思うと驚いてしまいますね。

 

監修:朝日 真(あさひ しん)

文化服装学院専任教授、専門は西洋服飾史、ファッション文化論。早稲田大学文学部卒業後、文化服装学院服飾研究科にて学ぶ。『もっとも影響力を持つ50人ファッションデザイナー』共同監修。NHK『テレビでフランス語』テキスト「あなたの知らないファッション史」連載。文化出版局『SOEN』他ファッション誌へ寄稿多数。NHK「美の壺」他テレビ出演。

 

illustration_Sakai Maori
edit & text_Koba.A

 

元記事で読む
の記事をもっとみる