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【実話映画】旅先で囚われた息子を救う、母ちゃんの奮闘記『ミセス・クルナスvs.ジョージ・W・ブッシュ』 5/3公開 【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】

  • 2024.5.8

映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介する連載。今回は、5月3日(金)公開の『ミセス・クルナスvs.ジョージ・W・ブッシュ』。タリバンの一味かと容疑をかけられ、米軍基地の収容所に収監された息子を救う母の物語。実話を映画化。


シリアスなテーマが、ミセス・クルナスによって明るい物語に

自分の愛する家族が突如、旅先で捕まり刑務所に入れられてしまったらどうしますか? 言葉が通じず法律も違う国にいる家族の無実を証明し、解放させるのは至難の業。それが実話というのにも驚きつつ、ユーモラスある演技で愛すべき母ちゃんの奮闘劇にしてしまった社会派コメディをご紹介します。

思えば2001年の9月11日に起こったアメリカ同時多発テロは、無差別さに世界が震撼しました。私自身も飛行機がハイジャックされ、ビルに追突する映像に胸を痛め、過激派テロ組織の無謀なまでの行動に恐怖を覚えました。映画で描かれる出来事は、その1ヶ月後、ムラート・クルナスという青年の身に起こりました。その事が書かれた本を読んだ監督と脚本家が、視点を母親に変えて物語にしたのが本作となります。

ミセス・クルナスと弁護士のタッグも見もの

確かに投獄の日々を綴る作品だと、不安に駆られながら、尋問と拷問を受けるシーンの連続になってしまいそうですが、助け出そうと奮闘する母親の視点で物語を作ることで、政治家の思想で人命が左右される問題、移民への差別、打開策としての行動が描けます。これを奮闘劇にしつつ、生命力そのものをスクリーンに映し出す為に選ばれたのが、ドイツの人気コメディアン、メルテム・カプタンでした。

その圧倒的な存在感は、肉体そのものだけでなく、辛くとも残された家族に美味しい料理を作る姿や、フレンドリーな人柄で気軽に頼み事をする女性であり、自分も行動する肝っ玉母ちゃんとして至るシーンで威力を発揮します。更にクルナス夫人は弁護士の元に押しかけ、獄中から息子を救うのは到底無理だと言う弁護士に向かっても希望の光を消そうとしません。その結果、この二人のバディ映画となりコミカルなやりとりが笑いを生んで、最終的に庶民が国に殴り込みをかけるヒーロー映画へと昇華してくんだから本国ドイツで作品賞や俳優賞、脚本賞を取ったのも納得。こんな嘘みたいな本当の話があったのかと驚きながら、社会問題を軽快な切り口にすることで、大衆が見やすい映画にした製作陣の工夫に唸った作品でした。これぞ、スーパー・ポジティブは世界を救う!
——伊藤さとり

☑5月3日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー 『ミセス・クルナスvs.ジョージ・W・ブッシュ』

【あらすじ】2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロのひと月後。ドイツのブレーメンに暮らすトルコ移民のクルナス一家の長男ムラートが、旅先のパキスタンで“タリバン”の嫌疑をかけられ、キューバのグアンタナモ湾にある米軍基地の収容所に収監されてしまう。母ラビエは息子を救うため奔走するが、警察も行政も動いてくれない。藁にもすがる思いで、電話帳で見つけた人権派弁護士ベルンハルトの元を訪れたラビエは、アドバイスを受けアメリカ合衆国最高裁判所でブッシュ大統領を相手に訴訟を起こすことになる……。 2022年/ドイツ、フランス/119分
監督:アンドレアス・ドレーゼン『グンダーマン 優しき裏切り者の歌』
脚本:ライラ・シュティーラー
撮影監督:アンドレアス・フーファー
出演:メルテム・カプタン、アレクサンダー・シェアー 配給:ザジフィルムズ
後援:ゲーテ・インスティトゥート東京
(c) 2022 Pandora Film Produktion GmbH, Iskremas Filmproduktion GmbH, Cinéma Defacto, Norddeutscher Rundfunk, Arte France Cinéma

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