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小泉今日子がホントのコイズミさんで感じた宮藤官九郎たちの“ムード”ーー2024年前半BEST7

  • 2024.5.7
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2024年1~4月にCREA WEBで反響の大きかった記事ベスト7を発表します。カルチャー部門の第5位は、こちら!(初公開日 2024年3月13日)


小泉今日子さんと言えば、80年代を代表するアイドルであり、舞台や映画、ドラマ出演もこなす女優。そして、今では株式会社明後日の代表取締役を務めながらプロデューサーといった裏方仕事もこなすというマルチな活躍に注目が集まるスーパーウーマンです。そんな彼女が片時も離さず、とにかく暇があれば没頭するというのが【読書】。小泉さんは、大の読書家としても知られています。

今回の書籍は、Spotifyで“本をテーマ”にスタートしたオリジナル番組『ホントのコイズミさん』として配信されていたものから、テーマに合わせた配信回をキュレートして集めたもので、3冊目となる本のテーマは【NARRATIVE】。自分自身が紡いでいく物語、という意味のNARRATIVEと、アイドルから歌手、女優、そして制作プロデューサーまで縦横無尽に渡り歩く小泉今日子さんの人生をオーバーラップさせながら、今の小泉さんの本音をたっぷりと伺いました!


小泉今日子さん。

ポッドキャストでも書籍でも2度楽しんでほしい

――新刊の『ホントのコイズミさん』は今回、NARRATIVEというテーマで、すでに3冊目です。ポッドキャストで耳から聞くのと、本として読んでいくのでは、印象が違って驚きました。

そう思います。音で聞いていたときに気になったことと、読んだときに引っかかることって、何か違う気がしますね。印象が異なるというか。

でも、それが書籍化するときにいい効果になるという感じがしました。ポッドキャストと書籍と、どちらから入っても面白いでしょうし、印象が違うのでどちらも楽しめると思います。

――印象が異なるがゆえに、書籍化されるときに苦労されたところなどはありますか?

本になるときは、私はほとんど何もしていないんですけれど(笑)、きっと編集の方は苦心されていると思います。最初にこの本をつくると決めたときに、横書きにするとか、本をどちら開きにするかとか、細かいところにこだわって、ポッドキャストのムードをどう読んでもらうかというアイデアを出し合ったと聞いています。

この番組が始まるときから編集を始めとする皆さんに参加していただき、仲間になってもらいました。写真撮影など、常に現場にいてもらったんです。実際の収録時のムードを見てくださっている方々が本を作ってくださるというのは、とても大きい気がします。

小泉今日子さん。

――毎回、書籍ならではの企画も入っているそうですね。

そうなんです。最初から、「書籍でないとできない企画も必ず作ろうね」と話して、そのアイデアも担当編集の方と一緒に考えました。

今回のNARRATIVEでは、例えば宮藤官九郎さん。脚本家としての宮藤さんについてご存知の方は多いと思いますが、作詞家としての宮藤さんにももっとフィーチャーしたいなと。そこで、『宮藤さんの傑作リリック集』という、宮藤さんの作詞を5曲紹介する企画ページを作りました。

例えば、THE ALFEEの高見沢俊彦さんのソロ曲の『騒音おばさんVS高音おじさん』は名“詩”ですよ(笑)! 高見沢さんもこの歌をとても気に入っていらっしゃるそうで、ご自身のソロライブの最初と最後に2回も歌われるとか(笑)。宮藤さんもとても喜んでくださって「歌詞を取り上げてくれた企画、すごく嬉しかった」とご連絡をいただきました。

――『宮藤さんの傑作リリック集』には、ほかにもNHK『みいつけた!』の『わーわーわー ~はじめてのウソ~(フルバージョン)』やNHK連続テレビ小説『あまちゃん』で小泉さんが歌われた『潮騒のメモリー』などが取り上げられています。

『みいつけた!』は子ども向けの番組なのですが、「しょーにんよっきゅー」とか「じーこーけんお」とか、あえて少し難しい言葉が入っているんです。でもそれが言葉を知るきっかけになるんですよね。子どもって敏感だから、「その音は何?」と思ったら、大人に聞いてみるだろうし、そうしたらそれを一生忘れないんだと思います。でも“知る”というのはそういうプロセスのものなので、宮藤さんの愛情が溢れている歌詞だと思います。

NARRATIVEという言葉から、新しい世界を見つけて

――戯曲などは、演じられた舞台を文字として反芻できる読み物ですが、『ホントのコイズミさん』のように、ポッドキャストが書籍化されることは画期的です。

本をテーマにした番組だったので「本にするしかないでしょ!」という感じは最初からありましたから。番組の企画が決まったときに、私は「これはすごくいい話が聞けるんだろうな」という予感があって。きっと、その対話から生まれるものは誰かの心を少しラクにしてくれるんじゃないかと思いました。

本を読むのが得意な人も苦手な人もいるし、音を聞くのが得意な人も苦手な人もいます。せっかくだから、みんなの元に届く可能性を広げたいなという感じでしたね。

――最初にも少し出ましたが、今回のテーマはNARRATIVE。このテーマに決められた理由は何でしょうか?

NARRATIVEの前に、YOUTH、WANDERINGというテーマの2冊が出版されています。本当にたくさんのキーワードを編集の方と吟味していき、最初は日本語のキーワードも候補に挙がっていたんです。でも、日本語だと意味が限定されてしまう感じがするから、もう少し広い意味に捉えられる言葉がいいねということで、YOUTH、WANDERING、NARRATIVEになりました。

実は私、NARRATIVEという言葉を詳しくは知らなかったんです。あまりなじみのない言葉ですよね。でも、検索して“語り手となる話者自身が紡ぐ物語”と知って、「素敵じゃん!」って。

NARRATIVEという言葉を検索して、“語り手となる話者自身が紡ぐ物語”と知って「素敵じゃん!」って。

――今回、NARRATIVEをテーマにセレクトされた5名の方とのトークを経て、小泉さんご自身の中で「NARRATIVEってこういう感じ!」と辿り着かれたところはありますか?

NARRATIVEと比較されるものにSTORYがありますが、STORYというのは物語の内容や筋書きを指します。けれども、NARRATIVEというのは、変化し続けるけれども完結はしないんです。

今回この本に登場していただいた方々は、「結論に至らなくていい」という、そんなムードがある方ばかりです。私の人生そのものもいつも結論なんて出てないですし、生きている限り過程でしかありませんから。

ゲストに来てくださった宮藤さんのドラマも同じだなと思います。いつもすごく楽しく見ているのですが、結論を押し付けられる気分になったことが一度もないんです。『あまちゃん』にも出演させていただきましたが、あの最終回も“結論”には辿り着かないんですよね。女の子二人がトンネルに向かって走っている後ろ姿で終わる素敵なラストシーンでしたが、それがまさにNARRATIVEで。でも、宮藤さんのドラマは、無責任に観客に委ねられているわけでもない。NARRATIVEもそういう感じかな。

――ポッドキャストを聞いて、さらに書籍を手に取って読むと、読者は“自分なりのNARRATIVE”を考えるきっかけになりそうです。

新しい言葉をひとつ知ると、少し世界が広がるんですよね。NARRATIVEという言葉を覚えたら、それが聞こえてくるし、見えてくる。その時々で、宮藤さんや哲学者の永井(玲衣)さんたちの言った言葉を思い出す……、この本を読んだことで、そんな繋がりができたらいいなって思います。

【小泉今日子】はみんなで創り上げたキャラクター

――小泉さんは【花の82年組】としてアイドルデビューされて、今日までずっと活躍されていますが、当時イメージしていた未来の延長線上に“現在の小泉さん”の姿を描けていましたか?

ここまで生きているってことも想像していませんでした(笑)。もっと刹那的なYOUTHの時代だった気がします。

忙しかったから、というよりは、歌手になる前から、自分があまり遠い未来まで生きているということを想像できていなかったんです。その日その日を生きている、という感覚が強くて「明日死んでもいいや」といつも思っていました。

それが、40歳くらいになったときから「あれ、これからも生きるのかも」って(笑)。どうせ生きるんだったら、ここからの人生、生きているうちにできることを目標にしてやってみようかなという感覚が生まれたんです。

それで、2015年に株式会社 明後日(あさって)を立ち上げました。人並みに「定年と言われる年齢までもう少ししかない!」といった感覚になりまして(笑)。

株式会社 明後日を立ち上げた頃の話をする小泉今日子さん。

――表舞台での活動も続けながら、プロデューサー業など、裏方のお仕事もされています。書籍の中でも「自分が先輩方にしてもらったことを、今度は自分が次の世代に」という“恩送り”についてもコメントされています。

ひとりではなかなかできませんが、仲間がいれば可能なんですよね。自分に足りないものを持っている人が周りにいれば、みんなでチカラを合わせて、動けるという感じかな。

仲間というのは今までの人生で一緒に仕事をしてきた方々でもありますし、自分の会社の社員もそうです。また、この番組や書籍を作っていく過程で仲間が増えたという感覚もあります。

どの仕事でもそうなんですが、私は常に“みんなで作っている”という意識が昔からあるんです。【小泉今日子】というキャラクターも歌手も、みんなで作ったモノなんですよね。だから私も、状況を常に客観視していました。

表に出る顔としては私ひとりですが、ディレクターがいて、ミュージシャンがいて、コンサートを演出する人がいて、照明さんがいて……。その感覚でここまでずっと生きているんです。

――アイドルとしてはすごく珍しい立ち位置だったと思います。男性だけでなく、女性ファンが多かったのも、そういう小泉さんのスタンスが伝わっていたからでしょうか?

いい大人がそばにいてくれたんだと思います。よその人には「変人!」って言われていましたから(笑)。言うことを聞かないし、お金にもなびかない。コントロールしづらい……。でも、私は仕事で付き合っているんだから、仕事で結果を出せばいいじゃんって思っていたんです。

だから、たとえ「変人!」と言われていたとしても、私の周りには“そう扱わせない”、素敵な大人が何人もいてくれたんです。あとは家族の存在も大きかったですね。ずっと普通に接してくれている、そんな感じでしたから。

小泉今日子

神奈川県生まれ。1982年『私の16才』で芸能界デビュー。以降、歌手・俳優として、舞台や映画、テレビなど幅広く活躍。2015年より代表を務める『株式会社 明後日』では、プロデューサーとして舞台や音楽イベントなどの制作も手掛ける。文筆家としても定評があり、著者に『黄色いマンション 黒い猫』(スイッチ・パブリッシング/第33回講談社エッセイ賞)、『小泉今日子書評集』(中央公論新社)など多数。2021年4月より約2年半の間、Spotifyオリジナル・ポッドキャスト番組『ホントのコイズミさん』にてパーソナリティを務める。

ジャケット 149,600-、パンツ 69,300-
ともに forte_forte (CORONET 03-5216-6518)

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文=前田美保
撮影=深野未季
スタイリスト=藤谷のりこ
ヘアメイク=石田あゆみ

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