新生活がスタートした春。自炊に初めて挑戦している人も時期、あらためて「ご飯をおいしく食べる方法」を3回に分けて紹介します。第3回は「冷凍ご飯」について。
炊いたご飯が余った場合、どうするのが正解?
炊き上がったご飯を食べきれなかった場合、どうしていますか?翌日までには食べるから炊飯器に入れっぱなしにする、とりあえず茶碗に移し替えて冷蔵庫に入れる、など意見が分かれそうですが、実際のところ、どうすればベストに近い状態でおいしいご飯が食べられるのでしょうか。
・冷蔵保存と冷凍保存、どっち?
その日のうちや翌日に食べるなら、冷蔵保存の方が解凍がラク……。しかしこれはNGです。
過去にJA全農がX(旧ツイッター)公式アカウント(@zennoh_food)で「炊いたごはん冷蔵禁止令を発出」して話題になりました。
それによると、ご飯は冷蔵で保存するとデンプンがどんどん劣化するのだそう。また同じ投稿で「ラップにくるんで粗熱がとれたくらいのタイミングで冷凍」することを推奨しており、冷凍保存ご飯の方がおいしさをキープできるとのことです。
・保温ご飯と冷凍保存、どちらがおいしい?
朝炊いたご飯を夜にも食べるとき、もしくは夜炊いたご飯を翌朝も食べるとき、保温をしたままにするか、一度冷凍しておき食べる際に解凍するか悩むところです。
結論から言うと、保温したご飯は炊き上がりから約2時間ほどで色や食感、味、ツヤなど質が落ちていきます。なるべく早めに冷凍してしまいましょう。
コスト面は?炊飯器の保温 VS レンジで解凍
・コスト面では、保温と解凍どっちがいい?
コスト面で考えるとどうでしょう。
炊飯器のトップメーカーの一つであるタイガーによると、5.5合炊いて1時間炊飯器で保温した場合の電気代は、マイコン式・IH式で約0.6円、圧力式で約0.53円。一方、冷凍ご飯を解凍する場合の電気代は、茶碗1杯分ご飯を600Wで2分間温めると約0.5円の電気代が掛かるとのことです(電子レンジの機種やワット数によって異なります)。
つまりコスト面で考えても、2時間以上保温するのなら、冷凍保存&解凍の方がお得ということになります。
・一度にたくさん炊いて冷凍するべき?
お米は一度にたくさん炊いた方がおいしくなるという説を聞いたことはありませんか?大量で炊いた方が対流が大きくなり、米がおどりやすくなるため炊きむらが少なくなるのだとか。
しかしながら大手メーカー東芝によると、むしろその逆もあるとのこと。
釜の中にゆとりがないと、お米本来のおいしさが充分に引き出せないからだといいます。また、「最大炊飯容量の7割程度が適しているとされ、5.5合炊きであれば3合くらいがおいしく炊けるといわれます」ともあるので、参考にしてみてください。
知ってると便利!冷凍ご飯をおいしく食べるコツ
冷凍ご飯をおいしく食べるには、保存時、解凍時のどちらにもちょっとしたコツがあります。
まず、ご飯をラップで包むときは、解凍時の加熱ムラを防ぐために1食分ずつを平らに包みます。ポイントはできるだけ急速に冷やすこと。急速に冷やした方がおいしさをキープできます。
しかしながら、すぐに冷凍庫に入れると冷蔵庫の故障原因になったり、庫内の他の食材をいためてしまうこともあるので、粗熱が取れたタイミングでOKです。
その際にはアルミホイルで包んだり、アルミトレイに載せて冷凍庫に入れるとさらに急速に冷やすことができます。
ご飯の量にもよりますが、1食分の解凍の目安は600Wで2~3分です。ポイントは、一気に解凍しようとしないこと。加熱ムラができたり、加熱し過ぎて部分的に硬くなってしまうこともあるからです。
最初に30秒~1分程度加熱して、ご飯がほぐれる程度になったら茶碗に移して箸でほぐします。その時に解凍具合いを見ながら30秒、30秒と少しずつ加熱時間を増やしていけば失敗せずにおいしいご飯が食べられます。
特に一人暮らしの場合、毎日炊飯するより一度に多く炊いて保存しておく人も多いでしょう。冷凍ご飯のおいしい食べ方を押さえることで、日々の満足度が少しでも高まりますように。
(渡邊倫子)