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杉咲花さん「周りと比較してしまうときこそ自分だけが持っているものを大事に」

  • 2024.5.6

発する言葉遣いのひとつひとつが美しくて、普段から自問自答をたくさんしているんだな、という印象だった杉咲さん。〝今も昔もコンプレックスがある〟という彼女の乗り越え方と考え方は、私たちの悩みのヒントにもなるはずです。

コンプレックスがあるから、他者を演じることに興味を持ちました

幼い頃からドラマが大好きで、1クールすべてのドラマを見るくらいテレビっ子でした。今振り返ると、他者になりきる行為に惹かれたことがお芝居に興味を持つきっかけだったように思います。昔から色々とコンプレックスがあり、「こう見られたい」とか周りと比べて「どうして自分はこうなんだろう」と考えてしまうことも多かったので、ここではない場所に行ってみたい気持ちがあったのかもしれない。この世界に入った時点で、その思いに気付いていたわけではなくて、デビュー当初は単純に物語の世界に入っている喜びや楽しさが強かったです。今でこそ、恥じらいや緊張感を持ちながらカメラの前に立つことがどれだけ重要なことなのか、冷静に考えられますが、当時はそういうものよりも自分を表現できる高揚感の方が大きかったと思います。

以前よりは、嫌われても仕方ないと思うようになりました

争いや喧嘩が苦手で、嫌だったことを伝えるのも勇気がいるので、結構溜め込みやすいタイプ。怒りの感情や違和感を自覚するのも遅くて、ホットプレート式にじわじわと、気が付いたらすごく怒っているパターンがほとんどですね(笑)。物事が過ぎた後に、「やっぱり嫌だったな」ということもあるので、もう少し自分の感覚に敏感でありたいです。でも俳優としては、作品がよりブラッシュアップされるかもしれないと思えば、普段言えないことも言える。以前は嫌われることがとても怖かったのですが、最近は嫌われても仕方ない、と思えるようになってきました。それが実際に作品のためになっているかは分からないけれど、世に出て、自分の想像を超えたところに届く可能性を秘めているものだからこそ、責任を取りたい。だから、違和感を持ったままカメラの前に立つことはできないし、避けたいと思うんです。受け取られ方も様々なので、自分の中に答えを持っておくこともポリシーのひとつ。現時点での目指したい方向に対して、受け取った相手が感じたことに耳を澄ませていたいし、そこから得る気付きも更新していきたい。作品の反響は必ずチェックするし、どんな意見も受け入れるようにしています。ネガティブな意見に触れたときは「伝えきれなかったんだな」と落ち込みますが、指摘されるには理由があるわけで、そこは自分なりに解釈するように努めています。

杉咲 花さん
1997年生まれ。東京都出身。2016年に映画『湯を沸かすほどの熱い愛』で、第40回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞・新人俳優賞を受賞。2018年TBSドラマ『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』で連続ドラマ初主演、映画『パーフェクトワールド 君といる奇跡』で映画初主演を果たす。2020年NHK連続テレビ小説『おちょやん』ではヒロインを演じた。映画『市子』で第78回毎日映画コンクール女優主演賞を受賞。現在、映画『52ヘルツのクジラたち』が公開中。待機作に『朽ちないサクラ』(6月21日公開)、『片思い世界』(2025年公開)がある。4月からはカンテレ・フジテレビ系ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』(毎週月曜22:00〜)で主演を務める。記憶障害の後遺症を抱える脳外科医・川内ミヤビで医師役に初挑戦。

【衣装】ニット¥55,000 ブラウス¥66,000(トゥモローランド ビー/トゥモローランド 渋谷本店)スカート¥61,600(イロット/ザ・ウォール ショールーム)シューズ¥51,700(ビューティフル・シューズ/オーセンティック・シュー&コー)タイツはスタイリスト私物

撮影/水野美隆 ヘアメーク/宮本 愛 スタイリング/吉田達哉 取材/坂本結香 再構成/Bravoworks,Inc.

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