ベルリン在住で6人の子どものお母さん。モデルとして活躍する傍ら「台所から子育て、暮らしを豊かに」をコンセプトに、オンライン講座とウェブサイトを主宰している日登美さんによる、「食」からはじまるエッセイです。
大変な時こそ子どもと向き合う
春休みにかわってドイツではイースターホリデーが終わり、休み明けの登校が始まっている今日この頃。休み明けって嬉しい反面、大人も子どももまたいつものリズムに戻るまでちょっと時間がかかってしまいますよね。
特に日本では進級するのが春なので、新しい環境で一生懸命毎日を送っているお子さんも多いのではないでしょうか? 子どもってこの時期、大人が思っている以上に疲れていたり、頑張っている時期だったりしますよね。
そんなとき、美味しいご飯、ホッとできる時間っていうのが何よりみんなの癒やしになる。だけど、だからって頑張ってご飯を手作りしなきゃいけないってわけじゃありません。
ホッとできる時間って子どもにとっては、お母さんがリラックスしていることだったりします。もちろん美味しいご飯は嬉しい。だけどそれよりお母さんに余裕があって、話を聞いてくれる方がうんとご馳走だったりすることもある。
学校帰りに今日は買ったもので済ませちゃおっか。おかずはレトルトにしちゃおうか。それともサクッと外食しちゃおうか。そんなふうに食卓を簡単にすることが今の社会では何よりお母さんを楽にしてくれることもありますよね。ドイツのお母さんたちは、その点では手を抜くのがとっても上手。大変な時こそ食卓でなく、子どもに向ける時間を増やしているように思います。
食事ってたしかに大事。だけど暮らしとのバランスを眺めて手を抜いたり、文明の力を使って楽をする。その余裕が子どもに接する時の優しさになるなら、そんな選択肢があってもいいんじゃないかと思うのです。