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「今期もやっぱり最高だった」アニメ版『ヒロアカ』のテーマ曲に隠された表現とは?

  • 2024.5.15
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(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会

『僕のヒーローアカデミア』は、最高のヒーローを目指す少年少女の笑いあり涙ありの学園モノストーリーからすっかり様相を変え、壮絶さを増している。7期の初回放送となる139話では、いきなりヴィランの親玉であるオール・フォー・ワンと混在する死柄木弔とアメリカのナンバーワンヒーロー・スターアンドストライプの激しい空中戦が繰り広げられた。そして、一度は仲間のもとを去った緑谷出久(以下、デク)は再び雄英高校へ帰還し、プロヒーローや1年A組のみんなと共に戦う準備を進める。デクたちとヴィランの最終決戦はもうすぐそこまで迫っている。

シャボン玉に例えた歌詞が儚い OPテーマ「誰我為」

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(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会

徐々に過酷になっていくストーリーに伴って変化したのが、OPとEDだ。物語の始まりである1期に流れた初代OPテーマは、ポルノグラフィティの「THE DAY」。一歩を踏み出す勇気をくれるような、最高のヒーローになるための階段をのぼり始めたデクにぴったりの楽曲だ。他にも米津玄師の「ピースサイン」やamazarashiの「空に歌えば」など、力強く青春感のある楽曲たちがいくつもラインナップされてきた。

7期の新OPテーマであるTK from 凛として時雨の「誰我為」は、迫る最終決戦の壮絶さを代弁するようなシリアスな曲調が特徴的な激しいロックナンバーだ。憂いを帯びたボーカルが胸を締めつけ、「シャボンのように解き放たれて弾けた 絶え間ない不安と誰かの理想が」という歌詞から、理想や希望をシャボン玉に例えているのが読み取れる。

どれだけ大きく膨らませて高く飛ばしたとしても、最後には弾けて消えてしまうシャボン玉。そのシャボン玉の運命が儚く、1期や2期といった序盤のOPテーマとは大きく違い、まるで作品が変わったかのようだ。「僕は何度も再生する 誰我為?」というフレーズからは、悩みや葛藤もうかがえる。同時に映し出される爆豪勝己の姿から、デクと爆豪の友情とはまた違う絆のようなものを感じる。

桜の蕾と重なるキャラクターの“オリジン” EDテーマ「蕾」

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(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会

そして、7期の新EDテーマであるOmoinotakeの「蕾」は、落ち着いた曲調の中にエモーショナルな熱を持った楽曲だ。「擦れ違ってもがいて わかりあえず痛くて 「それでも」って叫ぶ蕾のような僕の願い それだけは決して枯らさないように」という歌詞から、願いを蕾に例えていると受け取れる。キャラクターの幼少期が映し出され、轟焦凍や麗日お茶子といったヒーローだけではなく、トガヒミコやスピナーといったヴィランにもスポットが。

「咲き誇った笑顔でこの道を照らして その顔が僕にとってのオリジンだ」まさに幼少期という原点を回想するようなEDだ。また、サビの直前で蕾が花咲き、白黒だった映像に色がつく演出が鮮やかで目を引く。ラストには満開になった桜のカットが。キャラクターが幼少期から成長する過程を、桜の蕾や花と重ねて美しく描いている。

「誰我為」からは理想や希望の儚さを、「蕾」はそっと背中を押してくれるような優しい強さを感じる。どちらも7期のストーリーが進むにつれて、きっとさらに考察して語りたくなるOPとEDになるだろう。

僕のヒーローアカデミア
[番組URL]https://abema.tv/video/title/19-15
超常能力“個性”を持つ人間が当たり前の世界。憧れのNo.1ヒーロー・オールマイトと出会った“無個性”の少年・緑谷出久、通称「デク」は、その内に秘めるヒーローの資質を見出され、オールマイトから“個性”ワン・フォー・オール(OFA)を受け継いだ。デクはヒーロー輩出の名門・雄英高校に入学し、“個性”で社会や人々を救ける“ヒーロー”になることを目指し、ヒーロー科1年A組のクラスメイトたちと共に成長していく。

【(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会】
ABEMA放送情報:
『僕のヒーローアカデミア』の最新話は、「ABEMAアニメチャンネル」にて毎週土曜22時より無料放送。放送後1週間、最新話を無料で視聴できる。


ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムや映画の作品評、マンガのレビューを手がける。X:@kaku_magari