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“川口春奈”の演技に「泣けた」「上手すぎる」と絶賛の声…最終回直前の『9ボーダー』で魅せた確かな実力

  • 2024.6.21
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19歳、29歳、39歳。それぞれ9ボーダーである大庭姉妹が仕事と恋、人生に悩む姿を描いてきた『9ボーダー』がいよいよ最終回を迎える。特に、主人公・七苗とコウタロウ(松下洸平)の恋の行く末が気になるところ。第9話では、コウタロウを追いかけて神戸に行ったものの何もできず、自分の気持ちを懸命に隠そうとする七苗の切ない様子が描かれた。

苦悩し、葛藤する七苗

記憶喪失のままバルで働き、七苗と親交を深めてきたコウタロウ。コウタロウの柔らかく、包み込むようなコミュニケーションは、30歳を目前に漠然とした焦りを感じながら日々を送っていた七苗の心をほぐしていった。しかし、コウタロウが誰なのか知っているという人が現れたことで、二人の穏やかな日々は変化していく。

コウタロウは、神戸の不動産会社の副社長・芝田悠斗であり、結婚を目前に婚約者がいたのだ。「コウタロウの帰りをずっと待っていた人がいる」この事実を前にして、七苗は自分の気持ちに蓋をする。

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金曜ドラマ『9ボーダー』第9話より (C)TBS

芝田悠斗には、芝田悠斗の人生がある。邪魔をしてはいけない。七苗は、自分の中にあるコウタロウへの恋心と、芝田悠斗の人生に戻るべきだという建前の間で揺れ動く。神戸にいながら、コウタロウに今は忙しいからと電話する七苗の表情は、まさしく苦悩しながら精一杯の強がりが表現されていた。

川口春奈が感情を揺らす姿が、心に訴えかける

『9ボーダー』第9話を見ていて、大庭七苗役は川口春奈にしかできないと強く感じられた。

川口は年相応の悩みや、自分の中にある相反する感情に揺れ動き、葛藤する姿が本当に似合う。思っていることとは逆のことを言ったり、流れる涙を我慢しようともがく姿を見ていると、なんだか心が締め付けられる。彼女の表情には、真っ直ぐに心へと届いてくる力があるのだ。

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金曜ドラマ『9ボーダー』第9話より (C)TBS

近年、『着飾る恋には理由があって』や『silent』『ハヤブサ消防団』など、民放ドラマで主演やメインキャストを務めることが多い川口。特に高い人気を誇った『silent』では、過去に好きだった人が中途失聴者になっていたことを知り、過去と現在の恋に揺れながら自分に向き合っていく青羽紬を演じた。

川口は、繊細に紡がれる物語に馴染むような言葉では表現できない感情や、自分の想いと相手の想いがうまく通じあわないことによる葛藤を見せた。相手を思いながら静かに流す涙は、胸に迫るものがあり、もらい泣きをしたという人も多いだろう。

『ハヤブサ消防団』では物語の重要なキーパーソンである立木彩を演じた。仕事の成果を、上司に横取りされ悩んでいた時に出会ってしまった新興宗教・アビゲイル騎士団。アビゲイル騎士団に足を踏み入れるまでが描かれた回では、徐々に視野が狭まっていき、葛藤しながらも、戻れなくなってしまうまでの恐ろしさが表れていた。川口が仕事の成果を上司に奪われるという共感しやすい苦悩をリアルに表現したことで、追い詰められた人間が間違った道に助けを求めても仕方がないと思わせる納得感を視聴者に与えていた。

川口は、役柄の言葉にしにくい苦しみを、表情や声色、涙のこぼし方などで繊細に演じることができる。そして我慢して我慢して、耐えられずに漏れ出た役の感情が、視聴者の心を動かすのだ。

『9ボーダー』第9話のラストでは、七苗だけでなくコウタロウまで自分の心に蓋をしてしまった。七苗は「会えてよかった」とコウタロウに伝えて電話を切り、涙ながらに大好きだったと言葉を漏らす。SNSでは「七苗に寄り添いたい」「七苗の一言に泣けた」「演技上手すぎる」というコメントも。やはり川口が演じてこその役柄だと言えるだろう。

平気なフリをして溜め込む七苗は、自分の気持ちに素直になってコウタロウと未来を生きていくことができるのか。最後まで見守りたい。



番組概要:TBS系 金曜ドラマ『9ボーダー』 毎週金曜よる10時

ライター:古澤椋子
ドラマや映画コラム、施設取材、イベントレポートなどを執筆するライター。ドラマ・映画・アニメ・漫画とともに育つ。X(旧Twitter):@k_ar0202