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【日常の中の美を体感】「民藝 MINGEI — 美は暮らしのなかにある」世田谷美術館で開催中

  • 2024.4.30

世田谷美術館にて開催中の企画展「民藝 MINGEI — 美は暮らしのなかにある」。思想家の柳宗悦(やなぎ むねよし)氏の民藝観を入口に、「日常の中の美」を辿ります。会場を1周してみると、何気ない日常に溶け込む美を感じ、暮らしにとり入れてみたくなる、そんな展覧会です。

 

 

「民藝 MINGEI — 美は暮らしのなかにある」について

2024年4月24日(水)から6月30日(日)まで、世田谷美術館で開催されている企画展「民藝 MINGEI — 美は暮らしのなかにある」。「民藝運動の父」と呼ばれる思想家・柳宗悦(やなぎ むねよし)氏が説いた、日々の生活のなかにある美を慈しみ、素材や作り手に思いを寄せる「民藝」というものが何なのか。「衣・食・住」をテーマにひも解き、その広がりと、これからを展望する展覧会となっています。

民藝の歴史と今を感じられる展覧会

柳宗悦の民藝観を感じられる第I章

第I章では、柳宗悦が1941年に展開した「生活展」にて、暮らしのなかで民藝を活かす手法を提示した展示の再現となっています。当時の写真も展示されているので、どれほど再現されているのか見比べてみるのも面白いかもしれません。

当時から宗悦が愛用していたが品々が使われており、「昨日の食事で使っていたものが、気が付いたら民藝館に展示されていた」というエピソードが残っています。それほど宗悦は、民藝を生活の中に馴染ませていました。

民藝というものは、生活にあるものだからこそ美しいのかも。

衣食住を民藝からみる第Ⅱ章

第Ⅱ章では、宗悦が世界各地から収集した民藝品を「衣・食・住」に分類し、彼の残した言葉とともに民藝美の視点をひも解いています。

「衣」ではかつて日常着だった着物を中心に展開。

≪剣酢漿草大紋山道文様被衣≫

 

こちらの着物は江戸時代に女性が着ていた外出着です。もともとこのような形で作られていたものではなく、古着を改めて染め直し、更に刺繍を施したもの。再生良品にも目を配っていたという視点が読み取れます。

≪呉須鉄絵撫子文石皿・絵志野粟文平鉢≫

 

≪茶碗籠≫

 

「食」では、お皿に美を求めた柳の食器や調理器具が展示されています。お皿だけでなく、食事に使うさまざまな小物もありました。

地方の文化として、沖縄の暮らしの展示コーナー。おだやかな音楽が流れており、潮風を感じそう。

「住」では、暮らしに必要なさまざまなものが展示されています。見覚えのあるものが多くありました。

世界・現代へ続く第Ⅲ章

第Ⅲ章は、宗悦没後の民藝の世界を展示しています。

≪世界の民藝≫

 

≪靴下≫

 

『世界の民芸』とは書籍のタイトル。宗悦の思想を引き継いだ濱田庄司氏、芹沢銈介氏、外村吉之介氏の三人による、世界の品物を1冊にまとめたものです。ここに掲載されている中からいくつかの品々をピックアップ。彼らが愛着をもって品々の魅力を語った、ユーモアある解説と一緒に楽しめます。

≪入れ子土鍋≫

 

たとえばこちら。芹沢氏がアメリカで入手した、スープやシチューを煮る日用雑器です。入れ子状に収まっている姿が、上から見ると「あたかも玉ねぎの断面を見るようなおもしろさがある。」とのこと。たしかにそう見えてくるかもしれません。

解説を見る前に、自分だったらどう表現するか考えてみるのも楽しそうですね。

≪小鹿田焼(おんたやき)≫

 

次のセクションでは、今もなお作り続けられている日本各地の民藝を、職人さんのインタビュー映像とともに展示されています。展示品から職人さんの想いが感じられそう。

≪丹波布≫

 

≪倉敷ガラス≫

 

≪八尾和紙≫

 

≪鳥越竹細工≫

 

「民藝」と聞くと昔のもののように思えますが、今もなお続く日本の伝統的な工芸です。

最後のセクションです。元BEAMSのバイヤーで、現在の民藝ブームの先駆者ともいえるテリー・エリス氏、北村恵子氏による、いまの暮らしに融合した民藝のスタイルを提案しています。

BEAMS時代に作られたスカジャン(左)と、アーティストによって段ボールで再現されたスカジャン(右)。沖縄県の地図に民藝が書かれている民藝マップをもとにデザインされ、それをアーティストがさらに再現した、民藝とアートの融合作品です。

「民藝」「暮らし」「アーティスト」。いくつかの要素が組み合わさった展示から、これからも続いていく民藝の可能性が感じられそうです。

お土産ショップで暮らしに民藝をとりいれよう

特設ショップでは、第Ⅲ章で展示されていた今もなおつづく民藝の品々を中心に、グッズが販売されています。気になった品をすぐに手に取ることができますね。

マスキングテープやポストカードといったカジュアルなグッズもあります。陶器はまだハードルが高いという方でも民藝を生活に取り入れられそうです。

人々の生活を支えてきた「民藝」の品々。芸術はどこか遠いものだと感じてしまいますが、3章からなる展示から、生活のなかにもあることを教えてくれます。今もなお息づく「暮らしの中の美」を感じに行ってみてはいかがでしょうか。もしかしたら、生活の彩りが少し増えるかもしれません。

 

民藝 MINGEI — 美は暮らしのなかにある

開催期間 :2024年4月24日(水)~6月30日(日)

開催場所 :世田谷美術館 1、2F展示室

住所 :世田谷区砧公園1-2

電話番号 :050-5541-8600

時間 :10:00~18:00

休館日 :月曜日(4月29日(月・祝)、5月6日(月・振休)は開館、5月7日(火)は休館)

チケット料金:(個人)一般 1,700(1,400)円/65歳以上 1,400(1,100)円/大高生 800(600)円/中小生 500(300)円

 

[Photos by miri]

 

 

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