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【お悩み】 片思いの相手にどうしても抱かれてみたい……この気持ちはどうしたらいい? #61

  • 2024.4.29

は〜いみなさん、ごきげんよう!満島てる子です。

新しい出会いが多いこの季節。
桜も例年より随分と早く咲いたりして、そんな春爛漫な空気を感じるたびに「あぁあ~、自分も誰かとの間に花開いたりしないかなぁ」なんて、あたしの中で妄想めいた願望がつぼみを膨らませたりもしているのですが(それはいつもか……苦笑)。

Sitakke
ライター・満島てる子

いやはやいつも思うけれど、恋や愛というものは、そうそう上手にすんなりいくものではないものよね。
なにせ、そもそも「好きな人」という他人ありきのことですもの。自分の意思だけで事が全て運ぶものじゃないわけで。

今日はそんな恋愛のお悩み(しかもかなり複雑そうなやつ)を抱えた方から、お手紙をいただいております。ご紹介しましょう。

読者のお悩み: 片思いの相手にどうしても抱かれてみたい……

Sitakke
Sitakke

うぅんなるほどねぇ。
はっきり言っちゃうと、あなた、結構重症そうね……!←
さすけ子さん、こちらの相談ルームを見つけてくださり、まずはありがとうございます!

そっかぁ。好きになった人と付き合えたことがない、か。
あたしも、自分が想いを寄せた人としっかり結ばれた経験って、胸を張って言えるやつは無いかもしれないなぁって、こうした話題が出るたびに考えたりするんだよね。

他の人がさ、「今の相手とは最初から両想いだったみたいで……♡」なんて言っているのを小耳にはさんだりすると、向こうは1ミリも悪くないのに、なんか釈然としなかったりしてさ。
「きぃいあたしだっていつか!」と、不遜な自尊心がむっくり頭をもたげてきたりすることがあるの。
さすけ子さんも、もしかしたらそうだったりするのかしら。

ただあなた、そっからはなんだか、ちょっとおいそれとは共感できないぐらい色んなものがこんがらがっているわね。
今好きな人からは友達関係だと言われてしまったんだけれど、どうしてもセックスがしたい。でもセックスしたら気持ち冷めちゃいそうって……うーん。

人生における恋愛やセックスの立ち位置は十人十色だけれど......

もしさすけ子さんに直接会えるなら、「好き」をどうとらえているか、「セックス」を自分の中でどんなものに位置付けているか、恋愛による「自己肯定」にどれぐらいおのれのあり方を依拠させてきたのか等々、いろいろお聞きして、語り合いたいぐらいだわ。
もっと突っ込んじゃうとそこの解きほぐしこそ、まずご本人自身が、おひとりの思索の行程というか悩みと向き合う過程の中でも、取り組んだ方がよさそうな気がするのよね。

「セックスするとオキシトシンが出て肯定感が高まる」だとか「性行為の回数は愛のパラメーター」だとか、雑とはいかなくても大上段な視点からの語りは、この手の話題については世にあふれているように思うけれど。
時にそうした言説に縛られすぎたのか、「抱かれる=愛=自分の存在意義」みたいな脳内変換になってしまっている人もいたりするじゃない(くっついて快楽を分かち合うだけじゃなく、隣でともに歩んでいくことも愛の別側面としてあったりするはずなのにね)?

しかもそこに、個人のくせみたいなものも絡んでくるとさぁ大変。
例えば、恋愛で何を楽しむかって人それぞれだと思うんだけれど、時に相手をゲットするまでの過程が一番燃えるっていう「狩猟民族」タイプとでも呼ぶべき方っているでしょ?
そのタイプが、今書いたような「自分の存在意義」解釈を抱いていると、まぁ本当にすごいことになるっていうか。
様々な相手とぶつかり稽古してはなぎはらい、うっちゃり、肩透かししてそのまま終了させちゃうっていう、「一回ヤッたしもうごちそうさま。寂しいから次のLOVE探そ~」って感じの、強めの恋の狩人に急成長しちゃったりするのよね。おそろしや……。

Sitakke
ハート(イメージ)

さすけ子さんがそうなのかどうかはあたしには定かではないし、そう決めつけるつもりもないんだけれど。
あなた自分ではその点、どう思う?この人間社会という「愛の狩猟区」を縦横無尽に駆け巡る、強欲で貪欲なハンターだなぁって自覚、もしかしてこころのどこかにあったりするんじゃないかしら?(元カレとヤッて冷めたくだりは、なんとなくその名残を感じるわ)

人生における恋愛やセックスの立ち位置は、実に十人十色だとは思うんだけれど。
もしかして、その立ち位置の調整が思うように行っていないのかなぁ……?」と、さすけ子さんのことをどうしてもあたしは勝手に案じてしまうのでした。

あたしなりのAnswer

さて、さすけ子さん。
ここからはあたしなりに、あなたへのアドバイスを書かせてもらおうと思うんだけれど、時には「はぁ?」となるところもあるかもしれないし、何より即効性のある内容ではないかもなぁって自覚があるの。
でも、よかったらこの後も読んでみてくれると嬉しいわ。

あのね。
ここまで書いてきたように、もしかしたらこれまであなたは、恋というハンティングにいそしみ、その実りとしてのセックスを味わってきたのかもしれないし、それが時にあなた自身の自尊心の支えとなっていたのかもしれない。
それはそれで、ひとつの生き方。

だから今回相談してくれた彼のことについても、「抱かれたい!」という気持ちに素直になって行動し、床を共にする関係(それがすぐにセフレとなるのかはあなた次第だと思うんだけれど)へとたどり着いたのなら、あたしはそれでもいい気がするの。
ヤッた結果相手に興味が無くなったのなら、そいつとはそこまでだったのね~ぐらいで捉えて次行けば?と思うし。割と本気(マジ)で。

ただ、です。

「後々後悔する」かどうかっていう話でいくと、さすけ子さんが案ずるべきは、現在の好きな相手との関係がどうなるかって話題のみに関してでは、あたしない気がするのよね。
むしろ考えるべきは、恋に関して狩猟民族というスタンスのみで生きていくことによって、人生全体というか、長期的な歩みで見て後悔するかしないかってことなんじゃないかと思うの。どうかしら。

確かに、狩りをしなければ手に入らないものってあります。セックスはそのいい例。
「欲しい」と願い、それを声にし、そのために動き求めなくては手にできない実り。口にしたときの美味しさは格別でしょう。

でもね、栄養豊かな味わい深い実りって、大地にしっかりと根を張り、幹を太らせ、枝を大きく茂らせるまでに成長した樹木の存在が、本来あってのこと。そして何より、そうした木を育てるという過程があってこそなのよ。

何が言いたいかというとね。セックスという果実を豊かなものとしてきちんと手にするためには、誰かとの関係を耕し、そこに水をやり、伸びていくようはぐくむような取り組みがときに大切になってくると、あたしは個人的に考えているんです。

さながら 「農耕民族」が培ってきた技術みたいな話よね。

Sitakke
実り(イメージ)

そう、さすけ子さん。
あたし思うんだけど、あなたそういう「誰かとの仲を育てる」「誰かと一緒に育つ」ってところに一度注力してみた方がいい。ハンティングだけの日々では見られない風景と出会うことが、今あなたには必要なんじゃないかしら。
そうじゃないと、なんとなくなんだけど、あたしさすけ子さんはいつか何かで悔やむ事になる気がする。現在好きな相手との間でも苦しみを抱えるかもしれないし、もっと先の人生でも壁にぶち当たるかもしれない。

でも、あたしは正直そうなってほしくはないの。
狩猟のせいで致命傷を抱えるなんて、絶対しんどいじゃない。
それぐらいなら、時間と手間はかかるけど着実に緑を豊かにし実りを育てていくような、そんな人との関わり方があるんだってことを、ぜひさすけ子さんには身をもって知ってもらいたいのよね。

Sitakke
桜咲く(イメージ)

だからさすけ子さん。あなた、できたら農耕民族としての道を、今から少しずつ歩み始めてみてはどうかしら。
今回は「欲しい!」という気持ちにストッパー利かなそうだったら、まぁ無理しなくていいけれど……例えば、今好きなお相手が言う「友達」という関係を貴重な種子と見て、そこに水やりをし、少しずつ可能なら「恋人」という実りに近づけるよう、ふたりの仲を深める努力をしてみるとか。
それだけでも、大きな一歩になる気がするのよね。

いずれうまくいけば、狩猟と農耕というふたつのやり方を知っている、素敵な「愛の人」になれるはず。
さすけ子さん、どうかあなたなりに色々「育てる」ということもぜひやってみて。そこにきっと、真に「後悔」しない恋愛が待っているだろうから。

本能に従って「狩る」ことの醍醐味も大事にしつつ。
さすけ子さんが素敵な人とともに、枝を伸ばし、根を張り、おのれ自身美しく咲いたうえでおいしい実りを得てくれればいいなぁと、さくらと梅が先ごろようやく花開いた北の大地から、あたしは思っているのでした。

ま・と・め♡

というわけで、今回はセックスや恋愛といった話題について、「狩猟」「農耕」なんて比喩的な表現も用いながら、少しお話させていただきました。

人によって、どっちのやり方が得意とか苦手とか、身に馴染みがあるとかって変わってくるよね。実はかくいうあたしはハンティング、大不得意人間。

いつもときめく相手が現れても、タイミング逃すはもちろんのこと、おのれの技量や積極性なんかも全然足りなくて、いつの間にやら向こうはどこかへ行ってしまってたりするのよね。とほほ……。

さすけ子さんと逆で、あたしは狩猟民族としてのトレーニングを自分に課した方がいいかもしれないわね。
そんなことを、今回パソコンに向かいながらずっと考えておりました。

素敵な出会いは、どなた様も逃しませぬように!
春もきたわけだし、みんな楽しんじゃいましょうね。

ではではみなさん、Sitakkeね~!

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文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:Sitakke編集部 ナベ子
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。LGBTパレードを主催する「 さっぽろレインボープライド」の実行委員を兼任。 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。お悩みは随時募集しています。

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