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【休む=悪】じゃない!疲労の正体と“疲労負債”を解決する【活力貯金】

  • 2024.4.29
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教えてくれたのは……

一般社団法人日本リカバリー協会代表理事・医学博士

片野秀樹先生

休むことの大切さを訴えている一般社団法人日本リカバリー協会代表理事。 博慈会老人病研究所客員研究員、医学博士。近著『休養学: あなたを疲れから救う』(東洋経済新報社)が大好評。

休む=悪じゃない! 休むことに罪悪感を持たなくてよい理由

片野秀樹先生

日本ではゆっくり休むことをなまけていると捉える考えがしみついています。体が鉛のように重くても、疲労感が辛くてボーッとしていても、なんとか出社した、というような経験がある方も多いのではないでしょうか。けれど、疲労を抱えていては、身体活動能力が低下するため、普段通りのパフォーマンス(能力)を発揮することができません。私は、休むことが罪なのではなく、むしろ、そういったパフォーマンスを発揮できないコンディションでその場にいることのほうが罪悪なのではないかと感じます。
労働生産性を高めるためには、疲労をなくすような休息が必要なのです。
みなさんの体から休息が必要なシグナルは出ていませんか?


体が休息を必要としている3大シグナル

シグナル1:発熱

発熱は、体のどこかで炎症が起きている証拠。それ以上、仕事や作業を続けると、より重篤な症状に至るというシグナル。

シグナル2:痛み

痛みは、どこかの神経が刺激されている状態を表す症状。それ以上、辛い部分を動かして負担をかけると悪化する。

シグナル3:疲労

疲労とは、過度の肉体的、精神的、または疾病によって生じた独特の不快感であり、休養したくなるほど身体活動が減退している状態。

やる気がでない、仕事のパフォーマンスが上がらない、体が重い……。“疲労負債”を抱えている現代人は8割以上!

片野秀樹先生

体が休息を必要としている3大シグナルの中で発熱や痛みが出ると、仕事を休む、動かないようにするなど、休息を得る判断をする人が多いと思います。ですが、疲労は軽視されがち。日本は、疲労を重ねてもがんばり続けることが美徳だという考えが今も続いています。2019年にリカバリー協会が実施した10万人規模の就労者を対象とした調査では、約8割もの人が疲労を自覚していることが明らかになっています。多くの人が“疲労負債”を抱えた状態で働いているということがわかります。


日々の休養では満たされず、日々“充電不足”。“疲労負債”に追われる自転車操業的サイクルとは?

日々の休養では満たされず、日々“充電不足”。“疲労負債”に追われる自転車操業的サイクルとは?
片野秀樹先生

私たちの生活は、活動(仕事や勉強、運動)→疲労→休養サイクルになっています。本来、このサイクルがうまく廻っていれば、仕事で疲れてパフォーマンスが一時的に落ちたとしても、休養時に“充電”が満タンになっていれば、いい状態のリスタートをきることができます。けれど、現状として“充電”が満たされないまま、次の活動を行い、さらに“充電”を消耗する「疲労負債」の負のスパイラル状態に陥っています。そうなれば、当然、労働生産性などのパフォーマンスが低下するため、「仕事でミスが続いている」「思ったより成績が伸びない」というような状態の原因になります。こういった活力が足りておらず、パフォーマンスが低い状態でも働くことに意義がある、そんな考えを捨て、休養を取り、万全の状態で挑むことが正解という世の中になるよう私たちは活動しています。そうはいっても、すぐに理想とする社会にはなりません。そのため、“疲労負債”解決のカギとして、活動→疲労→休養というサイクルの見直しを提唱しています。


“活力貯金”の第一歩は「疲労」と「疲労感」の違いを知ることから

片野秀樹先生

“疲労負債”を減らすために、実際になにをやるべきかというお話の前に、まずは、「疲労」と「疲労感」の違いを理解してください。たとえば、100メートル走で勝った人は100万円の賞金が出て、負けた人は100万円支払うというルールがあったとします。このとき、100メートル走ることによる疲労は同じですが、精神的に影響を与える疲労感には大きな差があります。

子どもや動物は、疲労を感じると動けなくなり、“充電”します。しかし、大人は、使命感やプレッシャーで疲労にマスキングすることができるため、現在ある“充電”以上に動くことができるのです。ですが、疲労感はどんどん蓄積していきます。そうなると起こる危険な問題が疲労と疲労感の乖離です。そんな疲労をマスキングしがちな大人は、活動→疲労→休養だけでは“充電”が足りません。その不足分を補うために提唱しているのが、活力(活動能力)→活動→疲労→休養という「リジェネレーションサイクル」です。これは、いわば、活力の貯金を使って活動するという考えです。


イラスト/二階堂ちはる 取材・文/金子優子 構成/剱持百香

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