1. トップ
  2. レシピ
  3. 保育園の栄養士が教える!「保育園だと食べるのに家だと食べない」の謎

保育園の栄養士が教える!「保育園だと食べるのに家だと食べない」の謎

  • 2024.4.27

こんにちは。現役の保育園の栄養士のkanaです。保育園の連絡帳の食事欄に毎日並ぶ【完食】の文字。保護者の方からよく「家では全然食べないのになぜ保育園だと食べるの?」と質問されます。今回は、その謎にお答えします。

保育園の栄養士が教える!「保育園だと食べるのに家だと食べない」の謎

新年度が始まりました。1歳~2歳の新入園の子たちは大泣き、ギャン泣き、大パニックです。毎年この時期は給食室まで泣き声が聞こえてきます。いきなり知らない場所に連れてこられ、お父さん、お母さんと離れ、周りにいるのは知らない大人やお友達。私たち大人に置き換えると、突然外国か宇宙かなんかに連れていかれ、独りぼっちにされる感覚でしょうか。 私はこの時期は手が空くと給食室を飛び出し保育室に入ります。泣いている子を抱っこしたり、一緒に遊んだり、給食を食べる様子を見たりその中で気付く日々の小さな出来事を大切にしています。でも、新年度にあんなに号泣していた子たちも、いつの間にか落ち着いた園生活が送れるようになりますので、安心してくださいね。

園生活にも慣れた頃、新たな悩みが……

さて、生活が落ち着くと次に出てくる悩みに多いのが【食】。園の連絡帳の食事欄に毎日並ぶ「完食」の文字を見て、家ではあまり食べないのに……と不思議に思う保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。私は保育園栄養士歴14年目になりますが、今も昔もお悩みの断トツナンバーワンが「保育園だと食べるのに家だと全然食べてくれない」です。今回はこの謎に迫りたいと思います。

 (1550416)

保育園だと食べる理由 ①環境の違い

保育園だとクラスのお友達たちと毎日同じ時間に食べることになります。みんなと同じメニュー、同じ量、同じ食器。子どもたちは【同じ】ことに安心感を覚えます。また園では活動時間がしっかりとあり、自然にお腹が減るリズムがつくられます。お友達が食べる姿を見ることができるのも、食事が進む大きなポイントです。ご家庭ではその子専用の食器をいくつか用意して今日はどの器で食べるか一緒に決めたり、大人も一緒に美味しそうに食べてもらえると食欲がアップするかもしれません。「食べてくれると嬉しい!ありがとう。」「一緒に食べると美味しいね。」など子どもが心地よくなる声掛けもおすすめです。

保育園だと食べる理由 ②味付けと量の違い

保育園の給食は出汁がしっかり効いていて、うす味でも美味しく食べられます。大量の食材を使用するので、素材から旨味が出やすいです。ご家庭での完全な味の再現は難しいと思いますが、市や自治体で給食室のレシピを公開しているサイトなどを参考にしてみてください。保育園に直接聞いていただいてもOKです。また園生活に慣れてくると、自分の食べられる量を把握する機会が増えます。幼児クラスになってくると、給食を食べる前に子ども自身が「減らす」「増やす」を保育士に伝え量を調整し、完食を目指します。完食する喜びを経験し、日々繰り返すことで苦手な食材もだんだんと食べられるようになっていきます。

 (1550417)
 (1550418)

保育園だと食べる理由 ③【甘えさせてね】

直接の解決策にはなりませんが、親御さんたちにぜひお伝えしたいことがあります。 子どもたちは保育園という小さな社会でとても頑張っています。それはもう大人が想像できないくらい。だから、家だとごはんを食べないのは「周りのお友達が完食していたら、自分も食べられるようになりたい」「先生が褒めてくれて嬉しかった。苦手なものも一口だけ挑戦してみようかな」「精一杯、めいいっぱいたくさん頑張った。だからお家では好き勝手にしたいの。お父さん、お母さん甘えさせてね」という子どもたちからのメッセージかもしれません。園では1日の必要な栄養量が約半分摂取できるよう献立がたてられています。私たち栄養士は子どもたちが食べやすく、栄養がとれるメニューを毎月パソコンと睨めっこをしながら考えています。お家で食べてくれない時は給食に任せた!と割り切るのも一つです。大人も子どもも一生懸命。日中はがむしゃらに働いて、家に帰ってご飯を作って片付けして洗濯して、ほっと一息ついた時、たとえ子どもが夕飯を残しても「私、頑張ったな。子どもたちも頑張ったな」と肩の力を抜いて受け止めていただけると嬉しいです。

【Profile】kana(@takukana03)

 (1535345)

シングルマザー10年目でシングルファザー と再婚。 私と中3息子、夫と中2娘のステップファミリー。保育園栄養士13年目。 発達障がいや繊細さんと偏食の関係を学ぶため発達サポーターの資格を取得。 栄養士、管理栄養士向けオンラインサロンでパートナー講師として授業を担当。たくさんの学びを生かした情報を発信中。

Instagram:kana(@takukana03)

元記事で読む
の記事をもっとみる