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【純金茶わん窃盗事件】もし“盗品”と知りながら、買い取った業者は罪になるの?弁護士に聞いた

  • 2024.4.26
「盗品」だと知りながら、買い取りするとどうなる?
「盗品」だと知りながら、買い取りするとどうなる?

日本橋高島屋(東京都中央区)で開催中の展示販売会「大黄金展」で、会場から純金製の茶わん(販売価格1040万6000円)が盗まれた事件が起きました。窃盗容疑で逮捕された堀江大容疑者が、江東区の買い取り店で売却した後、同店が台東区の店に転売していたと報じられています。そこで、もし仮に、盗品だと知りながら、店が買い取りした場合、どのような法的責任を問われるのかなど、芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

知らなかった場合、罪にならない

仮に、盗品だと知りながら、買い取った店・業者はどんな法的責任が生じるのかについて、牧野さんは「盗品と知りながら“業者”が買い取った場合には、刑法第256条の『盗品等有償譲受け罪』に問われる可能性があります。同刑は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金」になるということです。

盗品等有償譲受け罪の成立には「故意が求められ、盗品などと知らなかった場合は盗品等有償譲受け罪が成立しません。ただし、盗品かもしれないと認識をもちながら譲り受けた場合には、未必の故意が成立して処罰の対象」になります。

盗品と知りながら、または盗品かもしれないと認識をもちながら業者が買い取った場合では、「買い取った盗品の所有権も取得することができません。所有者から返還を求められた場合には無償で返還しなければなりません」と説明してくれました。

また、盗品と知らずに取得した場合には「民法192条の動産の即時取得(善意取得)が適用されて、買い取った盗品の所有権を『原則として』取得します(不動産や登録済自動車には適用されません)。この『善意』とは道徳的に善を意味するものではなく、動産を取得した者が前主の無権利について知らないことをいいます」と話し、盗品であったときは「被害者は、盗難の時から2年以内に、盗品であることを知らず盗品を取得した者に対して、取得者が支払った代価を弁償してその物の回復を請求することができます(民法193条、194条、盗品または遺失物の回復)」。

“古物商”が盗品と知らずに買い受けた場合についても説明してくれました。牧野さんによると「被害者は、古物商に対して、盗難の時から1年以内に無償で返還を求めること」ができるということです。

今回の事件で、最初に買い取った江東区の買い取り店、それを買い受けた台東区の店がいずれも“古物商”だった場合、「盗品と知らなくても、盗難から1年以内であるため、被害者は、古物営業法20条(盗品及び遺失物の回復)に基づき、無償で返還を求めること」ができることになるということです。

※参考条文(原文のまま)民法193条(盗品又は遺失物の回復)前条(注:192条の即時取得)の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から2年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。

民法194条占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない。

古物営業法20条(盗品及び遺失物の回復)古物商が買い受け、又は交換した古物のうちに盗品又は遺失物があつた場合においては、その古物商が当該盗品又は遺失物を公の市場において又は同種の物を取り扱う営業者から善意で譲り受けた場合においても、被害者又は遺失主は、古物商に対し、これを無償で回復することを求めることができる。ただし、盗難又は遺失の時から1年を経過した後においては、この限りでない。

オトナンサー編集部

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