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”あの頃”の恋心を思い出す『青春18×2 君へと続く道』『花束みたいな恋をした』『君の膵臓をたべたい』…大人も余韻に浸れる恋愛映画9選

  • 2024.4.25
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「恋愛映画」というと、若い世代に向けたキラキラとまぶしい恋物語を思い浮かべるかもしれないが、昨今、酸いも甘いも噛み分けた大人にこそより味わってほしいラブストーリーが増えている。5月3日(金・祝)より公開する、日本と台湾の実力派俳優が共演する『青春18×2 君へと続く道』もその一つ。ひと足先に公開された台湾の舞台挨拶で、主演のシュー・グァンハンが「一見、青春ラブストーリーに見えますけど、実は“大人”の魂が宿っている作品です。大人の皆さんにこの作品で青春を思い出してもらえたら」とアピールしたように、若者だけではなく、大人もその余韻に浸れる作品だ。今回は、いま観ておきたい「大人もじっくり味わえる恋愛映画の名作」9選を紹介したい。

【写真を見る】台湾の美しい風景も満喫…日本×台湾、18年前×現在を舞台に紡がれるラブストーリー(『青春18×2 君へと続く道』)

時と場所を超えて紡がれるラブストーリー『青春18×2 君へと続く道』

【写真を見る】台湾の美しい風景も満喫…日本×台湾、18年前×現在を舞台に紡がれるラブストーリー(『青春18×2 君へと続く道』) [c]2024「青春18×2」Film Partners
【写真を見る】台湾の美しい風景も満喫…日本×台湾、18年前×現在を舞台に紡がれるラブストーリー(『青春18×2 君へと続く道』) [c]2024「青春18×2」Film Partners

『青春18×2 君へと続く道』は、社会派作品のほか、『余命10年』(22)をヒットさせて恋愛物語でも腕前を見せた藤井道人監督による初の国際プロジェクトだ。台湾で話題を呼んだ紀行エッセイを映画化した日台合作ラブストーリー。『ひとつの太陽』(19)や台湾で大ヒットを記録した『僕と幽霊が家族になった件』(23)の国際派スターのグァンハンと、藤井組の常連で、『宇宙でいちばんあかるい屋根』(20)、NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」の実力派女優、清原果耶がW主演を務める。

36歳のゲームクリエイターのジミー(グァンハン)が、18年前に出会い、理由もわからぬまま別れることになった日本からやってきたバックパッカーのアミ(清原)との忘れられない初恋を回想しながら、日本に渡り、彼女の故郷である福島を目指して旅するロードムービー。18年前の台湾パートでは、初々しい2人の幸せな様子がうかがえる。4歳年上のアミにジミーは自分が夢中になっている日本の人気漫画「スラムダンク」をきっかけに、お互いに日本語と中国語を教え合う。打ち解け合った2人は、バイクの二人乗りや映画館デートなどを重ねていく。大人になった現代の日本パートでは、ジミーは日本各地を訪れながら福島へ向かう。「スラムダンク」の聖地である湘南の海、信州の趣きある商店街、新潟の美しい雪国。ジミーはアミとの思い出に重ねて日本の風景や人々との出会いを味わう。日台合作の本作は、まるで日本と台湾を旅している気分になれるだろう。

何気ない日常を美しく切り取る『余命10年』

難病を患う女性とその恋人のかけがえのない日々を映しだす『余命10年』 『余命10年』DVD3,980円(税込) 発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント [c]2022映画「余命10年」製作委員会
難病を患う女性とその恋人のかけがえのない日々を映しだす『余命10年』 『余命10年』DVD3,980円(税込) 発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント [c]2022映画「余命10年」製作委員会

小松菜奈と坂口健太郎の共演で大ヒットとなった『余命10年』(22)。不治の病で余命宣告された主人公、茉莉(小松)と、人生に行き詰り自ら命を絶とうとしていた青年、和人(坂口)が出会い、恋が始まる。「生きること」に対して臆病だった2人。特に茉莉は自分が病の身であることから、恋愛のパートナーを持つことを諦めていた。しかし、和人と交流していくうちに少しずつ前向きな心を取り戻していく。シリアスな題材を扱っているが、ありふれた日常の風景がかけがえのない瞬間なのだと改めて気づかせてくれる作品だ。

等身大カップルの5年間を映し出す『花束みたいな恋をした』

共通の価値観や趣味を持つ麦と絹の最高の5年間を捉えた『花束みたいな恋をした』 『花束みたいな恋をした』 DVD通常版 4,180円(税込) 発売元:TBSスパークル販売元:TCエンタテインメント [c]2021「花束みたいな恋をした」製作委員会
共通の価値観や趣味を持つ麦と絹の最高の5年間を捉えた『花束みたいな恋をした』 『花束みたいな恋をした』 DVD通常版 4,180円(税込) 発売元:TBSスパークル販売元:TCエンタテインメント [c]2021「花束みたいな恋をした」製作委員会

観客に共感の嵐を巻き起こした『花束みたいな恋をした』(21)は、ある平凡な20代のカップルの5年間の関係性の変化を描く。脚本は数々のヒットドラマを手がけてきた坂元裕二が担当。2015年から2020年の間に起こった、「渋谷パルコの閉店」や「“スマスマ”の最終回」などの実際の出来事や、当時流行したゲームや漫画などのサブカルネタを盛り込み、“あの時”を色濃く感じさせるラブストーリーを展開。菅田将暉と有村架純が演じる等身大の主人公2人が、就活や同棲などの人生の局面で喜びつまずく姿に、心を重ねずにはいられない。

秘密を抱えた少女と「僕」の物語『君の膵臓をたべたい』

ショッキングなタイトルとは裏腹に、高校生の淡くせつない恋物語を丁寧に映し出した感動作『君の膵臓をたべたい』(12)。現在は若手きってのトップ俳優となった、浜辺美波と北村匠海の出世作だ。重い膵臓の病を患いながらも周りにはそのことを隠して気丈に振舞う桜良(浜辺)と、ふとした偶然から彼女の病を知ってしまうクラスメイトの「僕」(北村)。おとなしい性格の「僕」は、桜良の明るさや強さに触れ、恋心と憧れがない交ぜになった、初めての感情を知る。12年後、教師となった「僕」が、思い出の図書室で桜良が隠したあるモノを探す場面は、落涙必至の本作のハイライトとなっている。

すれ違い続ける幼なじみとの恋『あと1センチの恋』

運命のいたずらに翻弄される幼なじみの男女の12年間を描く『あと1センチの恋』 [c]Everett Collection/AFLO
運命のいたずらに翻弄される幼なじみの男女の12年間を描く『あと1センチの恋』 [c]Everett Collection/AFLO

ここからは見逃せない海外の作品を紹介していく。Netflixドラマ「エミリー、パリへ行く」シリーズのリリー・コリンズによる主演作『あと1センチの恋』(14)は、両想いのはずの幼なじみが、大人になってもすれ違いを繰り返していくラブストーリー。互いに素直になれず、高校卒業のプロムで別々の相手を選んだことから運命が大きく脱線。進学、就職、結婚、妊娠とライフステージの節目のたびにチャンスがありながらも、2人はことごとく交わらない選択をしてしまう。果たして2人が結ばれる日はくるのか?なかなか成就しない恋にヤキモキさせられるが、傷つきながらも諦めずに生きるヒロインに寄り添いたくなるはず。

夢を追う男女のせつない恋愛を歌とダンスが彩る『ラ・ラ・ランド』

夢見る人が集まる街、ロサンゼルスで出会った男女のラブストーリー『ラ・ラ・ランド』 [c]Everett Collection/AFLO
夢見る人が集まる街、ロサンゼルスで出会った男女のラブストーリー『ラ・ラ・ランド』 [c]Everett Collection/AFLO

アカデミー賞で主演女優賞を含む6部門を受賞した『ラ・ラ・ランド』(16)は、ロマンティック・ミュージカルの大ヒット作。エマ・ストーン扮する女優の卵ミアと、ライアン・ゴズリング演じる駆け出しのピアニストのセブが、ショービズの最高峰である街、ロサンゼルスで運命的な出会いを果たす。煌びやかなパーティ、腕試しのオーディション、生活費を稼ぐためのアルバイトと、明日のスターを夢見て、軽快に暮らしを楽しむ2人。しかし非情な現実を前に選択を迫られる。星空を舞うダンスなど、2人のミュージカルシーンに目を奪われる。

いくつもの「もしも」に思いを馳せる…『パスト ライブス/再会』

24年ぶりに巡り合った“初恋の相手“との再会の7日間を映す『パスト ライブス/再会』 [c] Twenty Years Rights LLC. All Rights Reserved
24年ぶりに巡り合った“初恋の相手“との再会の7日間を映す『パスト ライブス/再会』 [c] Twenty Years Rights LLC. All Rights Reserved

そして、現在公開中の『パスト ライブス/再会』は、良質な作品を生み出し続けるA24制作による話題作。韓国で生まれ育ったノラ(グレタ・リー)とヘソン(ユ・テオ)は、ノラの海外移住のため12歳で離れ離れに。24年後、ソウルで暮らすヘソンは、ノラが作家アーサー(ジョン・マガロ)と結婚したと知りながらも、初恋相手と再会するため渡米して彼女が暮らすニューヨークを訪ねる。再会した2人は、「もしもあの時…」と想像を巡らせながら、幼少期の淡い恋心を呼び起こしていく。本作で監督デビューを飾ったセリーヌ・ソンが、幸せでありながらほろ苦い味わいの新しい恋愛映画の形を描き出した。

15年の時を超え動き始める“初恋“『建築学概論』

韓国で“初恋ブーム“を巻き起こした『建築学概論』 [c]Everett Collection/AFLO
韓国で“初恋ブーム“を巻き起こした『建築学概論』 [c]Everett Collection/AFLO

アジアの作品も粒ぞろいだ。公開当時、本国で興行収入の記録を塗り替えるほどのヒットとなった韓国のラブストーリー『建築学概論』(12)。建築士のスンミン(オム・テウン)のもとに、15年ぶりに大学の初恋相手ソヨン(ハン・ガイン)が現れる。ソヨンは、スンミンに家の設計を依頼することで、過去に交わした儚い約束を果たそうとしていた。いつしか様々な事情を抱える大人となった2人が、純粋だったころの初心な恋愛を見つめる様がせつない。大学時代の場面では、ポケベルやCDプレーヤーなどの1990年代らしいアイテムが登場し、ノスタルジックな気分に浸れる。

マドンナに恋した男子高校生の青春を描く『あの頃、君を追いかけた』

山田裕貴と齋藤飛鳥の共演で日本でもリメイクされた『あの頃、君を追いかけた』(11)は、台湾の青春映画の代表格。気鋭の監督ギデンズ・コーによる自伝的物語である本作は、仲間といたずらばかりしている幼稚な男子高校生コートン(クー・チェンドン)が、自分のお目付け役となった優等生の美少女チアイー(ミシェル・チェン)に惹かれる甘酸っぱい恋愛を描く。いつもうまく自分の気持ちを伝えることできずモヤモヤするコートンと、なかなか心の声を言わず彼とすれ違っていくチアイー。クライマックスのある結婚式の場面では、大人になっても不器用なままのコートンが、自分なりに初恋にケリをつける様が、滑稽だがどうしようもなく愛おしい。

誰しも、振り返りたくなるような「恋心」を抱いたことがきっとあるはず。奥深いこれらの作品をぜひ堪能してみてほしい。

文/水越小夜子

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