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【うるおい女子の映画鑑賞/人とつながる】『ラースと、その彼女』(米・2007年)

  • 2016.2.20
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身体と同様に、こころもエクササイズが必要。週に1本映画を観ることで、こころの筋肉をしっかりと動かし、”きれい”を活性化しませんか? そんな”きれいになれる”映画を毎週紹介する【うるおい女子の映画鑑賞】。第19回のテーマは、「人とつながる」です。

『ラースと、その彼女』 DVD発売中 ¥1,419(税抜) 発売元:株式会社ショウゲート 販売元:20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン株式会社 (c)2014 KIMMEL DISTRIBUTION, LLC. All Rights Reserved.※2016年2月20日現在

|ぼくの彼女はリアルドール?!

雪が積もる小さな田舎町。ラースはとてもシャイで内気で、女の子とは目もあわせられない青年です。そんな彼が「彼女を紹介する!」と兄夫婦の家に連れてきたのは、ラバー製のリアルドール(簡単にいえばラブドールです)。呆然とする兄夫婦をよそに、ラースはどうやらこのリアルドールを本気で生身の人間として扱っていることがわかってきます。朴訥とした心優しいラースに一体なにが?! 街中のひとが困惑し、中には心無いことをいう住民も出てきます。

【左がラースの人生初彼女、ビアンカ(左)!】

【唖然とする兄夫婦をよそにラブラブなふたり】

|見えないものを「見える」という、愛と勇気

心配した義姉が医師に相談すると、医師は「ラースの妄想を受け入れて、ビアンカの存在を認めてあげることが大切」とアドバイス。実はラースは、彼が産まれたときに母親と死別しています。今回の彼の突飛な行動は義姉が妊娠したことにより、彼女も出産で命を落としてしまうのではないかという不安によって引き起こされたようなのです。

そんな事情や、もともと心根の優しいラースだったので、町の人々も「ラースのために!」と彼の妄想劇に付き合うことになります。皆で人間ではないものを人間として扱い、町の人間として温かく迎え入れたのです。目には見えないものを「見える」と決めた町の人々の愛と勇気が心を打ちます。

【町の住民を壮大に巻き込み、ビアンカは”人間”として扱われる】

|ラースと人々をつなぐビアンカ

心を打つとは言ったものの、わりとフリーキーでシュールなこの町の状況にある変化が訪れます。これまで内にこもっていたラースと町の人々をビアンカが繋いでいき、やがて町の住民たち同士の関係にもいい変化をもたらしていくのです。そして、ビアンカの存在はさらに意外な展開を引き起こします。以前からラースにひそかに好意をもっていたマーゴがビアンカに嫉妬をすることで、彼への気持ちを確信していくのです。

【リアルドールがいつしか、孤独だったラースを人々の輪のなかに】

|あなたにとってのビアンカは何?

マーゴの登場はラースとビアンカの関係にも大きく影響し、やがて、ラースは現実と向き合わなければならなくなります。はたして彼は、ビアンカに別れを告げて自分ひとりの足で世界へ踏み出す勇気を搾り出せるのでしょうかーー。

この映画ではリアルドールという極端なもので表現されていますが、誰にでもビアンカに値するものがあるのではないでしょうか。

趣味だったり、仕事だったり、スポーツだったり、何かをとっかかりとして、他者とつながっていくことはよくあることですよね。ラースがビアンカを作り出したのは、なんとかしてその”とっかかり”が欲しかったからではないでしょうか。結果リアルドールというパンチの効いたものがとっかかりになりましたが、そんな不器用な彼の勇気の結晶を、困惑しながらもまるごと受け入れた人々の暖かさには、こころがじわっと温まります。

今週末「おうちシネマ」でほっこりしませんか?

text:kanacasper(カナキャスパ)(映画・カルチャー・美容ライター/編集者)

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