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最大全長15m!約5千万年前のインド密林にいた「史上最大級のヘビ」の化石を発見!

  • 2024.4.22
※ 画像はイメージです
※ 画像はイメージです / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

太古のインドの密林に史上最大級のヘビが生きていたようです。

インド工科大学ルールキー校(IITR)の古生物学者はこのほど、約4700万年前に存在した巨大すぎる古代ヘビの化石をインドで発見したと発表しました。

現生種のヘビでは全長8メートル前後が世界最大と言われる中で、この古代ヘビは最低でも約11メートル、最高で約15メートルあったと推定されています。

まさに密林の王蛇です。

研究の詳細は2024年4月18日付で科学雑誌『Scientific Reports』に掲載されています。

目次

  • 最大全長15m!史上最大級のヘビの化石を発見
  • なぜここまでデカくなれたのか?

最大全長15m!史上最大級のヘビの化石を発見

今回の化石はインド西部グジャラート州の「ナレディ層(Naredi formation)」と呼ばれる場所で発見されました。

ナレディ層は始新世(約5600万〜3390万年前)の初期にあたる地層を保存しており、かつては汽水湖(淡水と海水が混ざった水域)かラグーン(砂州などで外海から隔てられた水深の浅い水域)であり、周囲は木々の生い茂る密林になっていたと考えられています。

研究チームが回収できたのは約4700万年前の古代ヘビの椎骨27個でした。

最も大きな椎骨では長さ62.7ミリ、幅111.4ミリに達し、そのうちのいくつかは関節がしっかり連結した状態にあることから、この個体が十分な大人に成熟していたことが示されました。

発見された古代ヘビの椎骨
発見された古代ヘビの椎骨 / Credit: Debajit Datta et Sunil Bajpai, Scientific Reports(2024)

チームは化石の大きさや形、特徴を評価し、既知のヘビ種と比較することで、この個体が「マッツォイア科(Madtsoiidae)」という絶滅グループに属する新種であることを特定しました。

マッツォイア科はまだ恐竜がいた白亜紀に誕生しましたが、約1億年ほど存在した後、ほとんどの種が始新世の間に絶滅しています。

そして驚くべきはこの個体の規格外のサイズでした。

チームが椎骨から全体像を復元した結果、最低でも全長10.9メートルあり、最大だと全長15.2メートルにまで達したと推定されたのです。

今日、現存する世界最長の種は「アミメニシキヘビ」と「オオアナコンダ」であり、ギネス記録として公式に認定されている世界最長の個体は、アメリカのアミメニシキヘビ「メデューサ」の約7.67メートルです。

(※ メデューサは2016年に亡くなっています)

ギネス記録に認定されている世界最長のヘビ「メデューサ」の写真
ギネス記録に認定されている世界最長のヘビ「メデューサ」の写真 / Credit: guinness world records – Longest snake in captivity ever

またギネス記録には認定されていませんが、過去にはメデューサより大きなヘビの目撃例も報告されていました。

しかし、それでも現生するヘビが到達できる最大全長は約8〜10メートルが限界とされています。

一方で過去の地球をふりかえってみると、約5800万〜6000万年前に存在したティタノボア(Titanoboa)」と呼ばれる巨大ヘビがいました。

ティタノボア(=巨大なボアの意)は現時点で史上最大のヘビとして記録されており、全長は約12〜15メートルに達したと推定されています。

つまり、新たに見つかった古代ヘビはティタノボアに匹敵する史上最大級のヘビとなるのです。

チームは古代ヘビの学名について、発見場所のインドと、ヒンドゥー教の神シヴァの首に巻き付いているヘビの名前にちなんで、「ヴァスキ・インディカス (Vasuki indicus) 」と命名しました。

ヒンドゥー教の神シヴァの首に巻き付いているヘビ「ヴァスキ」から命名
ヒンドゥー教の神シヴァの首に巻き付いているヘビ「ヴァスキ」から命名 / Credit: ja.wikipedia

では、ヴァスキ・インディカスはどうしてここまでデカくなることができたのでしょうか?

なぜここまでデカくなれたのか?

チームの調査によると、ヴァスキ・インディカスが生きていた当時のインド亜大陸の密林は平均温度が28℃とかなり暖かい気候になっていたことがわかりました。

ヘビのような変温動物は自らの体温が外部の温度に依存し、暖かいと活発に動けますが、寒いと固まって動けなくなります。

研究主任のデバジット・ダッタ(Debajit Datta)氏は「周囲の平均温度は体サイズにも影響し、温度が高いほど、体の大きなヘビをサポートすることができたでしょう」と説明しました。

それと同時に、当時は彼らに勝る天敵のほか、密猟や生息地の破壊を行う人間もいなかったため、何者にも邪魔されることなく巨大化できたとも指摘されています。

気温が高く、天敵がいなかったことで巨大化できた?(※ 画像はイメージです)
気温が高く、天敵がいなかったことで巨大化できた?(※ 画像はイメージです) / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

人類にとってはこんな怪物級のヘビが現代にいなくて幸運ですが、一方で、ヴァスキ・インディカスは俊敏に動けるような凶暴な生態はしていなかったようです。

椎骨の特徴を分析したところ、彼らが水中を移動したり、樹上に登ったりすることはほとんどなかったと見られ、現生するアナコンダのように基本的には待ち伏せして獲物を捕まえていた可能性が高いことが示されました。

ダッタ氏らはこのヘビについては「巨大すぎるせいで、動きもかなりノロノロしたものだったろう」と述べています。

またヴァスキ・インディカスが具体的に何を食べていて、どのように繁殖していたのかはわかっていません。

チームは今後、椎骨に含まれる炭素などの成分を分析することで、生前にどんな食生活をしていたのかを明らかにしたいと考えています。

参考文献

A Gigantic Snake Prowled India’s Jungles 47 Million Years Ago
https://www.sciencealert.com/a-gigantic-snake-prowled-indias-jungles-47-million-years-ago

50-foot ‘king of the serpents’ may have been the biggest snake to ever live
https://www.livescience.com/animals/snakes/50-foot-king-of-the-serpents-may-have-been-the-biggest-snake-to-ever-live

New Species May Be The Largest Snake To Have Ever Lived
https://www.iflscience.com/new-species-may-be-the-largest-snake-to-have-ever-lived-73871

元論文

Largest known madtsoiid snake from warm Eocene period of India suggests intercontinental Gondwana dispersal
https://doi.org/10.1038/s41598-024-58377-0

ライター

大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。

編集者

海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。

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