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何て読む?これが函館グルメ?謎多き名物「ザリージ」を追う!地元の人も知らないルーツと味

  • 2024.4.21

北海道・函館名物のザリージとは一体何なのか?

地元の人も知らない幻の北海道グルメを徹底調査!

果たして、どんな料理で、どんな味がするのでしょうか?

視聴者からの疑問や悩みを調査するHBC報道部のもんすけ調査隊にこんな疑問が寄せられました。

依頼人(とんちゃん・40代・札幌在住)
「友人から函館名物に『ザリージ』という食べものがあると聞きました。どんなものなのか調べてください」

Sitakke
塩ラーメンは有名だけど…?

函館の名物と言えば、イカ刺しや塩ラーメンなどが有名ですが、ザリージという食べ物は聞いたことがありません。

一体どんな食べ物なのでしょうか?

早速函館市民に聞いてみますが…「知らない」「聞いたことがない」という答えばかり。

そこで函館グルメが集まる屋台村・大門横丁で聞いてみると…。

「はい、知っています。おいしいですよ」とのこと!

「ポピュラーではないですけど、鶏と違って食感がしっかりしているので、たまに食べたくなる」

さっそく「ザリージ」を出しているという「函館いか家」に行ってみました!## 店では出しているけど…「謎」!?

Sitakke

ついに函館名物のザリージを発見!早速作ってもらうことに…。

ザリージは豚肉のからあげのようなもの。

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函館いか家の久末誠代表によると、「昔よく食べられていたという謎の食べ物。正確なものがわからない。もう半世紀以上前の食べ物なので」とのこと…。

出す店によって味もさまざまで、いか家の場合は、一般的なしょうゆと紹興酒を煮切ったものをタレとして使って高温で揚げています。

久末代表の小さいころの記憶をたどって作っていて、詳しいことは分からないといいます。

Sitakke
美味しそうなのはわかる!

そこで、10年ほど前に「函館ザリージ普及委員会」を運営していた、川崎啓太市議を紹介してもらいました。

川崎市議によると、ザリージの発祥は昭和20(1945)年ごろ。ただはっきりとした文献はやはり残っていないということです。

ただ、当時の函館は港町ということもあり、外国との貿易の中で華僑の人たちとの交流がさかんでした。そのため、中華料理店も多く存在しました。

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「そんなにぎやかだったころ、いわゆる若旦那衆が飲みに行くときに、ビールとザリージをつまんでから、夜出歩くという文化があったらしい」と川崎市議はいいます。

つまり、ザリージは中華料理が発祥だというのです。

そこで、1950年創業の老舗町中華「鳳蘭(ほうらん)」で話を聞きました。

老舗中華店では「ザリジ」で提供

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1950年創業の老舗町中華「鳳蘭(ほうらん)」は、地元では塩ラーメンの名店として有名な店なのですが…。

「うちはザリージではなく『ザリジ(炸里脊)』という名前。中国料理で、『炸』が揚げるという意味で、『里脊』というのがヒレ肉。ヒレ肉の天ぷらという料理」

三代目の今利哉さんが教えてくれた、こちらが鳳蘭の「ザリジ」。

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豚肉が柔らかいだけでなく衣まで柔らかいので、ふわふわ食感の天ぷらを食べているような料理ですが、実は、本来はもっと「硬い料理」なのだといいます。

三代目の今利哉さんによると「食べやすい豚もも肉を使って柔らかく。塩としょうゆ、卵黄、片栗粉で混ぜて、本場の中国では紹興酒を入れたりとか、なるべく低温で揚げることを意識すると、衣が独特なザリジの感じになる」んですって!

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こちらも美味しそう!

それが、なぜ函館の名物になっているのでしょうか?

戦後間もないときに、中華料理店が多かった函館。その中の大きな中華料理店の弟子たちが自分たちの店を次々に出し、各お店でザリージを広めていったのだといいます。

「鳳蘭」もその中の一店だったと三代目の今利哉さんが教えてくれました。

では、本当に中国にザリジという料理はあるのでしょうか?

札幌の華僑会館にある本格中国料理の店「養源郷」で話を聞きました。

「ザリージ」は形を変えて…

札幌の華僑会館にある本格中国料理の店「養源郷」で話を聞くとやはり「ザリジ」は「ある」とのこと!

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やっぱり中国にもザリージはありました!これが本場、中国のザリージです!

函館のものと比べると豚肉は細切りにしていて、ケチャップや塩コショウなどを付けて食べるといいます。

養源郷の劉志義店主によると「ザリージはみんな知っていると思う。たぶん昔からある料理。一般家庭で作る料理」とのこと。

中国では、豚ヒレ肉を塩と卵黄、片栗粉に混ぜ、まずは低温で一度揚げてから、さらに高温でもう一度揚げます。

2度揚げることでカリっと柔らかい食感が楽しめるんです。

でも、中国料理店でザリージを見た記憶がないような…。

すると、養源郷の劉志義店主は「今ザリージは料理が変わっている」といいます。

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「野菜と炒めたり、甘酢炒めにしたりなどいろいろな料理に変わっている。鍋包肉(ゴウバオロウ)とかいろいろ作れるから。中国語で言えば、“東北風味の豚肉の天ぷら”を養源郷では出している」

ゴウバオロウとは、薄切りのヒレ肉をザリージのように揚げ、香味野菜と甘酢あんかけと炒めたもの。

酢豚とは違い、鮮烈な香味野菜の風味と甘酢の優しい酸味が楽しめる料理です。

つまりザリージは、今は「新しい料理に生まれ変わっている」というのです。

調査結果です。
函館名物のザリージは、中国料理の炸里脊(ザリージ)がルーツでした。

実は、戦前戦後の函館で、ザリージが流行ったのには、こんな理由もあるようです。

総務省の小売り物価統計調査によると、1950年の鶏肉が100グラム39円なのに対して豚肉は36.5円。

戦前から戦後まで、実は鶏肉より豚肉の方が安かったんです。

そのため、鶏の唐揚げではなく、ザリージが食べられていたという要因もあるようです。

文:HBC報道部もんすけ調査隊
編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年4月5日)の情報に基づきます。

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