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“ロブショット” の論理的な打ち方とは…?ゴルフ研究者が徹底解説!

  • 2024.4.19

ゴルフはスポーツのなかでも、とくに意図した動きができないといわれる。その原因が「細胞や脳に関係する」とわかり、自身も素早く100切りを達成した研究結果をレポート。レベルアップを目指すゴルファーに新しい上達のヒントをもたらす!

今月は、ロブショットに関しての説明です。ロブショットはフェースを開いてロフトを増やし、高く上げて止まるショットだと認識している人が多いと思います。ところが調べてみると、そういう説明もあるが「フェースをインパクトとともに立てて、フェースの上部で包み込むように打ってフック回転をかける」という説明も多くある。というよりも、こういう打球を求めるのが、そもそもアプローチショットだというのです。

ロブショットは高く上げるだけが目的ではない

“ロブショット” の論理的な打ち方とは…?ゴルフ研究者が徹底解説!
これまでのインナーカウンターでは、左手ブロックによってヘッドを加速することを主眼にしていた。今回はこのブロックによる衝撃を主にフェースの起き上がりに使う。外側からボールを包み込むようにとらえながら、弾道から逆算したインパ クトでのフェースの状態をゴールとしてしっかり狙って打つことを心がけたい

高さのあるボールは、カットするようにリーディングエッジを差し込めば打てるのですが、ちょっと間違えればフェースがボールの下をくぐってしまう。フェースを起こしながらインパクトしてボールつかんですり抜けを防止するとともに、フック回転を与えることで距離感が出しやすい。落ちてからの転がりも計算しやすいということで、私が観たムービーでは石川遼プロも距離感がつかみやすいことから、アプローチでは8割はこの系統のボールを打っているそうです。

フェアウェイのようなボールが浮いているようないいライで打つのが前提ですが、打ち方としてはオープンスタンスにして、さらに フェースを開いて寝かし、時計の文字盤の1時から2時方向(かなり右斜め方向)にインサイド・アウトの軌道で払うように振り抜く。このとき右側から包み込むようにフェース(ロフト)を起こしながら打つことで、フェース上部が起き上がり、ボールをとらえてフック系の回転をかけるらしいのです。

しかし、これはボールがインパクトの際のフェース方向に飛び出すことを説き、インパクト前後でフェースがローテーションすることから距離をおいた本連載の考え方とは相容れないもののように思われました。

インナーカウンターをフェースローテーションに応用

ところが、考え方をちょっと変えてやるだけで、矛盾なく対応できることがわかりました。フェースローテーションをして打っているといっても、これまで説明してきたようにインパクトの際のフェースの方向にボールが打ち出されることは真理ですから、ローテーションの途中でなんとなく打っているのではなく、フェースの方向を事前に決めて、その状態を作って打っていることになります。つまり、インバースキネマティクスがここで適用できるのです。

これまで、インナーカウンターでは左手のブロックによる衝突の衝撃によってヘッドを一気に加速することを目的としてきましたが、今回は、イラストのようにブロックの反動とヘッドの慣性力を用いて、開いて寝かせていたクラブヘッドを一気に旋回させる一方、この旋回のいきついた先に出球方向を意識したフェースの状態をイメージし、そこをゴールとしてフェースローテーションを完了させます。こうすることで、飛球線方向よりも極端に右方向を向いたインサイド・アウトのスイングでフェースローテーションを行なっているにも関わらず、しっかり狙った方向へ打つことができることになります。これによって「フェースローテーション」をこれまで連載のなかで繰り返し説明してきた「インバースキネマティクス」「インナーカウンター」と矛盾なく共存させることができるのです。

実際に打ってみて早速「これはどこかで経験したことのあるものだ」と気づきました。なんとそれは、イラストのようなテニスでの逆クロス(コートの左サイドから相手の左サイドに斜めに打つショット)を打つと見せかけながら、コートの左サイドにストレートに決めるパッシングショット(パス)だったのです。パッシングショットのキーポイントは、インパクトでしっかりストレート方向を狙ったフェースが作れるかどうかなのですが、ロブショットもスイング方向とは全然違うところを狙って打っているという意味でセンス的に非常によく似ているのです。

テニス経験のある人であれば、そのあたりを意識するとすんなり理解できると思います。さらに、このフェースの回り込みによって生じるフック回転ですが、実際にやってみるとフェースがローテーションしてボールがフェース上を転がり上がって高いところでとらえられる感覚が、テニスの上方スライドによってトップスピンをかけているときと似た安定感があって、距離感がつかみやすいというのはとてもよくわかるような気がしました。

ただ、ロブといっても特段ボールの高さが出るわけではないので、これがロブショットだと断言はできませんが、落ちてから左にボールが転がっていくフック回転がかかっているので目的は達成していると思っています。

これまで説明してきた厚く拾いにいき、極力サイドスピンをかけないようなきれいなバックスピンをかけようとするアプローチと、あえてフック回転をかけてスピンで安定性とランさえもコントロールしようとするロブショット。どちらがいいということではなく、アプローチの引き出しを増やすという意味でマスターしておくことが、さまざまな状況に対応できる精神的な図太さを生むのだと思います。

いかがでしたか? ぜひサンドラー博士の解説を参考にしてみてください。

イラスト・文 = サンドラー博士

●ゴルフ好きの研究者 。ゴルフの専門家ではないが、ゴルフ理論は「教える側」という「外側からの視点で組み立てられているから難しい」ということに気づいてからは、「それをどう解決するか」の研究に没頭。出た答えを多くのアマチュアに伝えたく、毎月レポートする。

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