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絶好調でも軍隊へ 横浜FM戦決勝点の蔚山現代イ・ドンギョン、「ACL決勝進出」が置き土産となるか

  • 2024.4.18

横浜F・マリノスのゴールを破った蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)勝利の立役者は、“兵役”のため今月にもチームを離れる。

4月17日、蔚山文殊(ウルサン・ムンス)サッカー競技場で行われたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第1戦では、ホームの蔚山が横浜FMに1-0で勝利した。

決勝点は前半20分。左サイドバックのDFイ・ミョンジェ(30)が上げたクロスをFWチュ・ミンギュ(33)がペナルティエリア内で収めると、最後は後方から走り込んだMFイ・ドンギョン(26)が左足を振り抜き、GKポープ・ウィリアム(29)の守るゴールをこじ開けた。

蔚山を勝利に導いたイ・ドンギョンは、今回のゴールでリーグ戦含め直近の公式戦3試合連続得点に成功。リーグ戦では7試合で6ゴール4アシストを記録しており、3月の月間MVPにも選ばれるなど、圧巻のパフォーマンスを見せ続けている。

イ・ドンギョン
(写真提供=韓国プロサッカー連盟)イ・ドンギョン
東京五輪も出場したイ・ドンギョンだが…

だが、そんなイ・ドンギョンは来る4月29日、兵役のため軍隊チームの金泉尚武(キムチョン・サンム)に入隊する。除隊は2025年10月を予定しており、この期間は蔚山を離れる。

韓国では成人男子に兵役義務が設けられており、世界的K-POPボーイズグループBTS(防弾少年団)のメンバーなども現在は軍隊に就いている。

ただ、スポーツ選手の場合はオリンピックで金・銀・銅、アジア大会で金メダルを獲得すれば、「芸術・体育要員」資格を得て兵役免除の恩恵を受けることができる。

同恩恵を受けた選手は、新兵が受ける3週間の基礎軍事訓練に参加するほか、自身の特技分野を生かしたボランティア活動を544時間消化することで「兵役義務を遂行した」とみなされる。

蔚山ではDFキム・ヨングォン(34)やDFファン・ソッコ(34)が2012年ロンドン五輪銅メダル、FWオム・ウォンサン(25)やDFソル・ヨンウ(25)が昨年の杭州アジア大会金メダル獲得により、兵役を免除されている。

しかし、イ・ドンギョンは2018年ジャカルタ・アジア大会はメンバー外で、2021年東京五輪にはU-24韓国代表10番で出場するも準々決勝敗退。兵役免除の“ラストチャンス”と言えた杭州アジア大会も、U-24韓国代表のオーバーエイジ枠選出を逃した。

このため金泉尚武に志願し、大活躍中のシーズン序盤に蔚山を離れることとなった。

イ・ドンギョン
(写真提供=韓国プロサッカー連盟)試合後、サポーターとともに敬礼のポーズをするイ・ドンギョン

横浜FM戦後の記者会見に登場したホン・ミョンボ監督も、イ・ドンギョンの入隊による離脱に「残念だ」と率直な思いを吐露。「イ・ドンギョンは欧州に進出し、厳しい時間を過ごした。だが、例えどこにいたとしても、大切ではない時間はない。そのような時間を経験して、これほどまでに良い状態になったはずだ」と伝えた。

それとともに、「(入隊による離脱が)残念だが、彼が最後までチームのために戦ってくれるのはありがたいことだ」と付け加えた。

アウェイ横浜FM戦が“入隊前ラスト試合”に?

記者会見に同席したイ・ドンギョンは、「ホーム第1戦の勝利が必要だった。クラブW杯出場権も獲得することができて嬉しい」と笑顔で語った。

また、今季の活躍ぶりについては「(欧州から帰ってきて)自分自身、昨年は失望した。入隊するまでに残された時間はチームの役に立ち、旅立ちたい気持ちだった」とし、「今まで以上に準備を着実に進めてきた。何より、今年に入って子どもも誕生したので、モチベーションがより大きかった」と伝えていた。

イ・ドンギョン
(写真提供=韓国プロサッカー連盟)イ・ドンギョン

来週24日、第2戦が行われる横浜FMホームの横浜国際総合競技場(日産スタジアム)はイ・ドンギョンもプレー経験がある。

2021年3月には、韓国代表の一員として日本代表との国際親善試合に途中出場(0-3で敗戦)。前出の東京五輪でも、グループ最終節のホンジュラス戦や準々決勝メキシコ戦を同地で戦った。特にメキシコ戦は敗れこそしたが、自身は2ゴールの活躍を見せている。

もしかすると、次のACL準決勝第2戦がイ・ドンギョンにとって入隊前最後の試合となるかもしれない。

日程上では、入隊日前日の28日に行われるKリーグ1第9節の済州(チェジュ)ユナイテッド戦にも出場可能だ。

しかし、イ・ドンギョン自身も家族と一時離れることになるだけに、家族と兵役前最後に過ごす時間が必要だ。そのため、チームを離脱する時期については蔚山側も配慮する予定だという。

ただ、来週の準決勝第2戦までプレー可能となれば、横浜FM相手に再び脅威となるプレーを見せるはずだ。

はたして、イ・ドンギョンは入隊前に“ACL決勝進出”という置き土産を蔚山に残すことはできるだろうか。

(構成=ピッチコミュニケーションズ)

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