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「処刑の動画とか」「人を生きたまま燃やしたり」“エグすぎる”動画に耐えきれず離席するアルバイト…衝撃的な写真や動画を検閲する仕事とは

  • 2024.4.18
「処刑の動画とか」「人を生きたまま燃やしたり」“エグすぎる”動画に耐えきれず離席するアルバイト…衝撃的な写真や動画を検閲する仕事とは

映画監督の石川慶・佐近圭太郎・松本准平らからのコメントも公開に

ネット上の残酷な写真や動画を検閲するコンテンツ・モデレーターをテーマにした映画『見知らぬ人の痛み』。本作より、衝撃的な写真と動画を見せられた主人公・倫子が、あまりの刺激の強さに耐えかねて離席する本編映像を紹介する。

暴力や悪がインターネットを介してますます表面化する現代。大手テック企業から委託を受け、ネット上の残酷なイメージを検閲するコンテンツ・モデレーターに着目した本作は、『そうして私たちはプールに金魚を、』(17年)などで知られるスカラシッププロジェクト・第5回MOON CINEMA PROJECTで企画グランプリを受賞し、同プロジェクトの助成を受けて制作された。

勤務していた中学校で生徒からのいじめに遭い、教員を辞めた倫子。求職中の彼女は、あるアルバイトに応募する。それは「インターネットの動画サイトにある残酷な動画をひたすら削除し、検閲する」というものだった。

ネットに拡散し続ける死や暴力。倫子は恐ろしい内容に初めは戸惑うものの、削除した内容を被害者の名前とともにノートに書き綴ることで、気持ちを落ち着かせていた。夫の和也にはコールセンターのバイトをすると嘘をつき、彼女は次第にこの仕事にのめりこんでいく…。

今回紹介する本編映像は、主人公の倫子が再就職の面接で仕事内容について説明を受ける場面だ。コンテンツモデレーターとはSNSにアップされた写真や動画を検閲する仕事だ、と紹介される。説明をする八木は「無理だったら言ってくださいね」と言いつつ、性的なものや暴力的なものなど、次々に衝撃的な写真と動画を倫子に見せる。八木は画面を見ながら淡々と説明を続ける。「丸見えだからこれもダメ」「処刑の動画とか…首って簡単に切れないんですよねぇ」「人を生きたまま燃やしたり…」「あと子どもの死体…」。それらの刺激の強さに耐えかねた倫子が離席するところまでが、今回の本編映像となっている。

また、映画監督の石川慶・佐近圭太郎・松本准平、ドキュメンタリー映像作家の久保田徹からのコメントが到着した。

■石川慶(映画監督)

悪意は吹き溜まる。わたしたちに見えないのは、誰かがどこかでせっせと消してくれてるから。見えないものに光を当てる。映画がなすべき大事な仕事だと思う。

■久保田徹(ドキュメンタリー映像作家)

誰しもが感情の濁流のようなインターネット空間にさらされ、共感能力を奪われ続けている。私たちは問われている。他者の痛みを引き受けることはできなくとも、鈍化した感性を再び研ぎ澄ますことはできないか。この映画はスーザン・ソンタグの「他者の苦痛へのまなざし」に対する一つの回答になり得ると思った。

■佐近圭太郎(映画監督)

世界は”見知らぬもの”で溢れている。
心の痛みもまた、目には見えない。
見えてしまったら、もっと傷つくかもしれない。
それでも彼女は、その透明な痛みに名前をつけた。
なかったことにしないように。
忘れ去られないように。
確かにそこに在るものとして、痛みに形を与えていく。世界を恨むでも、背を向けるでもなく、必死に前を見据える彼女の眼差しを、私はこの先も忘れない。

■松本准平(映画監督)

この映画を初めて見たのは、ウクライナ侵攻もガザへの攻撃も始まる前だった。当時はまだ影を潜めていた見知らぬ人の痛みも、今や自明のものとなった。しかし、それを正しく感じ、受け止めることは、とてつもなく困難だ。天野監督の優しい感性に、心からの敬意を表したい。主人公の顔と、無関心の罪を告白する生徒に向けられたキャメラの揺れに、私たちは激しく動揺させられる。

『見知らぬ人の痛み』は4月19日より全国公開。

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