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サクサク派? それともしみしみ派? 好みがわかれるコロッケそば誕生秘話

  • 2024.4.18

明治初期、西欧風に改革がなされ、街に最先端の〝はじめて〞のものが集まった銀座。その感動は今も変わらず受け継がれている。銀座をルーツに持つ、おいしいものや場所を、甲斐みのりさんと訪ねました。〈銀座 よし田〉のコロッケそばについての物語です。

甲斐みのり 文筆家

かい・みのり/旅、散歩、手土産、地元パン、クラシックホテルや建築、暮らしなどを主なテーマに、書籍・雑誌・ウェブに執筆。著書に『歩いて、食べる東京のおいしい名建築さんぽ』(エクスナレッジ)、『乙女の東京案内』(左右社)など。

〈銀座 よし田〉のコロッケそば誕生秘話

フランス料理のクロケットを日本風にアレンジし、明治〜大正時代には、とんかつ、カレーライスに並び三大洋食のひとつとして人気を博したコロッケ。今でこそ庶民的なおかずの代表格だが、当時はパン粉の入手が難しく、高価でハイカラな食べ物だった。

そんな流行りのコロッケを、江戸っ子の日常食として親しまれてきたそばと掛け合わせようと思いついたのが、1885(明治18)年創業のそば店〈銀座 よし田〉の初代・須原甲子さん。通常のコロッケはコストがかかるため、鶏肉のミンチに山芋と卵をつなぎにして揚げた鶏しんじょをコロッケと謳ったといわれるが、時代が移り変わった今はかえって贅沢なほど。築地から仕入れる新鮮な鶏肉を出刃包丁でたたき、手間をかけて仕込みを行う。十字に切り目を入れた柔らかな生地からは、カツオや昆布でとった江戸前の甘辛いだしと、鶏肉の旨味が、じわっと滲み出る。石臼で挽くそば粉の自家製麺はキリリと締まった上品ないでたちで、喉越し軽やか。そこにシャッキリとした長ネギの食感と、馥郁たる柚子の香りが優しく寄り添う。

コロッケそば1,400円。冬場は牡蠣そばや牡蠣なべも自慢のひと品。年代問わず幅広く愛される街のそば屋。

常連には「コロッケそば」の〝そば抜き〞をつまみに、お酒を嗜む人もいるという。なんとも粋な銀座での過ごしかた。いつか叶えてみたいと憧れている。

銀座 よし田

住所:東京都中央区銀座6-4-12KNビル2F
TEL:03-6264-5215
営業時間:11:30~15:00(14:30LO)、17:00~22:00(21:30LO)、土祝~21:00(20:30LO)
定休日:日休
席数:62席

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photo_Norio Kidera text_Minori Kai edit_Kana Umehara

No. 1231

春のウキウキ気分を盛り上げてくれる、ハレの街・銀座。新店のスイーツ巡りも、この街発祥の老舗グルメ探訪も。最旬アートスポット体験や、本格バーデビューだって。銀座に足繁く通い、街を愛する各界著名人や、「銀座通」がとっておきの楽しみかたやおすすめスポットなどなど、銀座の活用術を指南します。 いつもよりちょっとだけ特別、でも背伸びしすぎない、私たちがしたいことが全部この街に詰まっています。だからこそ、今こそ、銀座を目指して。 さらに周辺には、懐かしくも新しい、進化する下町エリアが。銀座から電車に少し揺られれば、新しい出合いが待っている。今いちばん注目の下町「木場」をスタートに、「門前仲町」、「蔵前」、「馬喰横山」、「人形町」、「小伝馬町」、「東京駅」をナビゲートします。東京イーストサイドを巡る、春の冒険へいざ出発!

 

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