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スマホ&PC使用時に着用…「ブルーライトカット眼鏡」ってメリットあるの?“疑問”を眼科医に聞く

  • 2024.4.15
ブルーライトカット眼鏡を使うメリットはある?
ブルーライトカット眼鏡を使うメリットはある?

スマホやパソコンといった電子機器からは、「ブルーライト」と呼ばれる光が発せられており、長時間浴びると眼精疲労の原因になるといわれています。そのため、眼鏡店では、「ブルーライトカット」をうたう眼鏡が売られており、購入を検討したことがある人は多いのではないでしょうか。SNS上では、「ブルーライトカット眼鏡の効果が気になる」「使っているけど、目が疲れにくい」「スマホやパソコンを使うときに着用している」という内容の声が上がっています。

スマホやパソコンの使用時などにブルーライトカット眼鏡を着用すると、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。いわみ眼科(兵庫県芦屋市)理事長で眼科医の岩見久司さんに聞きました。

小児の使用は推奨されていない

Q.そもそも、「ブルーライト」とはどのような光なのでしょうか。

岩見さん「ブルーライトとは文字通り、『青の光』を指します。光には波長という性質があり、波長の違いにより、色や特性が異なります。いわゆる光は白いものが多いですが、これはさまざまな波長の光が混ざり合っている状態です。光は特定の条件で分離することもあり、プリズムレンズというものを使用すると、光が7色に分かれることが知られています。

ブルーライトが心身に影響を与える可能性については、これまでにさまざまな研究や議論が行われています。人間をはじめ動物には、1日の中で自然に起きて、自然に眠る周期があります。このリズムは『概日リズム』と呼ばれていますが、これは太陽から発せられる光、特にブルーライトによってコントロールされていると考えられています。

ある研究では、1日中ブルーライトにさらされた場合、概日リズムが乱れ、不眠症などを発症する可能性が指摘されました。ただ、部屋の照明など、人工的な光の強さは昼の太陽光の200分の1以下であり、その後の研究の結果、大きな影響はないだろうと結論付けられています」

Q.眼鏡店で販売されている「ブルーライトカット眼鏡」とは、どのような製品なのでしょうか。通常の眼鏡との違いも含めて、教えてください。

岩見さん「レンズの種類によっては、特定の波長の光だけを減衰させるものがあります。ブルーライトカット眼鏡とは、このようなレンズを装着することで、目に入るブルーライトの量を減らす製品を指します。

ただし、ブルーライトカットレンズには標準的な規格が存在していないという指摘があります。また、中には色が付いているレンズもありますが、必ずしもレンズの着色と機能は一致しません。ブルーライトカット眼鏡と通常の眼鏡を比べた場合、屈折力など、レンズとしての機能に差はありません」

Q.ブルーライトカット眼鏡を着用するメリット、デメリットについて、教えてください。

岩見さん「ブルーライトカット眼鏡を使うメリットについては、はっきりとした情報がありません。日本眼科学会や米国眼科アカデミーなどは、ブルーライトカット眼鏡の使用を推奨していません。

デメリットとしては、小児の使用が推奨されていません。日本眼科学会や日本眼科医会などは、小児がブルーライトカット眼鏡を使うと、発育に悪影響を与える可能性があるという内容の共同声明を出しています。

また、ブルーライトカット眼鏡は光の一部を遮るため、遮る光の量が多ければ色が変わって見えたり、暗く見えたりします。そのため、眼精疲労をきたす恐れがあります。

明るさ(照度)の単位にルクスという基準があります。例えば、昼の太陽光の強さは10万ルクスであるのに対し、コンピューターディスプレーの照度は500ルクス以下とされています。

つまり、コンピューターディスプレーの明るさは、昼の太陽光の200分の1以下であり、スマホやパソコンの使用時にブルーライトカット眼鏡を使う必要がないということになります」

Q.大人がブルーライトカット眼鏡を使うのは問題ないのでしょうか。

岩見さん「大人がブルーライトカット眼鏡を使っても問題ありません。サングラスと同じで、装着時に目が楽だと感じるのであれば、使ってよいでしょう。

先述のように、ブルーライトカット眼鏡は目に入る光の量を減らすため、眼鏡店で試着したときに『暗い』『見にくい』と感じる場合は、購入を避けた方がよいと考えます。値段も通常の眼鏡よりも割高になるため、こだわりがなければ、ブルーライトカット眼鏡を選ぶ必要はないと思います。購入を検討している場合は、きちんと知識を得た上で、眼鏡店で相談することをお勧めします」

オトナンサー編集部

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