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「自分は相手に寛大に接しているほうだ」パワハラを"ほぼ必ずしてしまう人"に共通する信じられない自己評価

  • 2024.4.14
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パワハラをする人たちはどのような思考回路なのだろうか。人材育成コンサルタントの松崎久純さんは「パワハラをする人たちには、考えていることや性格に共通点がある。共通するのは、(ほとんどの場合)自分はわるくないと考えていることだ」という――。

パワハラしそうな人材を採用面接で見極めることはできるのか

40代会社員の方からのご相談です――私の職場にもパワハラをする人は何人も存在します。新卒入社で社歴の長い人もいれば、中途採用の人も。彼らの扱いには、多くの人が莫大なエネルギーを使っており、なぜこんな人たちが野放しにされているのか不思議です。パワハラをしそうな人材は、はじめから雇用しない。こんな考えが必要に思えますが、どんなものでしょうか。

私はパワハラの行為者(パワハラをする側の人)へのカウンセリングを専門に行っています。

カウンセリングをするに至った経緯は前々回の記事で、カウンセリングで行っていることは前回の記事で、それぞれ紹介しました。

今回は「パワハラ行為者たちが考えていることの共通点」「彼らの性格における共通点」についてお話したいと思います。

それを知ると、質問者の方がおっしゃる「パワハラをしそうな人材を採用しないよう配慮すること」が、いかに大事かよくわかるからです。

会社の面接
※写真はイメージです
パワハラをする人は2つに分かれる

「パワハラをする人」は、大きく2つに分かれます。

1つは、特定の相手にパワハラをする(してしまった)人たちです。

たまたま、気の利かない部下や困った後輩などがいて、「その相手」に腹を立て、あるいは指導のつもりでしたことが、パワハラになっているケース。

注意の仕方や怒り方が、「それはパワハラ」とされてしまった人たちです。

もう1つは、特定の相手にとか、たまたまではなく、放っておけば誰かにパワハラをしてしまう人たちです。彼らがいると、日々接する人たちのうち、誰かがターゲットにされます。

私のカウンセリングの対象となるのは、こちらの人たちです。質問者の方が取り上げているのも、このタイプの人たちかと思います。

彼らは、(たまたまではなく)誰かを相手に、ほぼ必ずパワハラをします。

チャンスがあれば「ほぼ必ずしてしまう人」

「ほぼ必ずしてしまう人」がいるのは、パワハラに限った話ではありません。

たとえば、前職を職場内のケンカで辞めている。その前の仕事も職場で揉め事を起こして辞めている。こういう人はめずらしくありません。

派手なケンカでなくとも、職場内で冷戦のような状態をつくり出し、新しい仕事が見つかると転職する。こうしたことを(たまたまではなく)繰り返しするのが「ほぼ必ずしてしまう人」です。

「セクハラと見透かされないように」と注意しながら、飲み会を頻繁に開催し、若い女性社員を「強制じゃないけど……」と誘う。考えていることは100%セクハラなのがバレバレの男性社員。

この人も同じく、それを(たまたまではなく)チャンスがあれば「ほぼ必ずしてしまう人」です。

もう1つ例を挙げましょう。私はかつて、勤務先で手癖のわるい人と隣の席になって、本当に困ったことがありました。

かなり年上の人でしたが、その人は私が自前で購入し、机に入れている文具(ペンや蛍光マーカー、定規など)を盗んでしまうのです。それは一度だけでなく、何度も繰り返し行われました。たまたま私の文具が気に入り、魔が差して、やってしまったのではありません。

彼は、どうしようもなく「ほぼ必ずしてしまう人」で、それ故に私の私物にも手を出したのです。

私がパワハラ行為者のカウンセリングで会うのは、こうした「ほぼ必ずしてしまう人たち」の中で、行ってしまうことが「パワハラ」の人たちなのです。

こちらに人さし指を突き出している人
※写真はイメージです
パワハラをする人たちの共通思考

ケンカや冷戦、セクハラ、盗難を「ほぼ必ずしてしまう人たち」には、それぞれに共通する特徴があるように思えます。

そして、「パワハラをほぼ必ずしてしまう人たち」にも、やはり考えていることや性格に共通点があるのです。

パワハラをする人たちに共通するのは、(ほとんどの場合)自分はわるくないと考えていることです。

彼らは、「自分は言いたいことの2割くらいしか口にしておらず、至らない相手(被害者)に対しては、むしろ自分を押し殺し、寛大に接している」と信じています。したがって、パワハラと言われても致し方ない部分はあっても、それで騒がれるのは心外だと思っているのです。

自覚があっても非を認めようとしない…

前回の記事でも紹介しましたが、パワハラ行為者には5つに分類できるタイプがあります。

①自分の行為がハラスメントだと(まるで、あるいはほとんど)気づいていない人。【わかっていない人】
②パワハラ行為があっても、それは許容されることだと考えている人。【気にしていない人】
③相手が傷ついたり、周囲がどう思っても、気にしないか、むしろそれを楽しんでいる人。【人の気持ちがわからない人】
④注意をされても、それに逆切れし、パワハラ行為をやめようとしない人。【逆切れする人】
⑤(①から④のいずれかに該当し、さらに)自制ができない=パワハラ行為を止められない人。たとえば、すぐに怒り出して、言葉の暴力をふるうのを止められない。この人が「カーッとなる」のを防ぐのは無理と思える。【話してもムダな人】

(*①~⑤は、松崎久純「パワハラ行為者の分類 5つのタイプ その1」より)

①~⑤のどれに該当する人も、パワハラで人を苦しめているのに、ほとんどの場合、自分がわるいとは思っていません。

①の場合は、自分のハラスメント行為に気づいておらず、②の場合も許容されることと考えていますから、自分がわるいと考えていなくても不思議はないでしょう。

ところが③④のように、自覚があったり、被害者の存在がはっきりしていても、自分の非を認めようとしない人は多いのです。

こちらに手のひらを突き出している人
※写真はイメージです
「ほぼ必ずしてしまう人」を放置する組織

こうしたパワハラの行為者たちに対して、カウンセラーとしてどんな対処をするかは、前回の記事に書きましたので説明は割愛しますが、ここで着目すべきは、組織がそんなパワハラ行為者たち(パワハラで人を苦しめながら、自分がわるいとは考えない人たち)を普通に雇用している点です。

企業などが私をカウンセラーとして雇うのは、ほぼ例外なく、すでに組織内で問題が大きくなり、被害者が何人も出て、手に負えなくなってからです。

そうなるまで彼らは、ほとんどその問題とまともに向き合うことなく、パワハラ行為者を放置してきているのです。

繰り返しになりますが、パワハラの行為者たちは、(たまたまではなく)「ほぼ必ずしてしまう人たち」です。

パワハラの行為者だけでなく、(先に例として挙げた)職場で揉め事を起こす人たち、セクハラまがいのことをする人たち、手癖のわるい人たちも、同じく「ほぼ必ずしてしまう人たち」でした。

つまり、全体の中には、一定の割合で「ほぼ必ずしてしまう人」が存在するのです。これはカウンセラーをしていると、まともに実感することです。

組織は応募者の性格面のリスクを甘く見ていないか

当たり前のようですが、人を採用するときには、慎重に見極めないと「ほぼ必ずしてしまう人」を採ってしまう確率が高まります。

それを避けたければ、採用者を業務経験やスキルだけ、あるいは簡単な面接だけで選ぶのはNGでしょう。

もちろん人間関係には、一対一でも複数人の間でも、相性あるいはケミストリー(複数の個性が触れ合って生み出される反応)というものがありますから、性格がよさそうな人たちが集まれば万事大丈夫と言えるものではありません。

しかし、そうであっても性格面を十二分に考慮しないのは、あまりにリスクの高い決め方です。

私から見ると、パワハラ行為者に悩まされている組織の多くは、人材を採用する際にそのリスクを甘く見ていた組織です。

組織は、応募者が(自分たちの組織において)性格面で上手くやっていけそうか確かめるために、少なくとも1回余分に面接を設定し、工夫を凝らした面談を行うくらいはすべきです。

そのことに無頓着で、気にしてこなかったために、気づいたときにはパワハラ行為者たちに居座られ、簡単に排除できない状態になっている。これが多くの組織の「決してめずらしくない現状」です。

理不尽な扱いを受ける人
※写真はイメージです
性格は簡単には変えられない

人の性格は尊重すべきものですし、カウンセラーの私がわかったようなことを言うべきではありませんが、私自身も組織で働きながらパワハラ行為者たちに悩み、カウンセラーとしても彼らと接してきた経験から、「パワハラをほぼ必ずしてしまう人」は、もともとケンカやトラブルが好きだと思えてなりません。

「パワハラをほぼ必ずしてしまう人」は、自分のいるところ(家庭や職場)に揉め事があっても、何とも思わない人に見えます。

(決して上から目線で蔑さげすむのではありませんが、)ケンカやトラブルの絶えない環境で育ったタイプの人が多いように思えるのです。むしろいがみ合いがあることで、自分の人間関係的な居場所を見つけられているようにも見えます。

そうした性格は変えられるものでもありません。そのことを前提に、組織は彼らの性格がパワハラを生じさせていることから目を背けず、向かい合うことが必要です。

それができないと、カウンセラーが必要になるような問題は、継続して起こり続けるでしょう。

面倒に巻き込まれたくない管理者たち

多くの場合、組織にパワハラがあり、被害者がいることがわかっていても、それを管理すべき人たちが、見て見ぬふりをしたり、まともに解決に取り組もうとせず、そのためにパワハラがなくなりません。

なぜ「パワハラを管理すべき人」(=パワハラ行為があれば、それに対処すべき立場の人)が見ないふりをしたり、被害者の抱える問題をシリアスに捉えようとしないのでしょうか。

それはパワハラ行為者と対峙たいじすることで、面倒に巻き込まれ、自分の立場にもよからぬ影響があるのを避けたいからです。

いじめを見て見ぬふりする人たちと同じですから、これに説明の必要はないでしょう。あまりに残念な現実ですが、これを非難しても何も変わらないのが現状です。

上層部のコミットメントが重要

この状態を救う1つの方法は、組織(の上層部)がコミットメントを打ち立てることです。

パワハラをしてしまう人たちは、迷惑な存在だと認識している。「ほぼ必ずしてしまう人」は雇わないようにする。すでに雇用してしまっていれば、できるだけ早く排除する。こうした宣言をすることで、組織は変わる可能性が出てきます。見て見ぬふりをする人も減っていくでしょう。

たとえば、自社の「上層部」が、持ち株会社や親会社から来ている人たちで構成されていて、そのために管理者たちが、彼らに組織内のハラスメントの相談まではしづらいなど、現実的な問題もあるものです。

また、コミットメントはあっても、逆に「ハラスメントを受けたと言えばいい」といった一般従業員による「言ったもの勝ち」的な風土ができ上ってしまう組織もあります。

こうした個別ケースの話は、別の機会にゆずりたいと思いますが、パワハラをなくすために、組織の上層部によるコミットメントが重要であることは、多くの人に同意していただけることかと思います。

「今どきは、どんな組織でも何人かはメンタル不調であるのが普通」。こんな考えが、相談者の方の組織では当たり前にならないことを願っています。

松崎 久純(まつざき・ひさずみ)
サイドマン経営・代表
もともとグローバル人材育成を専門とする経営コンサルタントだが、近年は会社組織などに存在する「ハラスメントの行為者」のカウンセラーとしての業務が増加中。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科では、非常勤講師としてコミュニケーションに関連した科目を受け持っている。著書に『好きになられる能力 ライカビリティ』(光文社)『英語で学ぶトヨタ生産方式』(研究社)『英語で仕事をしたい人の必修14講』(慶應義塾大学出版会)など多数。

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