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将来有望な電力源「宇宙太陽光発電」 世界に先んじて2050年ごろの実用化を目指す

  • 2024.4.13

意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「宇宙太陽光発電」です。

実用化すれば、輸出も可能に。将来有望な電力源。

2月1日に「宇宙太陽光発電システム」の実証実験が行われました。宇宙太陽光発電とは、宇宙空間にある太陽光エネルギーを集めて発電し、それを地上に送電して電力として利用するシステムです。各国で研究が進められていますが、宇宙空間で集めたエネルギーを定めた場所に落とす技術は、日本がもっとも先行しています。今回の実験では、3m離れた場所から送電しましたが、2025年には宇宙から送電する計画が立てられています。

パネルなどで太陽光を集める太陽光発電の技術は一般に広まっていますが、太陽が出ていない時には発電できませんでした。宇宙太陽光発電は、宇宙で集めたエネルギーをワイヤレスで地上に送るため、悪天候でも夜でも送電が可能になります。二酸化炭素を排出することなく運用できるので、温暖化対策としても有効です。

宇宙太陽光発電システムは、1970年代まではアメリカが研究の中心でしたが、1983年に京都大学と宇宙研などの合同研究チームが、世界で初めて宇宙でのロケットによるマイクロ波送電に成功し、以降、日本はこの分野を牽引してきました。近年は、アメリカや中国、欧州宇宙機関(ESA)などで研究が進んでいます。

一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構の資料によると、地上から3万6000kmの上空に衛星を飛ばし、約2km四方のパネルで太陽光エネルギーを集めます。それをマイクロ波に換えて、地上の直径4kmの受電アンテナに送電。100万kWの電気エネルギーに変えるというイメージです。

日本は災害大国ですが、こうした技術があれば、災害時の停電を回避できますし、得られたエネルギーを輸出することも可能になるでしょう。宇宙空間から地上への送電実験ののち、世界に先んじて2050年ごろの実用化を目指しています。日本にはこうした先端技術があることをぜひ知っていただけたらと思います。こういうニュースが広まり、人々の関心が高まれば、予算も人材も集まりやすくなり、さらに研究を進めることができます。世界の電力のイニシアティブを取るようになるまで応援したいですね。

ほり・じゅん ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。

※『anan』2024年4月17日号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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