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「スーパーカブ」で日本の全市町村2周を目指す、写真家・仁科勝介のバイクライフ

  • 2024.4.15
仁科勝介さんとHonda Super Cub 110

日本の全市町村を2周!

バイクで日本1周、と聞くとそこまで大袈裟に驚くこともないが、写真家の仁科勝介さんは、日本の全市町村をホンダ「スーパーカブ」で巡り、現在は、より細かく平成の大合併前の旧市町村、そして政令指定都市の区をカブで巡る旅を続けている。巡ってきた自治体の延べ数は2024年3月現在、2748。

「もともと、大学在学中だった2018年から2年かけて日本の全市町村を巡るという旅をしたんです。その時は、自分の目で日本全国にある人の暮らしを見てみたい、写真を撮って記録したいという思いでした」

その相棒に選んだのはホンダの「スーパーカブ」だった。

「市町村1周を考えた時にクルマかバイクか、もしくは自転車か徒歩か、いろいろ交通手段を考えたんです。自分がやりたかったのはそこに暮らしている方々の日常を見て写真を撮っていくこと。ブログや本などで日本1周の情報を集めて、自分の旅のスピード感や規模に一番フィットしそうだなと思ったのがカブでした」

カブは地元のバイクショップでたまたま見つけた状態の良いもの。旅の初日にスリップし、大ケガをしたり、冬の寒さに手がかじかんだりと、探り探りの旅だったが、現在は2周目。さらに細かく2094もの自治体を巡ろうとしている。

「前回の旅では、すべて行っても回り切った感じはしなかったんです。まだまだその土地で暮らしている人の中に、平成の大合併前の町のコミュニティがすごく残っているんだなと感じて。だからこそより細かく巡りたいと思うようになりました」

仁科勝介さんとHonda Super Cub 110
写真は、今回の旅で999番目に立ち寄る自治体となった鹿児島市。噴煙立ち上る、桜島にカメラを向ける。

2度目のカブによる旅だからこそ、1度目の学びは生かされている。

「前回カブで旅することの苦労を一通り味わって、今は全身プロテクターをしたり、簡単な整備は自分でできるようになったりと、だいぶ慣れてきました。一回やってみてそのすごさを実感したのは燃費です。今でも1回の給油で200㎞くらい走ってくれます。それでも計算上、300回くらいはガソリンスタンドに寄っているはずです。

普段はそんなにスピードは出さずに時速40〜50㎞ぐらいで走っています。もちろんもっとスピードも出せるんですが、このスピード感がカブに合っているなと。それに、“あ、いいな”と思っても、きっとクルマだとすぐには止まれないし、面倒で見過ごしてしまうこともあると思うんです。でもカブでゆっくり走っていれば、すぐに止まってカメラを向けられます」

「10万㎞超えのものも多いですよ」と謙遜するが、走行距離は、6万5000㎞を超えている。もしかしたら旅をしている4年間で日本で一番走っているカブかもしれない。

「あと半分以上残っていますが、整備しながらゆっくりと、でも着実にカブで巡っていきたいですね。暮らしは、時間とともに塗り替えられてしまう気がするんです。だから今のうちにできるだけ記録して、こんな場所や暮らしがあるんだよということをこれからも残していけたらなと思っています」

Honda Super Cub 110にまたがる仁科勝介さん
座席後ろの白いボックスと、車体左側の黒いバッグに旅に必要なすべての荷物を詰め込んでいる。
スーパーチェーンルブとフューエルワンなどの装備
厳選された装備一式。中でもスーパーチェーンルブとフューエルワンは、日々のメンテナンスに欠かせない。
カメラバッグ
すぐにカメラを取り出せるように走行中もいつも肩に掛けているカメラバッグ。修理した縫い目も見える。
仁科勝介さんが書きためた日記
日々、自身のSNSや旅の記録をまとめているサイト「ふるさとの手帖」にも文章をアップしているが、日記を書くことも欠かさない。

仁科さんの日本の全市町村を巡る旅マップ

訪れた延べ自治体数:2,748
総走行距離:約65,000㎞
旅の期間:約740日

日本地図のイラスト
上の赤い線は、スーパーカブによる日本の全市町村を回った旅のルート。1,741もの自治体を巡った。矢印のついた線はフェリーでの移動を示している。現在はカブに再び乗り、旧市町村と政令指定都市の区を訪れる旅を続けている。

 

Information

Honda Super Cub 110

Honda Super Cub 110

1950年代から本田技研工業で製造、販売されているバイク。2017年には世界累計生産台数が、1億を超えた。現行モデル、スーパーカブ110の価格は302,500円。排気量の小さいスーパーカブ50もある。

profile

仁科勝介さんとHonda Super Cub 110

仁科勝介(写真家)

にしな・かつすけ/1996年岡山県生まれ。大学在学中から日本の全市町村を巡り、2020年に『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)を上梓。22年には23区のすべての駅を巡り、東京の日常を収めた『どこで暮らしても』を自費出版。

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