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シソンヌ2人の法廷バトルに話題沸騰… 新キャラ”よね”に抱く違和感とは? NHK朝ドラ『虎に翼』考察&解説レビュー

  • 2024.4.15
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連続テレビ小説『虎に翼』©NHK
連続テレビ小説『虎に翼』©NHK
連続テレビ小説虎に翼©NHK

第2週「女三人寄ればかしましい?」では、猪爪寅子(伊藤沙莉)が明律大学へ入学し「法律とは何か?」を考える週だった。

いよいよ入学式を迎えた寅子(伊藤沙莉)。まだ女性が弁護士になれなかった時代、法律を学ぼうというのが世間から見たら“変わり者”であることを差し引いても、個性の強そうな面々が顔を揃える。

入学式の後、寅子は法学者の穂高(小林薫)と話しているところを新聞記者に取材される。

謙遜から「先生のおっしゃっていることを正しく理解できているかわからないけど」と前置きした上で「これから勉学に励みたい」と答えた。本人としては満点回答のつもりだった。

ところが、新聞には前置きだけが使われ「やはり女に法律は無理なのか」と締めくくられていた。女子部の生徒たちを本科の生徒たちがからかう様子からも、この時代、いかに女性が軽んじられていたかがわかる。

学生たちのなかで一際目を引くのが、男装姿に身を包む山田よね(土居志央梨)だ。どこかいつも怒っていて、他の生徒たちにも度々厳しい言葉を浴びせることもあって、腫れ物扱いされていた。

女性が弁護士になることを認める法改正がまた延期になったことから派生して口論となり、教室を出て行ってしまったよね。寅子は彼女を尾行し、裁判を傍聴することに。

連続テレビ小説『虎に翼』©NHK
連続テレビ小説虎に翼©NHK

「離婚成立前ではあるものの嫁入り道具として持参した品々を返して欲しい」と妻が夫を訴える裁判が行われていた。嫁入り道具のなかには親の形見の着物も含まれる。当時の法律では、結婚中に妻の財産を夫が管理するのは民法が定めたルールとされていた。

離婚が成立していないいま、これを返してもらうことは通常ではありえない。自分が持参したもの、なまじ親の形見なのに、返してと主張する権利もないのかと唖然とする。

よねは、女が虐げられていることの怒りを忘れないために傍聴に来ているのだという。

一方で、寅子の同級生・桜川涼子(桜井ユキ)が言うように、妻が不利益を被らないためでもある、というのもわかる。夫の許可なく判断したことも、この民法があれば無効にすることができるからだ。

この時代、結婚した女性は男の庇護下にある。その事実がもつ良い点と悪い点。

ただ、これでは女性は意思を持たない存在となってしまう。ほとんど所有物としての存在。「結婚は罠!」と寅子が憤るのももっともだ。

現行法のもと着物を返してもらうのは難しいだろうと判断するよね。しかし寅子は「最後は裁判官の心証に委ねられることを期待したい」と考えた。そして、どんな判決を下すのかを見届けようと、生徒たちと傍聴へ赴く。

判決の結果、着物は返ってくることになった。結婚生活が破綻している以上、嫁入り道具を返さないことは夫による権利の濫用と判断されたのだ。当時としては、きっと異例の判決だろう。女子学生の目がたくさんあったことも作用したのかもしれない。

それでも、小さいけれど大きな一歩だ。

一連の裁判を見届け、法は規則か? 武器か? の2択ではなく、寅子が「法は弱い人を守るもの」だと表現したのが印象的だった。そして、彼女は“盾のような弁護士になる”ことを決意する。

連続テレビ小説『虎に翼』©NHK
連続テレビ小説虎に翼©NHK

第2週目、圧倒的な存在感を示したのはやはり、よねだろう。女性が不平等を被る現状に常に腹を立て、寅子や涼子たちとは異なり、髪をオールバックに固め、男装姿に身を包む。

女性が虐げられていることに誰よりも怒っているはずなのに、女性としてそのままで権利を得ようとする寅子たちをどこか見下しているように見える。まるで男性になろうとしているかのような振る舞いに違和感を覚えた。

その先にあるものは、果たして本当の平等なのだろうか?

ただ、彼女にもそうならざるを得なかった背景がありそうだ。「寅子は恵まれている」という尾野真千子のナレーションは、まさに視聴者が感じていたことの代弁といって差し支えないだろう。

明らかに恵まれた家庭環境で、母の説得こそ必要だったものの勉学に励む十分な環境が整っている。きっと寅子は少数派。よねとの環境の違いを改めて寅子が目の当たりにしたとき、どんな言葉をかけるのかに注目したい。

また、シソンヌの2人が夫側・妻側の弁護人としてそれぞれ登場したことも話題に。ともすれば重くなりそうな裁判シーンも、じろうのやや大げさな表情などでメリハリがつき、軽やかに観ることができた。

今後の裁判シーンでも芸人が登場するのか、こちらも目が離せない。

(文・あまのさき)

 

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