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100冊読むより1冊を100回読みたいから、手作りブックカバーで本を守るんです【TheBookNook<番外編>】

  • 2024.4.12

今回の「TheBookNook」は番外編です。料理や裁縫など、手作り全般が得意な八木さんは、聞くところによるとブックカバーも自分で作ってしまうのだそう。見せていただいた実物が想像以上に本格的で、驚かされてしまいました。ブックカバーを使う理由や魅力について伺ってきたので、その詳細を紹介します。

読書するというと電子書籍で済ませてしまうひとが増えているなか、八木さんは紙の本による読書体験を自らも楽しんでいることはもとより、ブックカバーもたくさんもっておられるのだとか。

ブックカバーって、ひとつかふたつぐらいもっていれば十分なのではないか……。そんな疑問を抱えつつ、八木さんならではの“本”との向き合い方を伺いました。

■「ブックカバーを手作りする」という楽しみ

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八木さんにとって、ブックカバーを手作りすることは楽しい趣味のひとつ。市販のブックカバーで気に入ったものがあれば購入することもあるけれど、自分でイチから手作りしたものも全部で10個ぐらいあるそうです。

ブックカバーを作るための材料は、近所の手芸屋さんでカタログを見せてもらってお目当ての生地を取り寄せたり、普段から気に入った生地をストックしておいたり。デザインは、他の作家さんの作品を参考にすることもありますが、生地そのものからインスピレーションを得て、生地の柄に合わせて刺繍をすることも。

ブックカバーは一枚の布で簡単に作ることもできますが、八木さんは二枚の布を重ねてミシンで縫い合わせるちょっと手間のかかる仕様で仕立てています。外布に合わせて内布を選ぶ作業も楽しいんですよ。刺繍のあるものは、さらに工程が多くて大変。まず、外布に手刺繍をしてから、ミシンで二枚を合わせてブックカバーに仕立てていきます。

生地を緻密にカットする作業も、ぜんぜん苦ではなく、むしろ楽しいのだそう。それもそのはず、八木さんは、たくさんの材料を正確に分量計測する必要がある「スイーツ作り」もお得意なので。細かい作業にイライラするとかがないのは、うらやましい限りです。

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八木さんの手作りブックカバーには、しおりの紐が必ずつけられていました。先端には、ブックカバーの共布で作ったチューリップモチーフだったり、コロンとしたボールだったりビーズだったり、ブックカバーの雰囲気に合わせてあしらってあるのだそう。例えば、生地が「猫柄」だったら、猫がボールで遊んでいるイメージでボールの形のモチーフをつけてみたり……。

八木さんにとって、ブックカバー作りの工程は、どれもとても楽しい時間。生地やビーズなどの素材を選ぶことも、サイズを測ってカットする作業も、手間のかかる刺繍、ミシンステッチ、全部好きだけど、やっぱり“本のために”作っているっていうことですごくしあわせな気分になれるのだそうです。

■ブックカバーは本を守るため、自己満足のためにつけています

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ブックカバー作りそのものを楽しんでいる八木さん。では、ブックカバーをつける一番の理由は「本を守りたいから」だそうです。これはちょっと意外ですが、八木さんはコーヒーをこぼしたりとかして、本をすぐに汚してしまうそうで、せめて外出するときには少しでも本を汚したくないという思いからブックカバーをつけるようになったとのこと。おうちのなかではカバーをつけていないのだそうです。

同じ本を何回も読む、八木さん。極端に言うと、100冊の本を読むよりも、1冊を100回読むほうがいいとおっしゃいます。本には、作家さんの言葉、語彙、経験、感覚すべてが詰め込まれている。本を読むことは作家さんの頭のなかをのぞいているのと同じこと。だから、1回読んで終わりだなんてもったいなすぎる。くりかえし、くりかえし読んで、作家さんの人間性が透けて見えてくるまで読む……。そういう読書体験が好き。そんな八木さんの読書体験を支えているのが、本を守るブックカバーです。

自分が読んでる本を人にわざわざ見せる機会はないですよね。八木さんが外出時に本を読むのは、移動中や電車内、ひとりカフェとかが関の山です。だから、ブックカバーを今回のようにお披露目するのは初めてのことだそうで、友達にも見せるようなこともありません。八木さんが、自分で自分のテンションを上げるために作っている、正真正銘、“自己満”の世界……。素敵です!

■「TheBookNook」について

この連載は、書評でもあり、“作者”とその周辺についてお話をする隔週の連載となります。書店とも図書館とも違う、ただの本好きの素人目線でお届けする今連載。「あまり本は買わない」「最近本はご無沙汰だなあ」という人にこそぜひ覗いていただきたいと私は考えています。

一冊の本から始まる「新しい物語」。

「TheBookNook」は“本と人との出会いの場”であり、そんな空間と時間を提供する連載でありたいと思っています。次回からはさらに多くの本を深く紹介していきますのでお楽しみに。

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