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【三浦透子さんインタビュー】癒やしたいのは顔の傷か、心の傷か。音楽から読み解く作業が面白い

  • 2024.4.12
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MIURA TOKO 三浦透子

出典:シティリビングWeb

ミュージカル「VIOLET」で主人公のヴァイオレットを演じる三浦透子さん。屋比久知奈さんとのWキャストで挑む今作に、「意見を聞いてくれて、とても能動的になれる稽古場でした」と話す。

幼少期に顔に大きな傷を負ったヴァイオレットは、傷を癒やす旅に出る。「彼女が癒やしたかったのは顔の傷か、心の傷か。これを反芻(はんすう)しながら過ごしました。私は心の傷を癒やす旅だと解釈しています。彼女は、顔に傷があることで周りは必ずこう感じるはずだと、どこか決めつけてしまっているところがあります。しかし旅の中で徐々に周りが見えてきて、さらに見ないようにしていた自分自身にも向き合っていきます」

ミュージカルへの意欲も。「最初に音楽を耳にしたとき、人間が話しているふうに聞こえて楽譜があるとは思えませんでした。実際に楽譜をたどると緻密(ちみつ)に組まれたものと分かり、どの音も流さずに丁寧に歌いたいと思っています。ヴァイオレットの熱さと暗さを表現する中で、その読み解きを音楽からすることが多いです。コンプレックスを抱えたマイナスの感情を持っているキャラクターとして組み立てると、この曲は歌えないという場面が出てくるんです。その曲を歌えるまで彼女を持っていくには前のシーンでどう表現するか、と考えるのは面白い経験でした」

自身も音楽活動を行う中で、ミュージカルとの歌い方の違いは「マイク」だそう。

「自分の歌を歌うときはマイクを演奏している感覚が近いです。こう発声するとこう響く、というところから音を作っている感覚があります。ミュージカルでもマイクはつけますが、そこへの意識はなるべくなくして歌ってみることが今回のチャレンジでもあります。自分の名前でリリースさせていただく曲も人に書いていただいた曲が多いので、いただいた言葉を自分の言葉にして届ける、という意味では大きくは違わないと思います」

カンパニーもとてもいい雰囲気で本番を迎える。「たくさんミュージカルをされてきた先輩方なので、教わることも助けていただくこともたくさんあり、支えられています。主演で座長という立場ではありますが、作品を魅力的にするためにできることをやるしかないと思っています。それを超えた座長としてのふるまいが見えてくる日も来るかもしれませんが、今はただ、精いっぱいやりたいという気持ちです」

東京、大阪、福岡、宮城と、公演は約1カ月間続く。「どんな作品に携わるときもそうですが、やり遂げたときには精神的に成長をさせてくれます。今回は、出したことのない大声を出したりと体もたくさん使うので、1カ月後、身体的な成長もできていたいと思います」

三浦透子さんの“働く”インフラ

Q.仕事をする上で大切にしていることは?

努力することも真摯(しんし)に向き合うことも大切ですが、無理をしないことも同じくらい大切だと考えています。身体的にも精神的にも休むことってとても大事。どのくらいの状態でいると心が安らぐのか、心地よいと感じるのか、自分自身をよく観察するようにしています。難しい、無理と思ったときに声に出すことは勇気がいりますが、もしかすると周りもそう思っているかもしれない。頑張りすぎちゃうことがあったとしても、それを忘れないようにバランスを大切にしたいと思っています。

Q.一緒に仕事をしたいと思える人になるためには?

支えたいなと思ってもらえる人間でありたいと思っています。役者の前に人間として、一緒に仕事をして楽しいと思ってもらえる人でありたいです。私が助けるなんてことはまだまだ言えませんが、一生懸命な人は支えたいと感じると思います。自分の刺激にもなりますし、そういう人と接するのは楽しいと思います。

【Check】

ミュージカル「VIOLET」

出典:シティリビングWeb

東京公演:東京芸術劇場プレイハウスで4月21日(日)まで上演中

大阪公演:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで4月27日(土)~29日(月・祝)

ほか、福岡公演、宮城公演あり

新進気鋭の演出家・藤田俊太郎さんの渾身作を待望の再演。1964年アメリカ南部の片田舎。幼いころ不慮の事故で顔に大きな傷を負ったヴァイオレットは人目を避けて暮らしていた。ある日、あらゆる傷を癒やす奇跡のテレビ伝道師に会うため、人生初の旅に出る。長い旅の先に彼女がたどり着いたのは。

【PROFILE】

1996年、北海道出身。2002年、サントリーのCM「なっちゃん」の2代目なっちゃんとしてデビュー。2021年の映画「ドライブ・マイ・カー」で脚光を浴び、数々の映画賞を受賞。近年の主な出演作に、主演映画「そばかす」、ドラマ「ブラッシュアップライフ」「季節のない街」、舞台「ロスメルスホルム」など。音楽活動も行う

取材・文/高木明日美(シティリビング編集部)

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